ドル円、米中協議進展期待で一時急伸するも107円ミドルを抜けられず
海外時間の為替概況
7日(月)の海外市場でドル円は上昇。米中閣僚級通商協議(10/10ー10/11)を前に様子見ムードが強まる中、アジア時間から欧州時間にかけては、106円台後半での横ばい推移が継続しました。しかし、@クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が「米国の証券市場に上場している中国企業の上場廃止は検討事項になっていない」と発言したことや、A一部メディアが「中国商務省は米国と合意する用意がある」「米中両国は交渉における複数の部分で合意」と報じたことが、米中協議進展期待→株高・債券安(金利は上昇)→リスク選好のドル買い・円売りの流れに波及すると、ドル円は、米国時間午後にかけて、107.46まで急伸しました。もっとも、90日移動平均線(107.49)が走る107円ミドルでは戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、引けにかけて再び反落。結局、107.30近辺まで押し戻されてのクローズとなっております。
一方、ユーロドルは上昇後に反落。ドイツ・8月製造業受注(結果▲0.6%、予想▲0.3%)が市場予想を下回ったことで、ドイツ経済の先行き不安→ECBによる追加緩和観測高進→欧州債利回り低下→ユーロ売りの流れが強まり、欧州時間時間序盤にかけて、一時1.0962まで下げ幅を広げました。しかし、一目均衡表転換線(1.0952)をバックに押し目買いが強まると、米国時間にかけて1.1000まで上昇しました。もっとも、3営業日連続で節目1.10トライに失敗すると(10/3高値1.1001、10/4高値1.0999、10/7高値1.1000)、一部メディアが「中国商務省は米国と合意する用意がある」「米中両国は交渉における複数の部分で合意」と報じたことに伴う「ドル買い」が重石となり、結局1.0970台まで押し戻されてのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/3安値106.48をボトムに底打ちすると、10/4安値106.58、10/7安値106.69と下値を段階的に切り上げる展開となっております。この間、一目均衡表基準線や、一目均衡表雲上限を突破するなど、テクニカル的みて、下落リスクはひとまず「小休止」と判断できます。米中閣僚級通商協議を前にポジション調整(ショートの買い戻し)が進んだ格好です。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@トランプ米大統領を巡る弾劾機運が一段と高まっていることや、A欧米を始めとした世界経済の減速懸念、B米中交渉を巡る先行き不透明感、C中東及び朝鮮半島を巡る地政学的リスク、D英国の合意なき離脱リスク、E香港情勢の緊迫化、F日米金融政策格差(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏む日銀との金融政策の方向性の違い)など、引き続き「ドル売り・円買い」に繋がり易い材料が多く残っています。昨日は、一部メディアより「米中両国が複数の部分で合意」と報じられたことで、米中協議に対する楽観ムードが広がりましたが、トランプ米大統領は前々から「部分合意は望まない。求めているのは完全な合意だ」と発言しており、今回のヘッドラインに過度に反応するのは危険と考えられます。本日は、米中に絡む続報や、トランプ米大統領のツイート、米・9月生産者物価指数の結果を睨みながらも、戻り売り優勢の展開を予想いたします。(本日の予想レンジ:106.90ー107.60)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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