ドル円見通し、11月15日と21日のダブルボトムからの上昇続くが週末最後に失速(週報12月第1週)

12月6日に米雇用統計、12月10-11日に米FOMC、12月12日に英国総選挙、12月15日に米国の対中制裁関税第4弾の発動予定と重要イベントが続く時期に入る。

ドル円見通し、11月15日と21日のダブルボトムからの上昇続くが週末最後に失速(週報12月第1週)

ドル円見通し、11月15日と21日のダブルボトムからの上昇続くが週末最後に失速

【概況】

11月7日に109.48円の高値を付けたところから11月15日未明へ108.24円へ下落、11月18日に109.07円まで戻した後に11月21日午前安値108.26円まで再び下げたが新たな底割れは回避して持ち直した。米中通商協議の進展状況については強弱入り混じった報道の中だったが、27日の米GDP速報や米耐久財受注が予想を上回ったことで市場心理もリスク選好優勢となって株高ドル高が進み、ドル円は11月28日未明には109.60円をつけて8月26日以降の高値を更新した。

トランプ米大統領が28日早朝に米上下院が可決した「香港人権・民主主義法案」に署名して同法案が成立したと報じられ、中国側が即座に対抗姿勢を示したことで米中通商協議への悪影響も懸念されて11月28日午前に109.32円まで反落したが、中国側が具体的な対抗措置を示さなかったことと米国側も感謝祭のために追加情報を出さなかったことで市場も過剰反応するのは時期尚早として29日の日中は109.50円を挟んだ持ち合いで様子見となっていた。

11月29日夜はユーロが対ドルで一段安となり、ドル高感が強まったことで109.66円まで高値を切り上げたが、NYダウが終盤の反落で前日比112.59ドル安となったため、ユーロが反騰、ドル安感再燃でドル円も30日未明には109.39円まで下げ、109.50円を割り込んで週を終えた。ダウ反落にはNY原油が前日比で凡そ5%安と急落したことが影響した。

【米中通商合意への影響は?】

米国による「香港人権・民主主義法」成立に対して中国外務省は駐中国米大使を呼んで内政干渉を批判し、「重要な分野での協力に影響を与えるリスクがある」と警告したが、その後は新たな具体的対抗措置には言及していない。米国側も今回の香港法成立による通商協議への影響等については高官からのコメント等が出ていない。

各種報道によればトランプ大統領は法案に渋々署名したといわれる。米上下院がいずれも圧倒的な多数で法案を可決しているため、大統領が拒否権を発動してもその拒否権が議会で覆される可能性が高かったためという。トランプ大統領は米中通商協議で米国有利な合意を目指しており、今回の香港法成立により両国関係が険悪になることを避けたかったと思われるが、上下院を敵に回すわけにもいかず、香港問題を無視して通商合意を行った場合はかえって大統領再選へのマイナス材料となりかねないという状況だったといえる。
トランプ大統領も対中強硬姿勢で世界を主導する強い米国のリーダーシップを示すことを再選へのアピール材料とする選択をしているのかもしれない。

中国側も香港問題が欧米を敵に回し、通商協議で不利益になることは避けたいところだが、香港で下手を打てば国内問題へ飛び火し、習近平主席の地位も危うくなりかねない。
米中首脳が香港問題と通商協議合意への段取りを認識共有しつつ問題に対処している可能性も考えられるが、それよりも両者手詰まりで通商協議の越年、米国による中国企業への取引規制の強化、香港問題に関する世界的な批判拡大等へと情勢が悪化してゆけば、金融市場全般のリスク回避感も再燃しかねない。

【底上げ基調を維持できるか】

ドル円は8月26日底以降は10月3日安値、11月1日安値とほぼ1直線の支持線形成して底上げ基調を維持し、高値を切り上げてきた。11月15日未明への下落ではこの安値ラインを割り込み、26日移動平均もザラバで割り込む状況が続いていたが底上げ基調を維持した上で11月27日へ高値を更新した。
この底上げ基調を維持するうちは、小反落してもその後の上昇でさらに高値を切り上げる可能性も継続するが、11月15日未明安値108.24円を割り込む場合は底上げパターンが崩れ始め、52日移動平均も割り込んでくる。さらに11月1日安値107.88円を割り込むところからは下落協議基調が鮮明になってくると考えられる。

米中通商協議は香港問題でどう展開するかまだ分からないところだが、週明けからは米中双方から今後の姿勢を示す発言等も出てくると思われるが、それによって底上げパターンを維持しながらリスク選好優勢で進むのか、底上げパターンが崩れてリスク回避型へ転換するのかが見えてくると思われる。
12月6日に米雇用統計、12月10-11日に米FOMC、12月12日に英国総選挙、12月15日に米国の対中制裁関税第4弾の発動予定と重要イベントが続く時期に入る。状況がリスク回避型へ悪化する場合、特に株安が発生する場合は昨年12月のような急落型の円高ドル安となる可能性も多少あるのではないかと念頭に置いておきたい。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

2019年4月24日高値から8月26日安値への下げ波動に対する3分の2戻しは109.74円。
2018年10月4日高値と2019年4月24日高値を結ぶ右肩下がりの天井ラインは現在110円近辺に来ている。
9月18日高値から10月3日への下げ幅(-1.97円)の倍返しとなるV計算値は110.44円。
8月26日底から9月18日高値への上昇幅(+4.02円)を10月3日安値106.50円に加算するN計算値は110.52円。
8月26日から9月18日への上昇幅の二倍値は112.49円で4月24日高値112.39円を超える。

(1)当初、11月29日夜高値109.66円を上値抵抗線、109.00円を下値支持線とみておく。
(2)109.66円を超えずに109.50円以下での推移が続く場合はいったん109円試しを想定する。109円前後で買い戻されて109.50円超えへ切り返すところからは上昇再開とするが、109円を割り込んで続落に入る場合は11月21日からの上昇に対する揺れ返しの下落として108円台中盤を目指すとみる。また米中関連等でリスク回避感が相当に強まる場合は11月15日と21日のダブル底ラインを割り込む可能性もあるとみる。
(3)市場全般がさほどリスク回避とならず、米中通商協議は進展する可能性を継続するとみて高値追及の流れになる場合は109.66円超えから110円台中盤を目指すとみる。(了)<1日16:50>

【当面の主な予定】

12/2(月)
トランプ米大統領、NATO首脳会議出席で訪英 12月4日まで
08:50 (日) 7-9月期 法人企業統計調査・全産業設備投資額 前年同期比 (前期 1.9%、予想 5.0%)
09:30 (豪) 10月 住宅建設許可件数 前月比 (9月 7.6%)
09:30 (豪) 10月 住宅建設許可件数 前年同月比 (9月 -19.0%)
10:45 (中) 11月 財新製造業PMI (10月 51.7、予想 51.2)
16:00 (ト) 11月 製造業PMI (10月 49.0)
16:00 (ト) 7-9月期 GDP 前年比 (前期 -1.5%)
17:50 (仏) 11月 製造業PMI改定値 (速報 51.6)
17:55 (独) 11月 製造業PMI改定値 (速報 43.8、予想 43.8)
18:00 (欧) 11月 製造業PMI改定値 (速報 46.6、予想 46.6)
18:30 (英) 11月 製造業PMI改定値 (速報 48.3、予想 48.3)
23:00 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、欧州議会で証言
23:45 (米) 11月 製造業PMI改定値 (速報 52.2、予想 52.2)
24:00 (米) 11月 ISM製造業景況指数 (10月 48.3、予想 49.5)
24:00 (米) 10月 建設支出 前月比 (9月 0.5%、予想 0.4%)

12/3(火)
08:50 (日) 11月 マネタリーベース 前年同月比 (10月 3.1%)
09:30 (豪) 7-9月期 経常収支 (前期 59億豪ドル、予想 61億豪ドル)
12:30 (豪) 豪準備銀行、政策金利 (現行 0.75%、予想 0.75%)
16:00 (ト) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 2.00%)
16:00 (ト) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 8.55%)
18:30 (南) 7-9月期 GDP 前期比年率 (前期 3.1%、予想 0.0%)
18:30 (南) 7-9月期 GDP 前年同期比 (前期 0.9%、予想 0.3%)
19:00 (欧) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 0.1%)
19:00 (欧) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 -1.2%)

12/4(水)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前期比 (前期 0.5%、予想 0.5%)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前年同期比 (前期 1.4%、予想 1.7%)
10:45 (中) 11月 財新サービス業PMI (10月 51.1、予想 51.5)
17:50 (仏) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 52.9)
17:55 (独) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 51.3、予想 51.3)
18:00 (欧) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 51.5、予想 51.5)
18:30 (英) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 48.6、予想 48.6)
22:15 (米) 11月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (10月 12.5万人、予想 14.0万人)
23:45 (米) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 51.6、予想 51.6)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
24:00 (米) 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 54.7、予想 54.5)
24:00 (米) クオールズFRB副議長、下院金融サービス委員会で証言

12/5(木)
OPEC総会(ウィーン)
09:30 (豪) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.2%、予想 0.3%)
09:30 (豪) 10月 貿易収支 (9月 71.80億豪ドル、予想 68.00億豪ドル)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 1.3%、予想 2.2%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 -5.4%、予想 -2.2%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.1%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 3.1%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前年同期比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -525億ドル、予想 -489億ドル)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 )
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 164.0万人、予想 )
24:00 (米) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 -0.6%、予想 0.1%)
24:00 (米) クオールズFRB副議長、上院銀行委員会公聴会で証言

12/6(金)
OPECプラス会合(OPECとロシア等)
08:30 (日) 10月 全世帯消費支出 前年同月比 (9月 9.5%、予想 -2.5%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.6%、予想 0.2%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -4.3%、予想 -3.5%)
22:30 (米) 11月 非農業部門就業者数 前月比 (10月 12.8万人、予想 19.0万人)
22:30 (米) 11月 失業率 (10月 3.6%、予想 3.6%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前月比 (10月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前年同月比 (10月 3.0%、予想 3.0%)
24:00 (米) 10月 卸売在庫 前月比 (9月 -0.4%、予想 0.2%)
24:00 (米) 10月 卸売売上高 前月比 (9月 0.0%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (11月 96.8、予想 97.0)
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 95.1億ドル、予想 157.5億ドル)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

FXが初めての方向け特集

円通貨ペア 為替チャート・相場予想

米ドル(USD)

米ドル(USD)相場の焦点
  • ・米景気の先行き見通しと金融政策 ◎
    ・米中貿易戦争をはじめとする米保護主義の拡大懸念◎
    ・トランプ大統領弾劾の可能性 ◎↓
    ・ドル高の人為的是正の有無 ◎↓
    ・アメリカ第一主義、保護貿易政策への転換の経済への影響波及
    ・減税、インフラ投資等の実効性
米ドル/円 通貨ペア 詳細分析

ユーロ(EUR)

ユーロ(EUR)相場の焦点
  • ・英国EU離脱の今後の展開と影響 ○ 
ユーロ/円 通貨ペア 詳細分析

豪ドル(AUD)

豪ドル(AUD)相場の焦点
  • ・米中貿易摩擦による中国の景気減速懸念◎↓
    ・金融緩和打ち止め観測 ○↑
    ・国内ファンダメンタルズの相対的な安定 ○↑
豪ドル/円 通貨ペア 詳細分析

NZドル(NZD)

NZドル(NZD)相場の焦点
  • ・新政権下の中銀の政策スタンス変化の有無 △↓
    ・米中貿易摩擦による中国の景気減速懸念◎↓
    ・国内の住宅価格の高騰とピークアウト ○↓
NZドル/円 通貨ペア 詳細分析

トルコリラ(TRY)

トルコリラ(TRY)相場の焦点
  • ・エルドアン大統領の経済政策、中銀支配への不安◎↓
    ・政情不安、経済政策への不信による海外資金の流出 ○↓
    ・米国との関係悪化一段落◎↑
トルコリラ/円 通貨ペア 詳細分析

南アフリカランド(ZAR)

南アフリカランド(ZAR)相場の焦点
  • ・米中貿易摩擦で中国景気失速懸念◎↓
    ・ムーディーズによるソブリン格付け引き下げ懸念◎↓
    ・資源価格の下げ止まり ○↑
    ・金価格反発  △↑
南アフリカランド/円 通貨ペア 詳細分析

ライブ株価指数

政策金利表

ページトップへ戻る