ドル円、リスク回避の円買いと米長期金利低下を受けて約半年ぶり安値圏へ
海外時間の為替概況
5日(木)の外国為替市場でドル円は急反落。@米民主党大統領候補選(スーパーチューズデー)で中道派のバイデン氏(前副大統領)が勝利したこと等を材料に、日本時間朝方には一時107.74まで上昇しました。しかし、A新型コロナウィルスのグローバルな感染拡大(英国での初の死者など)を受けて世界経済が一段と悪化するとの警戒感が強まると、B米主要株価指数の急落(NYダウ平均は1000ドル超の下落)や、C米長期金利の急低下(米10年債利回りは一時0.9%割れ)、C米・1月製造業受注(結果▲0.5%、予想▲0.1%)の冴えない結果、Dカリフォルニア州ニューサム知事による「州全域への非常事態宣言」発動等が重石となり、米国時間午後にかけては、昨年9/4以来、約半年ぶり安値となる106.22まで急落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、106.43近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は底堅い動き。@来週予定されているECB理事会での追加緩和観測(緊急利下げの思惑)を背景に、欧州時間朝方には、一時1.1122まで下げ幅を広げました。しかし、Aユーロ圏の財政出動期待や、B米長期金利急低下(米10年債利回りは一時0.9%割れ)、C米・1月製造業受注(結果▲0.5%、予想▲0.1%)の冴えない結果が支援材料となると、米国時間午後にかけては、本年1/2以来、約2ヶ月ぶり高値となる1.1218まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1194付近で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週木曜日(2/20)に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、昨日米国時間には、約半年ぶり安値となる106.22まで急落しました(約2週間で5円99銭の急落劇)。この間、一目均衡表雲転換線や基準線、一目均衡表雲上限及び雲下限、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転及び、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「続落リスク」が警戒されます。世界的な金融緩和及び財政出動期待を背景に、都度持ち直す場面は見られるものの、新型コロナウィルスの感染拡大を受けた世界経済への悪影響は深刻であり、当面は上値の重い展開(戻りが鈍い展開)が続くと予想されます。本日発表される米雇用統計が冴えない結果となった場合や、新型コロナウィルスに絡むネガティブな報道(欧州や中東、米国への感染拡大報道)がなされた場合などには、@日米金融政策の方向性の違い(緊急利下げに踏み切る米国と、追加緩和手段に乏しい日本。市場では再来週のFOMCでFRBが更に50bpの利下げに踏み切ることを織り込む催促相場に)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
「米景気減速懸念→米利下げ観測→米長期金利低下→ドル売り」の経路と、「世界経済の低迷→グローバルな株安→リスク回避の円買い」の双方の経路で、ドル円が一段と押し下げられるリスクも想定されます。米株及び米長期金利の動向や、米経済指標の結果、新型コロナウィルスを巡るヘッドラインを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(節目106円丁度を死守できなかった場合、9/4安値105.74を試す展開も視野に入る)。
本日の予想レンジ:106.00ー107.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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