<< 東京市場の動き >>
28日の東京市場は、ドルが小高い。乱高下はあったものの、終わってみれば「寄り付き安・大引け高」の様相だった。
ドル/円は108.85円前後で寄り付いたのち、ドルがじり高推移。前日比216円と安寄りした日経平均株価が下げ幅を縮小させたうえ、時間外で取引されているNYダウ先物も一時100ドルを超える上昇をたどったことなどが好感された。
新型肺炎に対する警戒感は依然として強いものの、日米株価に調整的な動きが観測されたことで為替も小康、ドルの買い戻しが先行している。16時時点では109.05円前後で推移し、欧米時間を迎えていた。
材料的に注視されていたものは、「新型肺炎」と幾つかの「米国ファクター」について。
前者は、「モンゴルが中国との国境を通行止めに」、「首都北京で初の死者が出た」−−など、依然としてネガティブ、被害拡大のニュースが相次ぐ。ただ、トランプ米大統領が、中国の習国家主席と緊密に連絡を取っていることを明らかにしたうえで、「いかなる支援も提供すると伝えた」と指摘。危機感の緩和に一役かい、わずかながら安心感も。なお、中国当局は最新公式見解として「感染例は4515件、死者は106人」と発表した。
対する後者は、まずロス米商務長官が「EUが『炭素税』を導入すれば報復する考えを示した」ことが一部で話題に。また、トランプ氏がイスラエル首相と会談を実施し、「中東和平案を29日に公表する」と明らかにしている。そのほか、ウクライナ疑惑をめぐり、ボルトン前米補佐官の著作で疑惑が裏付けられた、とする報道などが観測されるなか、トランプ氏が「ボルトン氏の主張は本を売ることが目的」などと完全否定したという。
<< 欧米市場の見通し >>
金融市場だけでなく一般の関心も高い新型肺炎について、筆者は昨日、対比されることの多い2003年「SARS(重症急性呼吸器症候群)」のケースでは、事件表面化から鎮静化まで8-9ヵ月という時間を要していたとレポートした。かなりの長期化を覚悟する必要があるわけだが、そののち香港大の梁医学院長は「潜伏期の感染者も含めると約4万4000人にのぼる可能性がある」とする試算結果を発表したうえで、「4-5月ごろにピークを迎え、6月ごろから減少する」との見通しを示している。先のSARSに比べれば、短期間で終息する可能性もありそうだが、それでもまだ3ヵ月程度は必要か。引き続き予断は許さない。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「ウクライナ疑惑(トランプ氏弾劾の動き)」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型肺炎」など注意すべき要因は少なくない。目先とくに注視されているものは「新型肺炎」だが、「イラン情勢」も気掛かりだ。うち後者については、2月21日に実施される「イラン議会選」が俄かに脚光を浴びてきた。実際、昨日もイラン大統領が「トランプ大統領に邪魔させるな」と述べ、米国による選挙戦への介入を警戒するなど、今後新たな対立に発展する可能性も。
テクニカルに見た場合、基本的なリスクは依然としてドル安方向にバイアス。年初来安値107.65円を起点とした上げ幅のフィボナッチの61.8%押しにあたる108.65円レベル、そして移動平均の200日線が位置する108円半ばを目指す動きに変化はみられない。
しかし、短期的には株価、為替ともに調整的な戻り歩調を見込む声も多く、その場合ドル/円はいまだ埋め切れていない上方向のギャップ(109.10-30円程度)などがターゲットに。
一方、材料的に見た場合、1月の消費者信頼感指数や同リッチモンド連銀製造業指数といった米経済指標が発表される予定となっている。昨日発表された「ダラス〜」は予想を上回っただけに、本日の指標もそれに続く内容となるか否かに注目だ。
また、米財務省による7年債の入札、明日までの予定で実施される米FOMCにも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.70-109.60円。ドル高・円安方向は、引き続き上方向に空けたままのギャップ109.10-30円をめぐる攻防をまずは注視。超えれば109.65円レベルが次のターゲットか。
対するドル安・円高方向は、昨日安値108.73円が最初のサポート。また割り込んでも108.65円レベル、108円半ばなど下方向のサポートは数多く、引き続き底堅いイメージだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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