外国為替市場の参加者

外国為替市場にはさまざまな参加者がいます

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外国為替市場の参加者

@ 中央銀行(日本銀行)

日本では以前は金融当局や政府の意向を為替市場に伝える主要なプレイヤーとして大きな存在感を持っていました。実際に個別の銀行(主要なプレイヤーである都市銀行、を呼び出して取引を行うこともありますし、(これを外国為替平衡操作と呼ぶ)わざと電話などで銀行にレートを照会して(これをレートチェックという)行き過ぎた相場への不快感を表明したり、銀行がよく使う為替ディーリングシステムにわざと名前をさらした形で注文を並べたり、さまざまなやり方があります。
実際に取引した場合その結果は後刻財務省のホームページに「外国為替平衡操作の実施状況」として公表されていて、介入規模がどの程度だったのかも知ることができます。
一番最近の日銀による為替介入は2011年11月4日のドル買い円売り介入3,062億円(平成27年12月現在)

但し、介入自体は、一国の利益の為に市場の自由な相場形成を阻害する行為とする考え方も近年は強く、必ずしも各国間のコンセンサスを形成しやすくないこと、また、介入しても失敗するケースも多々あり、失敗すると国家の財政に損失を蒙る事にもなることなどからどちらかというと下火です。
古くはポンドを守ろうとして守りきれなかった英国中銀(1992年ポンド危機)が有名ですし、最近でも2015年1月にスイス中銀がそれまで無制限介入を宣言して約3年維持していた対ユーロとのレートの上限1.20の防衛を突然放棄、市場に大混乱をもたらした例が記憶に新しいですね。

A 金融機関(都市銀行、信託銀行、有力外国銀行)

いわゆる狭義のインターバンク市場を形成するグループで、元来の為替市場のイメージにもっとも近いのがこれらの金融機関の間での取引です。
基本的には銀行間でディーリングシステムを使って金額を提示してコールし合い、呼ばれたほうは2wayでプライスを提示、瞬時に約定か約定しないかを決めて判断します。
その会話は極度に簡略化されていて

>YEN10  (ドル円でU$10mioのプライスをください)
>>2123   (ドル買いなら121.21ドル売りなら121.23です)
  >21    (それではドルを121.21でU$10mio買って下さい)
で取引が成立します。
狭義の取引の最小単位は主要通貨であれば1千万ドル=約12億円(@120円)、1億ドル=120億円の取引が成立することも珍しいことではありません。

また各市場に慣行委員会のような会議を持ち、当局と共同で現地の市場のルール作りをしているのもこのグループです。

このグループの取引には
○自らが値決めを行い取引に応じる(マーケットメーカーとして同じリーグの金融機関同士では取引から逃げない)。
○原則的には全通貨対ドルでの取引を行う。
○取引が定型化されていて取引金額が大きい。
○ディーリングルームが東京にあってもディーリングルーム内では関西弁が使用されている。
等の特徴があります。

これらの銀行で実際に取引を行うのは為替ディーラーですが、時として自己勘定でポジションを持って大きくトレーディングを行う場合もあります。
外国銀行などでは利益を出せればそれに応じたボーナスを得られるケースもあったことから為替ディーラー職が「花形」だった時代もあります。
しかし近年では相場変動が小さく収益機会が減ってきたこと。FXの浸透により個人の投資家が台頭してきており、情報もプライスもインターバンク並みのものを使用できるようになってきていて情報やプライス面での優位性が薄れてきたこと、市場の透明性に対する要求が厳しくなり顧客の取引を使用しての持高操作が以前ほどできなくなってきたどころか、不正操作とみなされて刑事訴追されるケースまで出てきたことから、以前ほどの勢いはありません。

B 外為ブローカー

コンピューターを専用ネットワークでつないでのディーリングシステムが構築される以前はインターバンクの取引はブローカーによって仲介されていました。昔のテレビニュースでは為替が変動すると東京フォレックスなどのブローカーの映像が背景に流れ、そこでは円卓を囲んだブローカーがなにやら数字を書いた紙のようなものに錘をつけて投げ合っていました。
確かにいろいろな銀行のプライスを集めてマッチングするブローカーはある意味、見える「東京外国為替市場」そのものと言えないこともなかったかもしれません。
しかし、90年代以降ディーリングシステムの発達と銀行の経営不振からのコスト削減の動きから、(ブローカー経由の取引には当然ブローカレッジが発生します)次第にブローカーを経由した取引は減少し、外為ブローカーも撤退したり中には個人向けのFX会社に軸足を移したところもあります。

C その他の金融機関(地方銀行、証券会社、FX会社等)

これらの金融機関は基本的には顧客の取引のカバー取引を@のグループの金融機関を相手に行います。時には会社としてのポジションをとる金融機関もあります。ただ、これらの会社がマーケットメイクをインターバンク市場で行うことは基本的にはありません。すなわちこれらの金融機関をいきなり別の金融機関が呼んで為替の2wayプライスを迫ることはないというのが、@のグループとの圧倒的な違いと言えます。

D 機関投資家(生保、損保、年金、投資顧問、投資信託等)

これらの金融機関も立ち位置は基本的にはCの金融機関と同じなのですが、顧客の資金の運用のために巨額なポジションを取ることがある点が違います。
これらの金融機関は基本的には@のグループの「顧客」ですが、一度動き始めると取引金額が巨額であるため市場に対する影響力は@のグループの金融機関よりも大きかったりします。

E 輸出入業者、事業会社

商社、メーカー等の事業会社も活発に輸出入の取引を行っており@の顧客となって市場に出ています。通常のフローで一件の取引が巨額になることは少ないですが、大きなプロジェクトや、海外の企業の買収案件などが出る場合には機関投資家同様巨額の為替取引で市場を動かすこともあります。

F 個人投資家

レバレッジ規制以後はさすがに金額的には以前ほどのインパクトはありませんが、「ミセスワタナベ」の名前を海外にとどろかせた日本のFXユーザーも立派な外国為替市場の一員です。一件の取引金額は小さくても合計すると金額は大きく、また、外貨買いから入りがちで外貨売りに弱いなど他とは違う特徴を持つ集団ともなっています。
あまり動き方を読まれると他の集団のカモとなる恐れもありますので、外貨売りも外貨外と同じように柔軟にできる訓練をして、生き馬の目を抜く戦場「為替市場」を生き残りましょう。

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