【概況】
7月10日の米連銀パウエル議長下院議会証言をきっかけとしてドル円は下落に転じて7月19日には安値で107.19円まで下げたが、その後は早期大幅利下げ期待がやや過剰だったとして揺れ返しの上昇に入った。7月24日未明には108.28円まで戻り高値を切り上げ、24日深夜には107.94円まで小反落したが108円割れを買い戻されて25日早朝も108円台序盤を維持している。
7月24日夜に米商務省が発表した6月の新築戸建て住宅販売件数は季節調整済みで前月比7.0%増の64万6000戸(年換算)となり市場予想の65万9000戸を下回ったが市場の反応は鈍かった。
ムニューシン米財務長官は24日のCNBCとのインタビューで、 米中両政府が30、31日に上海で閣僚級の貿易協議を開くと明らかにした。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とともに訪中して中国の劉鶴副首相らと話し合う。FOMCの結果と共にその後のドル円の方向性を決めるきっかけとして注目するところだが、これまで何度も協議再開しては決裂してきたので、2日間の協議ではまとまらないのではないかと思われる。
7月25日早朝、北朝鮮が短距離ミサイル2発を発射したが市場は特に反応していない。
日米通商協議が7月24日から26日までの間で開催されている。詳細は出てこないと思われ、最終的には9月下旬のニューヨークにおける国連総会に合わせた日米首脳会談で結果が発表されるのだろうが、先の首脳会談でトランプ大統領は安倍首相との協議内容についての公表は選挙の後だと述べているので、9月の首脳会談前にトランプ政権側からリークされる可能性もある。この問題はいずれドル円の上値を押さえるものになるのだろうと思われる。
【FOMC前】
市場は来週(7月30-31日)のFOMCを控えてやや動きが鈍くなっている。今回のFOMCでは0.25%の利下げを決定することはほぼ確実視されているが、そこまでは市場も織り込んでおり、さらに緩和継続拡大姿勢が示されるかどうか、利下げ後は暫く様子見となるのかどうか見定めたいところにある。
7月19日以前は利下げへの積極姿勢を過剰に期待し、19日以降は0.25%の利下げで当面は落ち着くのではないかとの揺れ返しがやや優勢というところだ。0.50%の利下げならドル円にとっては弱気サプライズで急落反応する可能性がある。0.25%の利下げでも年内追加利下げ及び段階的な利下げ継続や量的緩和再開姿勢が強まる様なハト派的内容ならドル円も下落を再開しやすくなる。利下げ見送りなら強気サプライズで急騰する可能性もあり、0.25%利下げしても当面は様子見に入るという追加利下げへの消極姿勢ならドル高感が継続してゆくと思われる。市場心理を探る上では26日の米4-6月期GDPが市場予想より弱いかどうかとその後の市場反応が大事になってくると思う。
【60分足一目均衡表。・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月19日朝安値を直近のサイクルボトムとして反騰したが、前回サイクルトップの7月17日未明高値から5日目となる24日未明高値でサイクルトップを付けて弱気サイクルに入ったと思われる。今回のボトム形成期は24日朝から26日朝にかけての間と想定されるが、24日深夜安値から反発しているので、既に24日深夜安値でボトムをつけた可能性がある。
7月24日未明高値を超えない場合は25日夜から26日朝にかけて一段安する可能性がある。また24日深夜安値を割り込む場合は24日未明高値と25日午前高値で小規模なダブルトップを形成して弱気サイクル入りする可能性も検討される。
7月24日未明高値を超えて続伸の場合は新たな強気サイクル入りとして27日未明から31日朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では24日未明高値の後は新たな高値更新へ進めずにいるため遅行スパンは実線と交錯して方向感に欠ける。24日深夜の下落では先行スパンからの転落を回避して戻している。このため先行スパンから転落しない内は上昇余地ありとし、24日未明高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンから転落の場合は一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は23日夜から24日未明にかけての高値切り上げに対して指数のピークが下がり、25日未明への反発でも指数のピークが23日のピークに届いていないため弱気逆行型となりやすい状況にある。50ポイントを割り込んでも切り返す内は65ポイント超えから上昇に弾みがつく可能性があるが、50ポイント割れから続落の場合は下向きとし、40ポイント割れからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.00円を下値支持線、7月24日未明高値108.28円を上値抵抗線とする。
(2)108円を上回る内は上昇余地ありとし、108.28円超えからは108.37円試しを想定する。108.37円を超えて続伸の場合は12日高値108.60円試しへ上値目途を引き上げ、108.25円以上での推移なら26日午前にかけても高値を試しやすいとみる。ただし、7月10日から19日への下げ幅に対する3分の2戻しが108.38円のため、108.35円以上へ戻した後の反落で108.15円割れからは下げ再開注意とする。
(3)108円割れからは24日深夜安値107.94円試しとし、107.94円割れからは小規模なダブルトップ形成による下落期入りの可能性も踏まえて107.70円前後への下落を想定する。売り材料を伴って107.70円割れとなる場合は107.50円前後まで下値目処を引き下げる。また108円以下での推移なら26日午前にかけても安値を試しやすいとみる。
【当面の主な予定】
7/25(木)
17:00 (独) 7月 IFO景況指数 (6月 97.4、予想 97.1)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 24.00%、予想 21.50%)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ドラギECB総裁、定例記者会見
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 -1.3%、予想 0.7%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 21.9万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.6万人、予想 168.8万人)
7/26(金)
08:30 (日) 7月 東京都区部コア消費者物価指数(生鮮食料品除く)前年同月比(6月0.9% 予想0.8%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP、速報値 前期比年率 (前期 3.1%、予想 1.8%)
21:30 (米) 4-6月期 個人消費・速報値 前期比 (前期 0.9%、予想 4.0%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE・速報値 前期比 (前期 1.2%)
オーダー/ポジション状況
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