ドル円、米中貿易摩擦を背景にリスク回避の円買い継続
海外時間の為替概況
昨日の海外市場でドル円は続落。7日の日本時間早朝に報じられたライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による「米政府は10日に対中関税を引き上げる」との発言や、ムニューシン米財務長官による「中国との貿易協議の方向は大きく変わった」との発言が嫌気される形となりました。米国時間には、米中貿易摩擦の深刻化懸念を背景にグローバルにリスク回避ムードが広がる中、ダウ平均が前日比マイナス647ドルまで急落。ドル円も一時110.18まで下げ幅を広げるなど、3/28以来、約1ヶ月半ぶり安値を更新しております。
一方、ユーロドル相場は終始上値の重い展開。ドイツ3月製造業新規受注(結果0.6%、予想1.6%)が市場予想を下回った他、欧州委員会による四半期経済見通しにて、ドイツの2019年成長率予測が前回の1.1%から0.5%へ引き下げられると共に、ユーロ圏の景気下触れリスクが「顕著」と警告されたことが重石となった格好です。ユーロドルは一時1.1166まで下げ幅を広げるなど、冴えない動きが継続しました。この間、ユーロ円相場は急落。ユーロドルの売りと、ドル円の売りが同方向で重なったことから、一時123.11まで急落するなど、1/4以来、約4ヶ月ぶり安値を更新しました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、111円丁度近辺や、4/10安値(110.84)、一目均衡表雲上限(110.81)をレジスタンスに再び反落に転じました。NY時間には一目均衡表雲下限(110.30)を割り込むなど、冴えない動きが続いております。終値ベースで一目均衡表雲下限を死守できなかったことから、強い売りシグナルを表す三役逆転(日足)が実現しました。テクニカル的に判断すれば、ドル円の続落リスクに警戒が必要でしょう。目先は110丁度の心理的節目が下値目処となります。同水準を割り込むことができれば、3/25安値109.72や、1/31安値108.49なども視野に入ってきます。中国の劉鶴副首相を含む代表団は9日から10日にかけての訪米が予定されており、本日も引き続き米中貿易摩擦を巡るヘッドラインに上下する神経質な展開が継続しそうです。
その他通貨では、本日予定されている南アフリカの総選挙に注目が集まります。与党・アフリカ民族会議(ANC)が議席を大幅に失うようであれば、政局不透明感から南アフリカ・ランドの売りが強まる恐れもあるでしょう。トルコではイスタンブール市長選のやり直しを受けてトルコリラが急落しました。米中貿易摩擦のみならず、足元では新興国発でのリスク回避ムードも強まりつつあります。対外純資産を多く抱え、低金利でキャリートレードの対象とされてきた日本円には当面上昇圧力が加わり易い地合いが続きそうです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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