ドル円 3月5日高値をいったん超えたが伸びきれず膠着状態続く(4/18)

4月17日午前の上昇で112.16円を付けて4月13日高値112.09円及び3月5日高値112.12円を上抜き、1月3日暴落以降の高値を更新した。

ドル円 3月5日高値をいったん超えたが伸びきれず膠着状態続く(4/18)

【概況】

4月17日午前の上昇で112.16円を付けて4月13日高値112.09円及び3月5日高値112.12円を上抜き、1月3日暴落以降の高値を更新した。高値更新による一段高入りからさらに円安ドル高が進んでもよいチャート姿となったがその後は伸びず、112円を挟んだ膠着状況に押し戻されている。
先週末に112円台回復まで戻したものの週明け15日、16日は新たな高値更新へ進めずにいたのは日米通商協議の結果を見たいという慎重姿勢もあったと思われる。15日と16日の2日間の協議終了後には具体的で厳しい対日要求があったという印象には至らなかったために17日午前には株高に背中を押されて高値を更新したものの、高値更新をもって一段高継続となるほどの強気な市場心理には至らなかったようだ。

17日昼前には中国の1−3月期GDPの発表があり、前年同期比は市場予想の6.3%を上回る6.4%となり10-12月期と変わらなかった。また3月の鉱工業生産が前年同月比8.5%上昇で予想の5.9%及び前月の5.3%を上回り、3月の小売売上高も前年同月比8.7%で市場予想の8.4%及び前月の8.2%を上回る好調な数字となった。このため日経平均は5連騰となる56.31円高、上海総合株価指数が0.29%高となったが、いずれも大上昇というほどではなく、株高が加速してドル円をさらに押し上げるという流れへ進めなかった。
17日夜に発表された2月の米貿易赤字は494億ドルで市場予想の535億ドル及び1月の511億ドルを下回ったが、市場の反応は限定的だった。NYダウは週末の連休を控えていることもあって低調な推移にとどまり、前日比3.12ドル安と小幅下落。米長期債利回りはほぼ横ばいでドル指数が若干上昇したがドル円は小動きにとどまった。

【逆三尊型形成だが、ダブルトップの範囲内】

3月5日高値を上抜いたため、1月3日からの上昇は3月5日までを一段目とし、3月25日安値から二段目の上昇に入った印象だ。また3月25日安値を頭とし、3月8日と4月10日安値を両肩とすれば逆三尊型であり、チャート的にはさらに上昇しやすい状況を作っている。しかし新値更新の後に伸びなければ3月5日高値とのダブルトップに終わる可能性もまだ残る。もう一段階の上昇へ進むにはさらに金融市場全般がリスクオン心理を拡大し、ドルの全面高へ進む必要があるが、NYダウが昨年末からのV字反騰で10月高値に迫るところまで戻して高値警戒感を持ち始める水準にあること、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は4月に入ってからやや軟調な推移で上昇がストップしており、12月14高値を更新できない状況にとどまっているため、ドル円も一段高へ走り難いところにあるのかもしれない。また米中及び日米の通商協議についてもまだ慎重姿勢を崩せないため、わずかな高値更新の後はやや及び腰になっているということだろう。

【気になる日米通商協議】

4月15日と16日には茂木経済再生担当相が訪米して日米通商協議が行われたが、具体的な中身についてははっきりしていない。為替条項については財務相会談で交渉されるようだが、報道によれば今月下旬の日米首脳会談に合わせて麻生財務相が訪米してムニューシン米財務長官と会談する方向で調整に入ったようだ。米国側は新北米協定等に盛り込んだように通貨安誘導を封じる「為替条項」の導入を求めているとされ、法的拘束力を持つ協定本文に盛り込む意向という。日本側はTPPで採用されている「法的強制力のない共同宣言」レベルの位置付けで臨むようだが米国に押し切られる可能性も警戒される。
政府日銀はここ数年間で為替介入をしていないが、法的拘束力のある為替条項が盛り込まれる運びとなれば、市場心理的には円高への懸念が強まりやすくなり、政府日銀も円安誘導的な政策発言を手控えて円安ドル高が進行する場合にブレーキを掛けるスタンスとなりかねない。

17日夜に発表された米国貿易収支では、対日赤字が前年同月比7.9%増の59.4億ドルとなり、中国メキシコに次ぐ3位となった。またそのうち自動車関連が43億ドルと大半を示しているため、通商協議での自動車関連への抑制的政策発動が懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月11日未明安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入ったが、前回のサイクルトップである4月5日夜高値から5日を超えたために16日朝時点では13日未明高値を直近のサイクルトップとし、13日高値超えからは新たな強気サイクル入りとした。
4月17日午前の上昇で13日高値を超えたために17日朝時点では16日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日深夜から22日朝にかけての間への上昇を想定した。17日午前高値の後は横ばいに留まっているが、16日安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、16日安値割れからは底割れによる新たな弱気サイクル入りとして19日午後から23日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では112円を挟んだ膠着状態のために遅行スパンと実線が交錯状態にある。17日午前高値超えからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、16日安値割れからは弱気サイクル入りと仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は17日午前の高値更新から相場が伸び悩んだために指数のピークが13日から17日午前へと切り下がっている。その後も60ポイント超えを維持できない程度にとどまっている。17日午前高値超えからは70ポイントを目指す上昇入りとみるが、16日安値を割り込む場合は30ポイント台への低下が警戒される。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月16日午後安値111.83円を下値支持線、17日午前高値112.16円を上値抵抗線とみておく。
(2)16日安値を割り込まないうちは上昇余地ありとみる。112.16円超えの場合は112.25円前後で売り圧力もかかりやすいとみるが、112.25円超えから続伸なら112.50円を目指すとみる。また16日安値を割り込まないうちは19日も高値を試しやすいとみる。
(3)16日安値111.83円割れの場合は高値更新による上昇加速が失敗しての弱気転換と仮定して111.50円前後への下落を想定する。111.50円前後では押し目買いも入りやすいとみるが、111.83円以下での推移が続く場合は18日も安値を試しやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/18(木)
休 場 聖木曜日 ノルウェー、フィリピン、メキシコ、コロンビア
米国 債券市場は午後2時までの短縮取引

10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 0.46万人、予想 1.20万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 4.9%、予想 5.0%)
15:00 (独) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 -0.1%、予想 0.2%)
16:30 (独) 4月 製造業PMI (3月 44.1、予想 45.0)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI (3月 55.4、予想 55.1)
17:00 (欧) 4月 製造業PMI (3月 47.5、予想 47.9)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI (3月 53.3、予想 53.2)

17:30 (英) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.4%、予想 -0.3%)
17:30 (英) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 4.0%、予想 4.6%)
17:30 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 0.2%、予想 -0.3%)
17:30 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (2月 3.8%、予想 4.0%)
21:30 (米) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -0.2%、予想 0.9%)
21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 -0.4%、予想 0.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.6万件、予想 20.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 171.3万人、予想 172.0万人)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 13.7、予想 10.4)

22:45 (米) 4月 製造業PMI (3月 52.4、予想 52.8)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI (3月 55.3、予想 55.0)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 0.8%、予想 0.4%)
23:00 (米) 3月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (2月 0.2%、予想 0.4%)
25:10 ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演

4/19(金)

聖金曜日
休 場 米国(外為通常取引、債券、株式、商品休場)
休 場 英国、カナダ、ドイツ、フランス、スイス、ベルギー、イタリア、スペイン、オランダ、ノルウェー、
   ギリシャ、ハンガリー、香港、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インド、オーストラリア、
   オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、メキシコ、コロンビア、南アフリカ、

08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数 前年同月比 (2月 0.2%、予想 0.5%)
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (2月 0.7%、予想 0.7%)
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (2月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算件数 (2月 116.2万件、予想 123.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算件数 (2月 129.6万件、予想 130.0万件)

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