ドル円見通し ダウは戻したがドル円は低調で105.50円前後支持線の三角持ち合い(8/9)

8日も株安が緩んだ状況の中で午前高値で106.29円まで戻したものの106円台序盤を超えて戻り高値を切り上げられず、9日早朝には106円を割り込んでいる。

ドル円見通し ダウは戻したがドル円は低調で105.50円前後支持線の三角持ち合い(8/9)

【概況】

ドル円は8月1日未明に米連銀FOMCが0.25%の小幅利下げにとどめて利下げ判断を限定的なものとしたことからいったん上昇して109.31円の高値を付けたが、その後にトランプ大統領が中国への制裁関税第4弾発動を宣言したことでリスク回避感が急拡大して急落に転じ、週明けの続落で6月25日安値106.75円を割り込み、6日朝には105.52円の安値を付けた。株暴落が一服した6日昼過ぎに107.08円まで一時的な反騰を見せたものの107円台を維持できずに7日深夜には105.49円まで失速して6日朝安値をわずかに割り込んだ。8日も株安が緩んだ状況の中で午前高値で106.29円まで戻したものの106円台序盤を超えて戻り高値を切り上げられず、9日早朝には106円を割り込んでいる。

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで20万9000件となり前週比8000件減少して市場予想の21万5000件を下回った。また失業保険受給者総数は168万4000人で1万5000人減少して市場予想の169万人を下回った。これらは若干のドル高材料となったが市場の反応は限定的だった。

60分足チャートでは6日朝と7日深夜安値が105.50円前後でほぼフラットな下値支持線となり、高値ラインが6日昼から8日午前へ切り下がっているため「支持線フラットで抵抗線切り下がりの三角持ち合い」型の様相となってきている。105.50円前後から切り返せば持ち合いの継続、106.50円超えへ戻せば持ち合いの抵抗線突破で戻りを試しに入る可能性も出てくるが、支持線割れに対する余裕が乏しいために持ち合い下放れから円高ドル安が加速しやすい状況にあると思われる。

【米中対立はもはや戦争=WSJ紙】

8月1日深夜にトランプ大統領が中国への制裁関税第4弾発動を宣言、9月1日から実施されることとなったために金融市場全般が動揺した。その後も米国が中国を為替操作国に指定し、中国側が米国産農産物の輸入停止姿勢を示し、人民元が1ドル7元を超えて2008年5月以来のドル高元安水準となったことで株安債券高・長期債利回り低下・ドル安円高を発生させた。
8月8日は中国人民銀行が対ドルの基準値を7元以上に設定したものの市場予想よりも元高水準に設定したために中国当局の元安誘導姿勢への懸念がやや後退したこと、中国の貿易統計で7月の輸出が前年同月比3.3%増と市場予想に反してプラスとなったことで市場全般がやや落ち着いた。
しかし米ブルームバーグ通信は8日、トランプ政権が中国による米国産農産物の購入停止を表明したことに対抗して中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)に対する輸出許可決定を先送りしていると報じており、米中対立感は解消していない。

8日の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙はエコノミストに対する調査において、米中関係が「摩擦」から「戦争」の段階に入ったと報じた。同紙はこれまで「戦争」との表現を避けてきたが、エコノミストに対する調査では「摩擦」か「戦争」かという問いに87%が「戦争」と回答したとしている。
8月1日深夜のトランプ大統領による関税発動宣言がドル安円高のトリガーだったため、9月1日から実施予定の関税拡大が延期されるような両国の対話ムードへの変化が見られれば市場も安心するが、関税拡大実施が迫る中で対立感を煽る発言が続けば悲観先行の展開となりかねない。

NYダウは7月31日から8月5日にかけて5日間続落し、5日は前日比767ドル安と年初来最大の下落幅となり、7日も一時は589ドル安と続落して7月16日の史上最高値以降の安値を更新したが、その後は戻し、8日も371.12ドル高と反発したため、世界的な株暴落不安は一服しているが、乱高下続きであり波乱状態はさらに継続してゆく印象だ 米10年債利回りは7日に1.595%まで大幅低下して2016年10月以来の低水準となったが、その後は落ち着き、8日は1.72%で終了しているが2%を大きく割り込んで早期の追加利下げを催促する状況を継続している。

【世界的な金融緩和姿勢の拡大】

世界的な金融緩和姿勢の拡大傾向も円高を進めている。今週は8月7日にNZ中銀が利下げしたが、インドやタイも利下げした。8日にはフィリピンが利下げを決定、インドネシア中銀も来月の追加利下げ姿勢を示した。豪中銀やECBの緩和姿勢拡大もあり、リーマンショック対策で世界全体が大規模な金融緩和に走った時のような刺激的な規模ではないものの、米連銀による利上げ再開から金融引き締め感が強まってきた状況から一転して緩和へ向かう流れがドル円を押し下げてきている。
トランプ大統領は引き続き米連銀批判と利下げ催促発言を繰り返している。8日夜も「非常に強いドルに不満」「FRBが設定した高い金利がドル高を招いている」「「大幅利下げで米企業は競争が可能になる」と述べている。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは8月1日午前高値をサイクルトップとして下落してきたが、6日午前の反騰で強気転換目安とした5日夕高値を超えたために7日朝時点では6日朝安値を直近のサイクルボトムとした。また新たな底割れ回避のうちは7日の日中から8日にかけての間への上昇余地ありとしたが、すでに6日昼過ぎ高値でサイクルトップを付けた可能性があるので106.50円以下での推移中は下向きとし、106円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先するとした。
7日深夜の下落で6日朝安値を割り込んだため、8日朝時点では6日昼高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして次の底形成期となる9日午前から13日午前にかけての間への下落を想定した。7日深夜安値から戻した段階ではダブル底形成の可能性もあったが、106円台序盤までの戻りにとどまって失速気味のためダブルボトム形成よりも三角持ち合いの様相となり、持ち合い下放れによりボトム形成への下落が続きやすくなり始めていると思われる。強気転換には106.50円超え、さらに6日昼過ぎ高値を超える必要がある。

60分足の一目均衡表では6日朝安値以降が三角持ち合い型での推移に入っているため遅行スパンと先行スパンはいずれも実線と交錯を繰り返しているので方向感に乏しいが、先行スパンが戻り抵抗帯となっているので一段安しやすい状況と思われる。この間の安値更新からは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、両スパンそろって好転するところからは強気転換注意として6日昼過ぎ高値試しを想定する。

60分足の相対力指数は三角持ち合いの様相のために50ポイント台に乗せても維持できずにいる。60ポイント超えからは上昇再開感が強まるが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月7日深夜安値105.49円を下値支持線、8日午前高値106.29円を抵抗線とする。
(2)106.29円以下での推移中は一段安警戒とし、7日深夜安値割れからは2018年3月26日安値104.63円試しを想定する。104円台中盤では買い戻しも入りやすいとみるが、下落が加速する場合は104円割れもあり得ると注意する。
(3)106.29円超えからは上昇再開の可能性ありとし、106.50円超えからは6日昼過ぎ高値107.08円試しとする。高値更新に至らずに106円を割り込むところからは下げ再開とするが、6日昼高値超えの場合は8月1日からの下落一巡による反騰入りで107円台中盤を目指す可能性が出てくると考える。

【当面の主な予定】

8/9(金)
休場 シンガポール、南アフリカ
10:30 (中) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 2.7%、予想 2.7%)
10:30 (中) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 0.0%、予想 0.0%)
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、四半期金融政策報告
15:00 (独) 6月 貿易収支 (5月 206億ユーロ、予想 198億ユーロ)
15:00 (独) 6月 経常収支 (5月 165億ユーロ、予想 214億ユーロ)

17:30 (英) 6月 月次GDP 前月比 (5月 0.3%、予想 0.1%)
17:30 (英) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (前期 0.5%、予想 0.0%)
17:30 (英) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (前期 1.8%、予想 1.4%)
17:30 (英) 6月 鉱工業生産指数 前月比 (5月 1.4%、予想 -0.2%)
17:30 (英) 6月 鉱工業生産指数 前年同月比 (5月 0.9%、予想 -0.3%)
17:30 (英) 6月 製造業生産指数 前月比 (5月 1.4%、予想 -0.2%)
17:30 (英) 6月 商品貿易収支 (5月 -115.24億ポンド、予想 -118.00億ポンド)
17:30 (英) 6月 貿易収支 (5月 -23.24億ポンド、予想 -26.00億ポンド)

21:30 (米) 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 1.7%、予想 1.7%)
21:30 (米) 7月 生産者物価コア指数 前月比 (6月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 生産者物価コア指数 前年同月比 (6月 2.3%、予想 2.4%)

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