レンジ内だが、下限割れうかがう様相に
30日の東京市場は、ドルが冴えない。小幅ではあるが、夕方にかけて下値を広げる展開となり、ドルは安値引けだった。
ドル/円は111.60-65円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。111.55-70円といったレンジ取引が続いたものの、その下限を割り込むと、日中安値である111.35円レベルまで値を崩している。NYダウ先物が弱含みで推移したうえ、米10年債利回りの低下などもドル売り・円買いに寄与していたようだ。16時時点では、日中のドル安値圏である111.40-45円で推移、欧米時間を迎えていた。
なお、そのほか目を引いた通貨は豪ドルを中心としたオセアニア通貨。発表された中国経済指標が弱い内容になったことが嫌気され、豪ドル/円は日中高値74.60円レベルから、74.10円台へと値を崩している。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易協議」について。
30日に実施される「閣僚級協議」を前に、米紙WSJ「米財務長官、貿易協議は来週末までに決着と発言」、IMF専務理事「米中交渉は合意すると思う」−−などといった楽観的な見通しがいくつか報じられていた。ただ、反面で米財務長官は「まだ課題が多く残っている」、「交渉が決裂する可能性も残っている」との認識も同時に示しており、交渉がスムーズに進むかどうか不透明感も残る。
そのほか単発モノとして、「自民幹事長、中国国家主席に『国賓』来日を要請」、北朝鮮サイト「『渋沢栄一』1万円札を非難」、朝鮮日報「中国国家主席、G20参加前の訪韓を検討」、「スペイン選管、プチデモン氏の欧州議会選出馬を認めず」、「米司法副長官、5月11日付で退任へ」−−との報道が観測されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
東京市場の休場という間隙を突く格好で、111.40円レベルという過去半月余りにわたるドルのサポートレベルを下回ってきた。まだ完全に割り込んできたわけではなく、再三再四指摘しているように「ダマシ」の多い相場ながら、ポジションの偏りなどを鑑みるとリスクはやはり下向きか。ちなみに、3月安値109.70円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%押しは111.35-40円で、半値戻しは111.05円、61.8%押しは110.70-75円などとなる。ドルの続落にも一応要注意。
材料的に見た場合、今週は「米中貿易協議」や「FOMC」、「4月の米雇用統計発表」といった注目要因が目白押し。そうしたなか、本日30日には「米中貿易協議」が予定され、会談内容が注視されている。前述したように、米国発で楽観的なトーンの発言が目につくものの、「まだ課題が多く残っている」、「交渉が決裂する可能性も残っている」といったクギを刺すようなコメントもなくはない。果たして、次の会合につながるような大きな進展が見られるのか否か、しっかりと注視したいところだ。
テクニカルに見た場合、まだレンジ内ではあるものの、111.40円レベルという過去半月ほどドルの下値を支えてきたサポートレベル割れをうかがう様相を呈してきた。
そんなドルのサポートである111.40円レベルはフィボナッチで見た際のテクニカルポイントでもある。割り込むようだと111.05円や110.70-75円などがターゲットに。逆に、下値でがっちりとサポートされた場合には、再び112円をうかがうドルの反発も。
一方、材料的に見た場合、4月のシカゴ購買部協会景気指数や同消費者信頼感指数など幾つかの米経済指標が発表されるほか、ゼネラルモーターズをはじめとする決算発表も予定されている。
また、何度も指摘している「米中貿易協議」の行方は当然注意すべきであるうえ、ダークホース的な要因で気になるのが明日の「欧米レーバーデー」を前にした過激派組織などによる「テロ行為」。実際、昨日も「米FBI、ロス近郊で爆発物テロを計画した男を逮捕」との報道が観測されていた。引き続き関連報道には注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.80-111.70円。ドル高・円安方向は、本稿執筆段階で下回って推移している移動平均の200日線や25日線が位置する111円半ばが最初の抵抗。再び超えてくれば、昨日高値111.90円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、まだしっかりと割り込めていない111.40円レベルの攻防に引き続き注視。底堅いイメージはいまだ残るものの、しっかり割り込めば110円台突入の芽もみえてくる。(了)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.21
来週の為替相場見通し:『日米金融政策格差に着目したドル買い・円売り基調が続く見通し』(12/21朝)
ドル円は12/3に記録した約2カ月ぶり安値148.64(10/11以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、今週は一時157.93(7/17以来の高値圏)まで急伸しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.12.20
東京市場のドルは一時156円台まで下落、口先介入の影響力は限定的で円安ドル高再燃か(24/12/20)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、158円台に迫る場面が見られたものの、加藤財務大臣らによる口先介入などが重しとなり156円台まで下落する場面が見られた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.12.20
ドル円 上昇リスク高いが、調整の動きにも要注意(12/20夕)
東京市場はドルが弱含み。本邦要人からの口先介入もあり、円の買い戻しが優勢だった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2019.05.01
ドル円、続落。約3週間ぶり安値圏へ(5/1朝)
30日のドル円相場は、中国の主要経済指標(4月製造業PMI <結果50.1、予想50.7>、4月非製造業PMI <結果54.4、予想55.0>、4月財新製造業PMI <結果50.2、予想51.0>)
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2019.04.30
ドル円、反発するも上値は重い。112円手前に心理的なレジスタンス(4/30朝)
29日のドル円相場は、東京時間早朝に一時111.53(日通し安値)まで下落するも、チャートポイントとして意識される200日移動平均線(111.50)にサポートされると、
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。