ドル円、中国金融市場の再開(アク抜け)と良好な米経済指標で反発するも戻りは鈍い
海外時間の為替概況
3日(月)の外国為替市場でドル円は反発。春節明けの中国金融市場の再開を巡る警戒感を背景に、日本時間朝方に一時108.32まで下げ幅を広げるも、先週末金曜日に記録した直近安値108.32と同水準で下げ渋ると、その後は、@上海株や人民元相場が下落しつつも概ね想定の範囲内であったこと(上海株は前営業日比7.72%安、深セン株は前営業日比8.44%安)、A中国人民銀行が18兆円規模の資金供給オペを実施すると共に、B中国証監会が償還以外で株式売らないよう一部の投資信託マネジャーに要請したこと、C上記ABなどの措置を受けて中国金融市場を巡るリスク警戒ムードが幾分後退したこと(アク抜け感)、D米・1月製造業PMI(結果51.9、予想51.7)や、
E米・1月ISM製造業景況指数(結果50.9、予想48.5)が市場予想を上回る良好な結果となったこと等が支援材料となり、米国時間には一時108.81まで反発しました。しかし、F一部通信社が「中国は米中協議の第1段階合意を巡り米国の柔軟性を求めている」と報じたことや(米中対立リスクの再燃)、G米疾病予防管理センターが2件目の「人から人への感染」を発表したこと等が重石となると、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では108.64近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は上値の重い展開。@英政府がEUとの貿易交渉において強気な姿勢を見せたこと(英国合意なき離脱リスクの再燃)、A上記@を受けて英ポンドが急落し、ユーロドルも連れ安となったこと、B良好な米経済指標(米・1月製造業PMIや、米・1月ISM製造業景況指数など)を受けてドル高が加速したこと等が重石となり、米国時間には、一時1.1037まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では1.1063近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、1/17に記録した高値110.29をトップに反落に転じると、昨日朝方には一時108.32まで下落しました。この間、109.70近辺に控える支持帯(強力なサポート水準)や、一目均衡表転換線及び基準線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上限及び下限を下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(米国時間に持ち直すも、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれ結局失速)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク。新型コロナウィルスの対応を巡り中国が米国を非難)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスクなど、ドル売り・円買いを想起させる材料がたくさん残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ(戻り売り)」が意識されます。新型コロナウィルスの感染拡大に端を発した世界経済への下押し圧力や、米中対立懸念の再燃、英合意なき離脱リスクの再燃も、株安を通じて、リスク回避的な円高を後押しする可能性があります(昨日は米株が持ち直したことでドル円も反発に転じましたが油断は禁物)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落(戻り売り戦略)をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:108.20ー109.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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