来週の為替相場見通し:『節目110円突破も上値は重い。リスクオンの賞味期限切れに要注意』(1/18朝)

ドル円は、1/8に記録した安値107.64をボトムに反発に転じると、今週末(1/17)にかけて、高値110.29まで上昇しました(7営業日で2円65銭の上昇)。

来週の為替相場見通し:『節目110円突破も上値は重い。リスクオンの賞味期限切れに要注意』(1/18朝)

節目110円突破も上値は重い。リスクオンの賞味期限切れに要注意

今週のレビュー(1/13−1/17)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初109.49で寄り付いた後、早々に週間安値109.45まで下落しました。しかし、@中東を巡る地政学的リスクが後退したことや、A米国が中国に対する「為替操作国」認定を解除したこと、B米中第1段階通商合意の署名が実現したこと、C米・12月小売売上高・除く自動車(結果0.7%、予想0.5%)や、D米・1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果17.0、予想3.8)が市場予想を上回ったこと、E米上院が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を承認したこと等が支援材料となると、週末にかけて、昨年5/23以来、約7ヶ月半ぶり高値となる110.29まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では、110.13近辺で推移しております(110円台での週足クローズに成功)。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1125で寄り付いた後、@ドイツ・12月卸売物価指数(結果0.0%、前回▲0.1%)がマイナス圏を脱したことや、Aドイツ・2019年実質GDP成長率が前年比+0.6%と6年ぶり低水準を記録しつつも底堅さを示したこと、B米中協議の進展期待を背景にグローバルにリスク選好ムードが広がったこと(ユーロ円買い→ユーロドル連れ高の流れ)などが支援材料となり、週後半にかけては、一時1.1172まで上昇しました(1/7以来の高値水準)。しかし、一目均衡表転換線及び基準線付近で伸び悩むと、良好な米小売売上高を受けた米長期金利の上昇が重石となり、引けにかけては、安値1.1086まで再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では、1.1092付近で上値重く推移しております。

来週の見通し(1/20−1/24)

<ドル円相場>
ドル円は、1/8に記録した安値107.64をボトムに反発に転じると、今週末(1/17)にかけて、高値110.29まで上昇しました(7営業日で2円65銭の上昇)。この間、主要レジスタンスポイントである200日移動平均線や、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限、ボリンジャーミッドバンド、昨年11月以降幾度となく続伸を阻んできた109.70近辺の抵抗帯を全て突破した他、強い買いシグナルを表す三役好転も実現するなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果(米ISM製造業景況指数を中心に冴えない数字も目立つ)、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第1段階合意署名は実現するも、第2段階合意は後ずれする公算大。事実、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環境時報は「米中第2段階通商交渉はすぐに始まらない可能性がある」と報道)、D英国を巡る不確実性、E朝鮮半島を巡る地政学的リスク、F中東情勢の緊迫化など、ドル売り・円買いを想起させる材料は今尚たくさん残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「地合いの強さ」が見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが「続伸を阻む」シナリオが想定されます。心理的節目110円を突破したことで、短期筋のショートポジションは概ね解消(ストップアウト)された可能性が高く、余程強いドル買い・円売り材料が出てこない限り、ここからの続伸は容易では無いと考えられます(ショートカバー主導では無く、新規のロングエントリーを呼び込む新たな材料が必要)。来週は、日銀金融政策決定会合(1/20ー1/21)やダボス会議(1/21ー1/24)など重要イベントが複数予定されているものの、ドル円相場への影響は限定的と考えられます(日銀金融政策決定会合では現行の金融政策が維持される見込み)。この為、米中及び中東を巡るヘッドラインや、米主要株価指数及び米長期金利の動向、米経済指標の結果(米・1月製造業PMI速報値など)を睨みながらの神経質な展開が続くと予想いたします(心理的節目110円を巡る攻防の末、下落に転じるシナリオを想定。来週はリスクオンの賞味期限切れに要注意)。

来週の予想レンジ(USDJPY):108.75ー110.75

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、週後半にかけて1.1172まで上昇するも、心理的節目1.12台に到達できず反落に転じました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を意識させるチャート形状となりつつあります。目先は、1.10台後半に控える一目均衡表「雲上限・雲下限」を下方ブレイクできるか否かに注目が集まりそうです。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスク(一部メディアによると、トランプ米大統領は1/16、英独仏がイランの核合意への違反に対する非難を拒否した場合、欧州に25%の自動車関税を上乗せすると警告)、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Bイタリアの財政悪化問題、CECBによる追加緩和観測、D英国情勢の先行き不安など、ユーロ売りを意識させる懸念材料は根強く残っています。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。200日移動平均線を下回ったことで地合いは弱く、ユーロ圏主要経済指標(ドイツ・1月ZEW景況感調査や、ユーロ圏・1月製造業PMI速報値など)や、ECB理事会(ECBは今会合から2020年末まで、政策検証を実施する予定)を睨みながらも、来週はユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1000−1.1200

節目110円突破も上値は重い。リスクオンの賞味期限切れに要注意

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る