ドル円見通し 10月22日高値を超えて戻り高値切り上がりに。拡張型持ち合いか逆三尊か(10/25)

108.50円割れは買い戻されているが、新たな高値更新へは進めずにいる。

ドル円見通し 10月22日高値を超えて戻り高値切り上がりに。拡張型持ち合いか逆三尊か(10/25)

【概況】

10月24日は23日午前安値108.25円からの反発が夕刻まで続き、108.74円の戻り高値をつけたが、夜間は欧州経済指標の悪化傾向、米国の耐久財受注の悪化等を背景に108.49円まで下落した。108.50円割れは買い戻されているが、新たな高値更新へは進めずにいる。

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で金融政策を現状維持とした。前回会合で決定した11月からの量的緩和再開を再確認する内容にとどまったが、ドラギ総裁が今月末で退任のため新たな動きを示す時期ではないとみて市場も現状維持を見込んでいたため、予想通りとして大きな反応は見られなかった。ただ、夕刻のPMIではフランスの製造業及び非製造業のPMIが予想を上回ったことでユーロが一旦上昇したのだが、その後にドイツの製造業及び非製造業のPMIが予想を下回り、ユーロ圏のPMIも揃って予想を下回ったために反落して23日夜の安値を割り込み、21日からの下落基調継続となっている。最近は特にドイツの経済指標悪化が目立ち、ECBも先行きはさらにマイナス金利の深掘りを求められる可能性が高まっている印象だ。
ブレクジット関連では、ジョンソン英首相が12月12日の総選挙を提案したことで混迷が深まるのではないかと懸念されるが、EUは25日にも離脱期限延期要請を受け入れる見込みであり、合意無き離脱によるハードランディングは回避される印象だ。ただ混迷が続けばポンドやユーロには不透明感による売り圧力もかかりやすい。

【米耐久財受注の悪化、FOMCへの利下げ圧力増す】

米経済指標も芳しくなかった。

米商務省が発表した9月の耐久財受注は前月比1.1%減、4ヶ月連続のマイナスで市場予想の0.8%減よりも悪かった。設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財受注も0.5%減で市場予想の0.2%減より悪く、前月に続いてマイナスとなった。

米労働省が発表した週間の新規失業保険申請は季節調整済みで21万2000件と前週比6000件減少し、市場予想の21万5000件を下回った。雇用関連の統計は前回の失業率改善も含めてさほど悪くはなく落ち着いている。

米商務省が発表した9月の新築戸建て住宅販売件数は季節調整済年率換算で前月比0.7%減の70万1000戸(年換算)となり市場予想通りだったが2ヶ月ぶりのマイナスとなった。住宅関連統計は悪化傾向が見られ始めた印象だ。

米経済指標の鈍化傾向は来週10月29日から30日に開催される米連銀FOMCの追加利下げ判断に寄与するとしてドル円には圧迫要因となるが、この日はダウの下げも小幅で10年債利回りも前日と変わらず程度の小動きだったためにドル円の反応も抑えられたものだった。FOMCについて市場は0.25%の利下げを見込んでいるが、トランプ米大統領は24日のツイートで「FRBは利下げをし、さらに理想的には刺激策を講じなければ職務怠慢だ」と批判し大幅利下げを迫っている。利下げ姿勢がやや前のめりか後ろ向きか、FOMC声明と会見で見定める必要がある。

【戻り高値は切り上がった】

10月3日深夜安値106.50円から10月17日高値108.93円までの上昇が一巡し、109円に届かないまま21日朝安値108.29円へ下落、22日午前高値で108.72円まで戻した後に23日午前に108.25円まで下げたため、60分足レベルでは安値が切り下がる二段下げとなった。しかし23日午前安値からの反発で24日夕刻には108.74円まで上昇して22日の戻り高値をわずかに超えた。
戻り高値が切り下がりに終われば次の下落で23日安値を割り込む一段安へ進む展開が想定されたが、戻り高値を切り上げたことにより60分足チャートの印象が変わってきている。
戻り高値を切り上げつつ安値も切り下がる場合はレンジが拡張する往来型の三角持合いとなり、下放れしてゆく可能性も考えられるが、23日午前安値から底上げして戻り高値を切り上げる場合は10月17日からの調整安を二段下げで終了して上昇再開に入る可能性が高まる。また21日朝安値と対になる水準まで下げても23日安値を割り込まずに高値を切り上げれば23日午前安値を中心とした60分足レベルの逆三尊型が完成して上昇期へ進む可能性も出てくる。

10月24日夕高値の後は新たな高値更新へ進めず、深夜には一旦108.50円を割り込んだもののその後は回復しているため、ややなで肩の逆三尊型を形成している印象が強まっているが、24日夜安値108.49円を割り込む場合はレンジ拡張型の往来により23日安値試し、ないしは底割れからの一段安入りへ向かう可能性も残った状況といえそうだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月23日朝の下落で21日朝安値を割り込んだため、23日朝時点では22日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、24日朝には22日高値に迫ったため、24日朝時点では22日高値を上抜く場合は21日朝と23日午前の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとした。24日夕刻に22日高値を超えたため、ダブル底からの強気サイクル入りとして25日午前から29日午前にかけての間への上昇を想定する。ただしダブルボトム形成によりサイクルが短縮されたため、戻りは短命の可能性もあるとみて、24日深夜安値108.49円割れからは弱気転換注意とし、23日安値108.25円割れからは底割れによる新たな弱気サイクル入りとして28日午前から30日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では24日朝への上昇で先行スパンを上抜き、その後も転落を回避しているが、108.50円を挟んでややレンジを拡張しながら持ち合いとなっているために遅行スパンは実線と交錯している。先行スパン転落から続落に入る場合は弱気転換注意として遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、24日夕高値を超えるところからは両スパン揃って好転となるので上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は24日朝高値から24日夕高値への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行が見られる。24日深夜にいったん40ポイントを割り込んだが切り返しているので現状は中立とし、60ポイント超えから上昇再開へ、40ポイント割れからは下げ再開へ進みやすいと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月24日深夜安値108.49円を下値支持線、10月24日夕高値108.74円上値抵抗線とする。
(2)108.49円を下回るか、わずかに割り込んでも切り返す内は24日夕高値試しとし、高値更新からはまず10月17日高値108.93円試しを想定する。109円手前は戻り売り圧力も大きいと思うが、17日高値を超えるところからは109.20円前後、さらに109.50円を目指す上昇を想定してゆく。
(3)108.49円割れから続落の場合、まず108.30円前後までの下げから108.50円以上へ切り返す場合は60分足レベルの逆三尊形成の可能性ありとし、24日夕高値更新からは逆三尊完成として109円超えを目指すとみる。
(4)23日安値108.25円を割り込む場合はレンジ拡張型の持ち合いによる安値切り下がりと仮定して108.00円前後試しを想定する。108円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、108円割れから続落に入る場合はレンジ拡張型持ち合いからの下放れとして107.50円前後へ下値目処を引き下げる。

【当面の主な予定】

10/25(金)
15:00 (独) 11月 GFK消費者信頼感 (10月 9.9、予想 9.8)
17:00 (独) 10月 IFO景況指数 (9月 94.6、予想 94.5)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 96.0、予想 96.0)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る