ドル円、FOMCを経て高値を更新。ドットチャート中央値は年内追加利下げを示さず
海外時間の為替概況
18日(水)の海外市場でドル円は上昇。アジア時間から米国時間序盤にかけては、FOMC(連邦公開市場委員会)を前に様子見ムードが根強く、108円台前半(108.08ー108.28)での方向感に欠ける値動きが継続しました。この間発表された米・8月住宅着工件数(結果136.4万件、125.0万件)、米・8月建設許可件数(結果141.9万件、予想130.0万件)は共に力強い結果となりましたが、ドル円相場への反応は殆ど見られませんでした。
注目されたFOMCでは、予想通り25bpの利下げ(結果1.75%ー2.00%、前回2.00%ー2.25%)が実施され、声明文においても、次回追加利下げを示唆する「will act as appropriate(適切に行動するだろう)」の文言が残りました。しかし、同時に発表されたFOMC参加者によるFF金利予想分布図(ドットチャート)にて、17人のメンバーの2019年末の予想中央値が1.875%に留まり、2020年も追加利下げを見込んでいないことが明らかとなると、追加利下げ観測が後退し、ドル円は約1ヶ月半ぶり高値となる108.48まで上昇しました。
もっとも、2019年末は予想中央値こそ1.875%となったものの、17人中7人のメンバーが年内あと1回の利下げを予想している他、パウエルFRB議長も記者会見にて「経済が弱まれば、より大幅な利下げが必要になる可能性もある」と追加利下げの可能性も滲ませました。この為、ドル円は上昇しつつも値幅は限定的となっております。尚、トランプ米大統領は今回の決定を受けて「パウエル議長とFRBは再び失敗した。根性も分別もビジョンもない」と批判しました。
一方、ユーロドルは再び反落。FOMC前は1.10台半ばでの横ばい推移が続きましたが、FOMC後にドル買い圧力が強まると、1.1014まで下げ幅を広げました。もっとも、1.10台前半では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると引けにかけて小反発。結局1.1032まで持ち直してのクローズとなっております。尚、欧州時間序盤に発表されたユーロ圏・8月消費者物価指数・改定値(結果1.0%、予想1.0%)や、同コア指数・改定値(結果0.9%、予想0.9%)は共に市場予想通りの結果となりました。また、デギンドスECB副総裁より「経済のリスクは下を向いている」「金融政策だけで経済を回復させることはできない」と財政政策の必要性を滲ませましたが、市場の反応は限定的となっております。
ドル円のテクニカル分析
FOMCを経て、ドル円は高値を更新するも、本日開催される日銀金融政策決定会合や、明日の米中次官級通商協議を前に伸び悩む展開となりました。但し、テクニカル的に見ると、@90日移動平均線をクリアに上抜けている他、A強い買いシグナルを表す三役好転や、Bバンドウォーク(上限)の発生、 Cダブルボトムからの上放れなど、モメンタムの強さが確認されます。
本日開催される日銀金融政策決定会合では、「金融政策の現状維持」が予想されます。ECBやFRBが追加利下げに踏み切ったことで、日銀もマイナス金利の深掘りを行うのではないかとの見方が一部でありますが、@円高懸念が解消されつつあること、A米中通商協議や、B英合意なき離脱の最終決定を今来月に控えていること、C追加緩和を行うことで却って金融政策の限界を露呈する結果に繋がり易いことなどを考慮すれば、このタイミングでの追加緩和(マイナス金利の深掘りや、フォワードガイダンスの強化、長期金利の変動幅拡大など)は適切ではないと考えられます。この為、現状維持決定後はドル円がやや下落に転じる可能性が高いでしょう。但し、次回10月の追加緩和に向けての地均らし(総括的検証の指示など)が行われる可能性は否定できず、この場合は、ドル円が一時的に上昇する展開も想定されます。日銀金融政策決定会合後の乱高下に注意が必要です。
本日の予想レンジ:108.00ー109.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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