節目110円突破も上値は重い。リスクオンの賞味期限切れに要注意
今週のレビュー(1/13−1/17)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初109.49で寄り付いた後、早々に週間安値109.45まで下落しました。しかし、@中東を巡る地政学的リスクが後退したことや、A米国が中国に対する「為替操作国」認定を解除したこと、B米中第1段階通商合意の署名が実現したこと、C米・12月小売売上高・除く自動車(結果0.7%、予想0.5%)や、D米・1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果17.0、予想3.8)が市場予想を上回ったこと、E米上院が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を承認したこと等が支援材料となると、週末にかけて、昨年5/23以来、約7ヶ月半ぶり高値となる110.29まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では、110.13近辺で推移しております(110円台での週足クローズに成功)。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1125で寄り付いた後、@ドイツ・12月卸売物価指数(結果0.0%、前回▲0.1%)がマイナス圏を脱したことや、Aドイツ・2019年実質GDP成長率が前年比+0.6%と6年ぶり低水準を記録しつつも底堅さを示したこと、B米中協議の進展期待を背景にグローバルにリスク選好ムードが広がったこと(ユーロ円買い→ユーロドル連れ高の流れ)などが支援材料となり、週後半にかけては、一時1.1172まで上昇しました(1/7以来の高値水準)。しかし、一目均衡表転換線及び基準線付近で伸び悩むと、良好な米小売売上高を受けた米長期金利の上昇が重石となり、引けにかけては、安値1.1086まで再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では、1.1092付近で上値重く推移しております。
来週の見通し(1/20−1/24)
<ドル円相場>
ドル円は、1/8に記録した安値107.64をボトムに反発に転じると、今週末(1/17)にかけて、高値110.29まで上昇しました(7営業日で2円65銭の上昇)。この間、主要レジスタンスポイントである200日移動平均線や、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限、ボリンジャーミッドバンド、昨年11月以降幾度となく続伸を阻んできた109.70近辺の抵抗帯を全て突破した他、強い買いシグナルを表す三役好転も実現するなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果(米ISM製造業景況指数を中心に冴えない数字も目立つ)、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第1段階合意署名は実現するも、第2段階合意は後ずれする公算大。事実、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環境時報は「米中第2段階通商交渉はすぐに始まらない可能性がある」と報道)、D英国を巡る不確実性、E朝鮮半島を巡る地政学的リスク、F中東情勢の緊迫化など、ドル売り・円買いを想起させる材料は今尚たくさん残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「地合いの強さ」が見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが「続伸を阻む」シナリオが想定されます。心理的節目110円を突破したことで、短期筋のショートポジションは概ね解消(ストップアウト)された可能性が高く、余程強いドル買い・円売り材料が出てこない限り、ここからの続伸は容易では無いと考えられます(ショートカバー主導では無く、新規のロングエントリーを呼び込む新たな材料が必要)。来週は、日銀金融政策決定会合(1/20ー1/21)やダボス会議(1/21ー1/24)など重要イベントが複数予定されているものの、ドル円相場への影響は限定的と考えられます(日銀金融政策決定会合では現行の金融政策が維持される見込み)。この為、米中及び中東を巡るヘッドラインや、米主要株価指数及び米長期金利の動向、米経済指標の結果(米・1月製造業PMI速報値など)を睨みながらの神経質な展開が続くと予想いたします(心理的節目110円を巡る攻防の末、下落に転じるシナリオを想定。来週はリスクオンの賞味期限切れに要注意)。
来週の予想レンジ(USDJPY):108.75ー110.75
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、週後半にかけて1.1172まで上昇するも、心理的節目1.12台に到達できず反落に転じました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を意識させるチャート形状となりつつあります。目先は、1.10台後半に控える一目均衡表「雲上限・雲下限」を下方ブレイクできるか否かに注目が集まりそうです。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスク(一部メディアによると、トランプ米大統領は1/16、英独仏がイランの核合意への違反に対する非難を拒否した場合、欧州に25%の自動車関税を上乗せすると警告)、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Bイタリアの財政悪化問題、CECBによる追加緩和観測、D英国情勢の先行き不安など、ユーロ売りを意識させる懸念材料は根強く残っています。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。200日移動平均線を下回ったことで地合いは弱く、ユーロ圏主要経済指標(ドイツ・1月ZEW景況感調査や、ユーロ圏・1月製造業PMI速報値など)や、ECB理事会(ECBは今会合から2020年末まで、政策検証を実施する予定)を睨みながらも、来週はユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1000−1.1200
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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