ドル円、約1カ月半ぶり安値圏へ急落。ソフトバンクのTモバイル株売却報道が重石に
〇ドル円は一時約一か月半ぶりの安値106.08まで急落
〇米6月PMIの不冴え、メキシコでの大地震発生、ソフトバンクのTモバイル売却等が要因
〇ユーロは好調な欧州圏のPMIと米PMIのギャップに1.1347まで上値を伸ばす
〇テクニカルには強い売りシグナル、ファンダメンタルズもドル円下落を示唆する材料多い
〇ドル円続落がメインシナリオ
〇本日の予想レンジ:106.00ー106.80
海外時間の為替概況
23日(火)の外国為替市場でドル円は急落。@米ニューヨークにおける経済活動再開への期待感(第2段階に移行し、レストランやバーなど屋外施設でのサービスが再開)や、A米政権による現金給付第2弾の計画発表、B株高・原油高を背景としたリスク選好ムード、Cトランプ米大統領による「(米中貿易合意について)全く損なわれていない」との発言(ナバロ米大統領補佐官による「中国との通商協議は終わった」との発言に対する火消し)が支援材料となり、アジア時間には一時107.22まで上値を伸ばす場面も見られました。
しかし、一目均衡表雲上限や、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、D新型コロナ第2波への警戒感や、E米経済指標の冴えない結果(米6月製造業PMI、米6月サービス業PMIが予想比下振れ)、Fメキシコで発生した大地震に伴う不安感、Gソフトバンクグループによる「米携帯電話大手TモバイルUSの保有株を最大で1.98億株(≒約210億ドル)売却する」との一部報道、H直近安値(6/11に記録した106.57)を下抜けたことに伴う短期筋のロスカット(ストップSELL)が重石となり、米国時間には5/7以来となる安値106.08まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、106.50近辺で推移しております。
23日(火)のユーロドル相場は堅調な動き。@米ニューヨークにおける経済活動再開への期待感(第2段階に移行し、レストランやバーなど屋外施設でのサービスが再開)や、A米政権による現金給付第2弾の計画発表、B株高・原油高を背景としたリスク選好ムード、Cユーロ圏経済指標の力強い結果(ドイツやフランス、ユーロ圏の製造業PMI、サービス業PMIが軒並み市場予想を上回る好結果)、D冴えない米経済指標を受けたドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、約1週間ぶり高値となる1.1349まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1307近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、6/5に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、昨日(6/23)は一時106.07(約1カ月半ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限および雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(昨日はナバロ氏の発言をトランプ米大統領が火消しする展開に)、C朝鮮半島や中東、中印、香港、メキシコを巡る地政学的リスク、D新型コロナの第2波リスク(米テキサス州やフロリダ州、カリフォルニア州、ネバダ修、アリゾナ州、中国北京などで感染拡大の兆候)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、F全米各地で続く人種差別抗議デモ、Gソフトバンクグループによる巨額円転の思惑(米携帯電話大手TモバイルUSの保有株売却に伴うドル売り・円買いの可能性)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。外出規制の緩和(米ニューヨーク市の経済活動再開)や各国中銀による景気対策(米国による財政出動など)に伴う楽観ムードは長続きせず、ここから先は新型コロナ第2波リスク到来に伴うリスクオフ(株安・原油安→ドル円・クロス円売り)に注意が必要でしょう。欧米株や米長期金利の動向や、新型コロナ第2波に関するヘッドライン、米中対立に絡む続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:106.00ー106.80
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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