【概況】
4月13日高値で112.09円をつけた後、4月17日に112.16円をつけて4月13日高値及び3月5日高値112.12円を上抜いた。この段階では3月25日安値を中心とした逆三尊形成の一段高で1月3日以降の上昇波動が二段上げ型に発展する可能性が高まったが、その後が続かずに18日には111.76円まで下げて16日安値111.83円を割り込んだ。このため逆三尊からの一段高入りには「待った」がかかった。19日から22日までのイースター休暇中は動意の薄い展開が続き、112円をやや下回る程度のところでの横ばいが続いた。4月22日は欧州やオセアニアが連休で米国市場は再開したものの休暇ムードで動きは緩慢だった。日中から夜へユーロがやや上昇したもののその後は失速している。
米不動産業者協会(NAR)が22日に発表した3月の中古住宅販売件数は季節調整済み年換算で前月比4.9%減の521万戸となり市場予想の530万戸を下回った。市場の反応は限定的だった。株式市場はまちまちでNYダウは48.49ドル安と下落したがナスダック総合指数は17.21ポイント高と上昇。米10年債利回りは前日比0.03%上昇の2.59%。
【ダウと同調してきたNY原油の一段高】
4月22日に目立ったのはNY原油の一段高。2019年5月限が前日比2.7%高の65.70ドルへ上昇して昨年10月30日以来の高値を付けた。米国が昨年11月に再発動したイラン産原油禁輸制裁に関し、日本など8カ国・地域への適用除外を延長しない方針だと21日に米紙ワシントンポスト電子版が報道、ホワイトハウスもこの報道内容に沿って制裁緩和を解除する姿勢を示したため米国とイランの対立激化懸念が中東情勢不安、原油供給不安となった。NY原油は昨年10月3日から12月24日にかけてNYダウの10月3日天井から12月26日への暴落とほぼ同調して大幅下落したが、その後はNYダウのV字反騰とともに大上昇してきた。
昨年1月以降はNYダウと原油は同調性が目立っており、原油高が資源関連株高を呼び、株安が需要低下懸念で原油も下げるという相関度が強まっている。原油上昇基調が継続中はダウも上げ安く、ダウが下げれば原油も下げて両者の下落が暴落のスパイラルを発生させることも考えられる。原油高騰に対してトランプ大統領は再三に渡ってOPECを非難してきたが、価格高騰によりOPECも増産へ向かいやすくなっているので、年末からのV字反騰もそろそろ佳境かもしれないので注目したい。
【ボラティリティ低下、日米財務相会談、首脳会談、GW意識】
それにしても先々週末高値以降のドル円はほとんど横ばいで動意が薄い。ここまでボラティリティが低下するのも珍しい。4月11日から反騰してきたものの3月5日高値超えから一挙に一段高へと発展するには時期が悪いところか。
麻生太郎財務相は4月25日に米ワシントンでムニューシン米財務長官と会談する方向で調整している。4月15日から16日にかけては茂木経済再生担当相が訪米して日米通商協議を行ったが、米国側が求めているのは通貨安誘導を封じる「為替条項」の導入であり、それに関しては財務相会談で議論されることとなっている。為替条項が導入されたとしてもすぐにドル円の現行水準が円安状態として批判されることは無いだろうが、市場心理としては113円台、114円台へと楽観的に進むことも難くなりやすい。
安倍首相は4月22日から29日の日程で米欧6カ国を歴訪するが、米国には現地時間26日午後(日本時間27日午前)にトランプ大統領と会談する予定とされている。
10連休という超大型のGWも控えている。銀行は暦通りに休業で、株式市場や商品市場は休場だがFX市場は土日以外を通常営業する。しかし連休中には米雇用統計もあり、日米財務相会談と首脳会談もあるとなれば連休前に積極的なポジション取りも心理的には難しいだろう。
横ばいのボラティリティが極端に低下した後、膠着状態の解放から上下いずれかへ大きく動き出しやすいものだ。現状はその前夜情勢として新たなトレンド発生の直前として待ち構えるべきところと思う。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月13日から17日へ高値を切り上げ、15日から18日へと安値を切り下げるレンジ拡張型の逆三角持合い状況に入ったため、17日午前高値を直近のサイクルトップ、18日午後安値を同サイクルボトムとし、17日高値を超えるところからは強気サイクル入りとし、18日安値割れからは底割れによる新たな弱気サイクル入りと想定する。
23日午前の下落で18日安値に迫っているので底割れによる弱気サイクル入りが警戒される。底割れ回避の内は23日の日中から24日にかけての上昇余地ありとするが、18日安値割れからは弱気サイクル入りとして23日の日中から25日にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では13日以降が横ばい推移のため遅行スパン及び先行スパンが実線と交錯を繰り返しやすい状況にある。23日午前時点では両スパン揃って悪化している。18日安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、両スパン揃って再び好転するところからは上昇再開とみる。
60分足の相対力指数は23日午前の反落で30ポイントまで下げた。指数のボトムが切り上がるような強気逆行型はまだ見られないので安値試しへ向かいやすいとみる。上昇再開には50ポイント超えへ戻す必要があると思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月18日安値111.76円を下値支持線、4月17日高値112.16円を上値抵抗線とする。
(2)112円を超えない内は18日安値割れからの一段安入り警戒とし、その際は111.50円前後への下落を想定する。111.50円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、111.75円以下での推移なら23日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)18日安値割れ回避か、一時的に割り込んでも112円を超えるところからは上昇再開の可能性ありとして17日高値112.16円試しを想定するが、112円台序盤は戻り売りにつかまりやすいとみる。112円以上を維持しての推移なら23日の日中も高値を試しやすいとみるが、112円前後まで戻した後に17日以降の安値を更新するところからは下げ再開と一段安入り警戒と考える。
【当面の主な予定】
4/23(火)
休場、トルコ
22:00 (米) 2月 住宅価格指数 前月比 (1月 0.6%、予想 0.5%)
23:00 (米) 4月 リッチモンド連銀製造業指数 (3月 10、予想 10)
23:00 (欧) 4月 消費者信頼感 速報 (3月 -7.2、予想 -7.0)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (2月 66.7万件、予想 65.0万件)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 前月比 (2月 4.9%、予想 -2.5%)
4/24(水)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前期比 (前期 0.5%、予想 0.2%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前年同期比 (前期 1.8%、予想 1.5%)
13:30 (日) 2月 全産業活動指数 前月比 (1月 -0.2%、予想 -0.1%)
14:00 (日) 2月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 97.4)
17:00 (独) 4月 IFO企業景況感指数 (3月 99.6、予想 99.9)
23:00 (加) カナダ銀行(BOC)政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
オーダー/ポジション状況
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