ドル円、新型コロナワクチンに関する報道を受けて一時105円台半ばへ急騰
〇ドル円ファイザー社の新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道で105.64まで急伸
〇NYダウ一時前日比1,610ドル上昇、史上最高値更新、米10年債利回り0.963%まで急騰
〇ユーロドルリスク選好に一時1.1920まで上昇するも米長期金利上昇に1.1796まで反落
〇ドル円テクニカルにはトレンド転換意識させる形状、ファンダメンタルズは弱さ残す
〇ここからの上昇余地は乏しいか
〇本日の予想レンジ:104.90ー105.90
海外時間の為替概況
9日(月)の外国為替市場でドル円は急騰。@バイデン氏の勝利宣言に伴う米政治不安の後退や、A米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道(米ファイザー社と独ビオンテック社が開発中のワクチン候補が、数万人参加した治験で90%超の確率で感染防止の暫定結果→新型コロナウイルスの収束期待)、B上記@Aを背景としたリスク選好ムードの高まり(米10年債利回りは3/20以来の高水準となる0.963%まで急騰、米ダウ平均株価は前日比1610ドル超高騰し史上最高値を更新)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、10/20以来となる高値105.64まで急伸しました(アジア時間に記録した日通し安値103.25から2.39円の急騰劇)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.45近辺で推移しております。
9日(月)のユーロドル相場は急伸後に急反落。@米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道や、A上記@を受けたリスク選好ムードが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、9/2以来となる高値1.1920まで急伸しました。しかし、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、B米10年債利回りの高騰(0.800%→0.963%)や、C上記Bを背景としたドル買い圧力、D欧米間の貿易摩擦懸念(欧州連合は米政府に40億ドル相当の報復関税を課すと発表)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1796まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1825近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週末金曜日(11/6)に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をボトムに反発に転じると、昨日は10/20以来となる高値105.64まで急騰しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的にみて、トレンド変換(下落→上昇)を意識させるチャート形状となっております(※一目均衡表雲上限や90日移動平均線の突破には失敗)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(昨日は新型コロナワクチンに関するポジティブな報道でリスク選好ムードが広がるも、当面は景気下押し圧力が先行)、E日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。新型コロナワクチンに関するポジティブな報道で米長期金利が高騰しており、一巡後に株価に下押し圧力が加わる恐れ)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、新型コロナワクチンに関するポジティブな報道と、それに伴うテクニカル要因(チャートポイントを突破したことに伴うショート勢のロスカット)で急伸しておりますが、ファンダメンタルズ的な弱さを考慮すると、ここからの上昇余地は乏しいと判断できます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナワクチンに関する続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナワクチンに関するポジティブな報道は、これまで米株を下支えしてきた「米FRBによる大規模金融緩和」や「米政府による追加財政支援策」の打ち止めを意識させる材料でもあることから、ここから先は、米株の反落→ドル円下落の波及経路に注意が必要。尚、本日は5・10日となる為、本邦公表相場決定にかけて底堅く推移する可能性あり)。
本日の予想レンジ:104.90ー105.90
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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