ドル円、リスク選好のドル売り主導で約1週間ぶり安値圏へ下落
〇ドル円リスク選好のドル売りと本邦景気先行き不透明感に一時107.25まで下落
〇6月ISM非製造業指数は57.1の力強い結果なるも対円でのドル買いは一時的
〇ユーロドルはリスク選好のドル売りに一時1.1345まで上昇、1.13台を維持
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重さ警戒される
〇本日の予想レンジ106.80ー107.70
海外時間の為替概況
6日(月)の外国為替市場でドル円は下落。日本時間朝方にかけて一時107.78まで上値を伸ばすも、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、@世界各国による景気刺激策への期待感や、A株高・原油高を背景としたリスク選好のドル売り圧力(特に対欧州通貨でのドル売りが、対円でのドル売りに波及する形)、B本邦における景気先行き不透明感(東京での新型コロナ感染者数再拡大→景気先行き不透明感→デフレマインド再燃→円の予想実質金利上昇→円高)が重石となり、米国時間にかけて、約1週間ぶり安値となる107.25まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、107.34近辺で推移しております。尚、この日発表された米6月ISM非製造業景況指数(結果57.1、予想50.0、前回45.4)は力強い結果となりましたが(3ヵ月ぶりに好不況に分かれ目である50を突破)、ドル買いでの反応は一時的なものに留まりました。
6日(月)のユーロドル相場は上昇後に反落。@世界各国による景気刺激策への期待感や、A株高・原油高を背景としたリスク選好のドル売り圧力(特に対欧州通貨でドル売りが強まる展開)、Bユーロ圏5月小売売上高(結果17.8%、予想15.0%)の良好な結果が支援材料となり、米国時間朝方には、一時約2週間ぶり高値となる1.1345まで急伸しました。しかし、6/23に記録した直近高値1.1350をバックに戻り売りが強まると、C良好な米6月ISM非製造業景況指数(結果57.1、予想50.0、前回45.4)を受けたドル買いが重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.1308近辺まで押し戻される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、昨日は一時107.25まで反落しました。108円台での滞空時間は極めて短く(200日移動平均線をバックに戻り売り圧力が根強く)、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(目先は107.30に控える一目均衡表雲下限をクリアに下抜ける展開を想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(全人代は6/30、香港国家安全維持法案を可決。米上院は7/2、中国に制裁を科す香港自治法案を全会一致で可決)、C世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交が強まる恐れあり)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナ第2波リスク(米国や中国、欧州に加えて、日本においても新型コロナ感染者数が急増)、F日本経済の先行き不透明感(鉱工業生産、日銀短観共に冴えない結果。日本経済低迷→インフレ鈍化→実質金利上昇→円高の波及経路に要注意)、G全米各地で続く人種差別抗議デモなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクを巡るヘッドラインや、米中対立激化に絡む続報、株式市場の動向を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(昨日はリスク選好のドル売り主導でドル円が下落しましたが、ここから先は、リスク回避の円買い主導でのドル円下落に要注意)。
本日の予想レンジ:106.80ー107.70
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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