<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場は、ドル安・円高。それも、「寄り付き高・大引け安」に近い値動きで、見た目以上にドルの弱さが目に付いた。
ドル円は109.55円前後で寄り付いたのち、日中高値の109.60-65円を示現。しかし、ドル買いは続かず、むしろ緩やかな右肩下がりをたどっている。109.20円や109円ちょうどなどで一時は下げ渋るも結局割り込み、日中安値である108.85円レベルへ。日経平均株価が大引けベースで300円以上下落したうえ、NYダウ先物も200ドルを超える下落となったことなどが嫌気されていたという。ドル円は、16時時点でも、そのままドル安値圏108.90-95円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、仮想通貨(暗号資産)ビットコインは再び大荒れ。未明に8700ドル台から9000ドル台へ急伸したのち、東京では一転して下値を探る動きに。8100ドルまで急落するなど、かなり激しい値動きのジェットコースター相場だった。
一方、材料的に注視されていたものは、引き続き「米貿易問題」。
最大の関心事項である米中について、ペンス副大統領「米は必要なら中国への関税を倍以上に上げられる」、米大統領「対中交渉は上首尾、中国は取引成立を希望」といった発言が聞かれるなか、突然「米、危機継続なら対メキシコ関税を10月1日までに25%に引き上げ」との報道が伝えられ、前記した日米などの株安、ドル安の一因に。なお、麻生財務相は会見で「米財務長官と為替条項の協議予定はない」と発言していた。
そのほか単発モノとして、トランプ氏「弾劾は卑劣で不快な言葉、最上級のハラスメント」、朝鮮日報「北朝鮮、米朝会談決裂後に金革哲氏らを処刑」、「日露外相が会談実施、北方領土問題など協議」、「改正資金決済法成立、仮想通貨は今後『暗号資産』に」−−などといった発言やニュースが報じられていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドルは昨日欧米時間に心理抵抗でもある110円に迫るも越えられず。そののち、目先高値から108円台まで1円を超える下落をたどり、テクニカルには、一連の動きのなかで逆にレンジ下限を割り込んできたことになる。昨年からの相場の特徴として「ダマシ」が非常に多いことが気掛かりながら、素直に見ればドルの下値リスクが高まったといって間違いないだろう。ちなみに、年初来安値104.10円を起点とした上げ幅の半値戻しは108.25円レベル。次のドルの下値メドとして意識されそうだ。
材料的に見た場合、「北朝鮮」や「イラン」、「米貿易問題」、「英国情勢」などが継続案件として引き続き注目されている。そのうち、「米貿易問題」がもっとも大きな波乱要因で、相変わらず米中は互いに一歩も引かないチキンレースの色彩を示している。そんな中、先で指摘した「対メキシコ」あるいは、昨日カナダ中銀上級副総裁が、米中に加え「米国とEUとのあいだの通商摩擦の高まりに懸念を表明」するなど、日米も含めて全方位に影響がうかがえるのは気掛かり。まだしばらくのあいだ、潜在的なドル安要因として寄与する可能性も。
テクニカルに見た場合、レンジの上抜けが失敗に終わる余韻に浸る間もなく、本日の東京時間に今度は下限を下回ってきた。昨日まで、今月は一度も109円割れをしなかったが、最後の最後になってドルは底割れ。108円台へと突入している。
基本的なリスクは下方向で、ドルの次の下値メドは1月31日安値である108円半ば、そしてフィボナッチを参考にした108.25円などとなるだろう。
一方、材料的に見た場合、4月のPCEデフレーターや5月のシカゴ購買部協会景気指数など幾つかの米経済指標が発表されるほか、ウィリアムズNY連銀総裁による講演などが実施される見込みだ。
また、米貿易問題絡みでいえば、本日ではなく明日6月1日、「中国が米国からの600億ドル相当の輸入品に対する追加関税を最大25%に引き上げる」予定だ。すでに織り込まれている部分が多いものの、実際の制裁措置発動を受けた影響が来週初め、月曜日の市場に出る危険性も一部で懸念されていた。
そんな本日欧米時間のドル円予想レンジは、108.30-109.30円。ドル高・円安方向は、これまでサポートとして寄与していた109円、あるいは109.20円レベルなどが逆にドルの抵抗に。抜ければ109円後半から110円に接近する展開も。
対するドル安・円高方向は、1月31日安値である108円半ばが次の下値メド。割り込むようだと、フィボナッチを参考にした108.25円がターゲットに。
ドル円15分足
オーダー/ポジション状況
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