<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、ドルが弱含み。週のザラ場ベースでは直近の戻り高値を一時更新する局面も見られたが続かず。結局、週末は週間を通したドルの最安値圏で大引けている。
前週末は、「トランプ劇場」とも言える大統領発言のオンパレード。対中を中心とした貿易問題や北朝鮮、イラン、人種差別問題など多岐にわたるコメントが観測されるなか、週明けの為替市場がオープンしている。しかし、マーケットへの影響は限定的で、ドル/円は108.60円前後と、前週末のNYクローズよりわずかに円高レベルで寄り付いただけだった。
その後、週の半ばまで、7月中は108.40-109.00円といったレンジ取引で方向性に乏しかった。ただ、それが「嵐の前の静けさ」だったのか、8月入りした途端、週末にかけ上下に振れる大荒れの様相となった。一時レンジを上抜け109.30円台まで上昇するも、それが「ダマシ」に。そののち106円半ばまで、3円近い急落をたどり、週末NYも週間のドル安値圏をキープ、106.60円前後で取引を終え越週している。
一方、週間を通して注目された材料は「米金融政策」と「米中貿易協議」について。
前者は、30-31日に開催されるFOMCを前に、トランプ米大統領から「小幅な利下げでは不十分」とした発言などが聞かれ、利下げ幅に対して関心が高まるなか、米当局が選んだ結論は「0.25%の利下げ」。また、その後の会見でパウエルFRB議長は「長期にわたる一連の利下げの始まりではない」との発言、予想以上のタカ派スタンスを示していた。そうした動きについて、トランプ氏は即座に反応、「失望した」と早くも不満を表明している。
対して後者は、FOMCと同じ日程30-31日に協議がトータル5時間ほど実施されたものの、具体的な進展はなし。実際、終了後に中国外務省の華報道局長から、「貿易協議で米国はもっと誠意をみせるべき」などとした異例の非難コメントが聞かれていたほどだった。それに対し、トランプ氏も「米国は合意に至るまで課税する」、「中国は自国通貨を下落誘導している」−−などと反論、むしろ関係悪化が如実になった感を否めない。
そのほか単発モノとして、北朝鮮が7月25日に続き同31日、8月1日とわずか1週間強で3度もの「ミサイル発射」を実施している。マーケット的には、一時リスク回避機運が高まったこともあったが、いずれもトランプ氏が「問題視しない」などと不問に処したことで、影響は限られたものにとどまっている。一方、先週発表された米経済指標は全般マチマチながら、週末に発表された7月の雇用統計はやや失望を誘う結果に。もっとも注視されている非農業の7月当月の数字はほぼ事前予想通りながら、5月と6月分が下方修正され、それが嫌気されていた。
<< 今週の見通し >>
7月は月間を通して1.8円レンジにとどまるなど小動きだったが、8月に入った途端荒っぽい変動をたどっている。実際8月1日、一日だけで107.25-109.32円の2円強動いており、翌2日もなかなかの変動幅だった。まだサポートを完全に割り込んだとは言えないものの、ドルの下値リスクが高まっていることは間違いなさそうで、先週安値106.51円を「しっかり」下回るとドルはさらなる下値模索か。ちなみに、次のターゲットは106.05円レベルで、割り込めばいよいよ105円台突入もみえてくる。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米金融政策」などが依然として注視されている。そのいずれも大事だが、とくにとなると「米貿易問題」と「米金融政策」、後者の2つだろう。まず米貿易問題については、週末に中国の新国連大使が「米国が戦いたいなら我々も戦う」などと述べたと報じられるなど、先行きの不透明感を否めなくなっている。さらに、米金融政策は先でも指摘したように、7月FOMCの結果にトランプ氏が不満を表明していることから、今週予定されている米経済指標の内容や、通貨当局者の発言には大いに注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドル下落のスピードが若干早いことは気掛かりだが、1ヵ月以上続いたレンジの下限を割り込んできた感のあることからすると、リスクは下向きか。次のターゲットとして意識される106.05円レベルを下回れば、105円台突入が現実味を増してくる。再三再四指摘しているように、経験則にみて「8月相場はドル安・円高有利」とされるが、まさに経験則を裏付けるような展開をたどる可能性もありそうだ。
一方、材料的に見た場合、7月のISM非製造業総合指数や同生産者物価指数といった幾つかの米経済指標が発表されるほか、米財務省による10年債や30年債の入札も実施される予定となっている。
そのほか、プラード・セントルイス連銀総裁による講演など、通貨当局者による発言機会もいくつか観測されており、そちらも要注意。また、米国との金利差という点からすれば、豪州やNZ中銀による政策金利の発表を警戒する声も少なくない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、105.50-108.00円。ドル高・円安については、107.30円前後に弱い抵抗があるものの、強くて意識される抵抗はというと、週間を通してほぼ108円前後で横ばいに推移する日足・一目均衡表の先行帯の雲の下限か。突破すれば、ドルの下値リスクはかなり軽減しそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値の106.51円をめぐる攻防にまず注視。割り込むと106.05円レベル、さらには105円半ばなどがターゲットに。
オーダー/ポジション状況
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