ドル円FRBによるドル資金供給措置発表を受けて反落。日銀短観が不冴なら続落の恐れも
海外時間の為替概況
31日(火)の外国為替市場でドル円は上昇後に急反落。@年度末公表相場における不足(実需と思しきドル買い円売り)や、A中国の製造業・非製造業PMIの急回復、B株式市場の底堅い動きが支援材料となり、米国時間朝方には、一時108.74まで急伸しました。しかし、C月末ロンドンフィキシングに向けたドル売りや、D米経済指標(シカゴPMIやCB消費者信頼感指数)の冴えない結果(※予想を上回りつつも前月比悪化)、E新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムードの再燃、
F本邦における東京ロックダウン懸念の高まり(本邦における先行き不透明感の高まり)、G米FRB(連邦準備理事会)による海外中銀へのドル資金供給措置の発表(海外の中銀が保有する米国債を担保に翌日物でドル資金の調達を可能とする措置)が重石となると、米国時間午後にかけて、107.46まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.62近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は下落後に急反発。@欧州圏(特にスペイン)における新型コロナウィルスの感染拡大(対ユーロでの円買い・ドル買い)や、Aユーロ圏・3月消費者物価指数(結果0.7%、予想0.8%)の伸び悩み、BECBによる追加緩和観測の高まりが重石となり、米国時間朝方には、一時1.0927まで下落しました。しかし、C月末ロンドンフィキシングに向けたドル売りや、D米経済指標(シカゴPMIやCB消費者信頼感指数)の冴えない結果(※予想を上回りつつも前月比悪化)、E米FRB(連邦準備理事会)による海外中銀へのドル資金供給措置の発表(海外の中銀が保有する米国債を担保に翌日物ドル資金の調達を可能とする措置)が支援材料となると、米国時間午後にかけて、1.1027まで反発する展開となりました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1017近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。しかし、資産現金化需要に伴うドル高や、米大型経済対策を背景としたリスク選好ムードに下支えされると、3/24には一時111.72まで反発する場面も見られました(僅か1ヶ月で10円下がって・10円戻す壮大な往って来い相場)。もっとも、足元では再び107円台半ばへ反落するなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(一目均衡表雲下限や転換線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドの下方ブレイクを実現)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、無制限量的緩和を決定した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化(米露会談で小反発するも戻りは鈍い)、H東京ロックダウン懸念の高まり(本邦における先行き不透明感)など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「続落リスク」が警戒されます。資産現金化需要の後退(ドル独歩高の後退)や、米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)、米経済指標の大幅悪化(ドル売り要因)、本邦における先行き不透明感の高まり(円高要因)が重石になると見られ、新型コロナウィルスを巡るヘッドラインや、原油価格の動向、日米の主要経済指標(日銀短観や、ADP雇用統計、ISM製造業景況指数など)、年度始めに絡む特殊フロー、東京ロックダウンを巡る続報を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:106.50ー108.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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