【概況】
1月3日の暴落一巡から戻しに入り、1月3日の長い下ヒゲ足=たくり足の下ヒゲ部分をつぶさないうちはリバウンド試しが続く可能性ありとし、10月4日からの下落幅に対する3分の1戻し109.68円、昨年8月21日安値109.77円などのある109円台後半が抵抗帯とみてきた。1月23日高値で109.99円を付けたものの110円の壁を突破できずに失速し、1月31日未明のFOMCから続落したところではリバウンド一巡による下げ再開へ進む可能性も高まったが、その後の切り返しで110円突破へと上昇したために1月3日からの上昇は二段上げへと発展した。このため1月23日高値から1月31日安値までの下げ幅の倍返しとなる111.48円などを試すところまで上値目途が切り上がる可能性ありとした。
2月4日深夜高値110.15円の後は新たな高値更新へ進めず、2月6日安値109.53円までのレンジ内での持ち合いに入っていたため、2月8日朝時点では109.53円を上回る内は109.90円超えから4日深夜高値試しとし、高値更新の場合は110.30円から110.77円(6日夜への下げ幅の倍返し)前後へ上昇する可能性ありとし、109.90円以上を維持して終了なら週明けも高値を試す可能性ありとした。
2月8日夜までは持ち合いの範囲だったが、週明け11日にはドル全面高が進んだ事を背景に2月4日深夜高値110.15円を突破して買いに勢いがつき、12日未明には110.46円まで高値を切り上げた。2月4日深夜以降4日半の持ち合い上放れであり、1月3日底からの上昇継続となっている。
【ドル全面高が勝る】
1月31日の米連銀FOMCにおいて利上げ棚上げと保有資産圧縮計画の早期切り上げ見通し等が示されて昨年12月会合での2019年2回の追加利上げ及び保有資産圧縮の継続姿勢から転換が見られた。1月25日にWSJ紙が報じ、FOMCを通過する中ではドル売り円買いが進んで1月31日に108.50円の安値を付けた。しかしFOMCで重要イベント通過となり、知ったら終いでFOMC関連の売りは一巡した。そこへ米雇用統計が予想外に強かったことで2月1日夜にドル円は急伸、崩れかけた流れを回復した。
2月4日深夜高値で110円に到達した後は、1月後半で実現できなかった110円到達感と各種リスク問題による円高圧力により上値が抑えられたが、一方ではドル全面高が進んできた。
2月11日もドルがほぼ全面高の展開となった。ユーロは1月31日高値からの下落が続いてきたが、11日の下落で日足は2月4日から6日連続の陰線引けとなった。英ポンドも1月25日から下落してきたが、7日夜にいったん戻したものの12日未明への下落で安値を更新した。
豪ドルも2月5日の豪中銀総裁による利下げの可能性ありとする発言から急落したが1月31日からの下落が続いている。NZドルも2月1日から下落に転じ、7日には四半期失業率の大幅悪化から急落したが、12日未明へこの間の安値を更新している。
米連銀の利上げ棚上げ姿勢への転換は金利面ではドル売り要因なのだが、それ以上に他の通貨が弱い。英国のEU離脱問題での混乱継続、EUの成長率見通しの大幅下方修正というポンドやユーロが売られているが、独債券への逃避買いにより独10年債利回りは低下しており、米連銀の利上げ棚上げ効果を相殺している。
米中通商協議では、11日から北京で次官級協議が始まり、14日からは閣僚級協議に入るが、すでにトランプ大統領が交渉期限の3月1日までに首脳会談する予定はないと発言していることから3月1日の対中国制裁関税の拡大発動による先行き不透明感が強まっている。
3週間の期限で再開した米政府機関閉鎖問題も2月15日には期限切れとなる中で再閉鎖への懸念が強まっている。また3月1日には米債務上限問題が発生する。これらの要素が金融市場全般への不安を強めると、投機ポジションの縮小からドル以外の投機通貨が売られやすくなる。
クロス円においてはこれらのリスク問題は円高要因であり、2月8日まではドルストレートでのドル高とクロス円での円高のバランスが均衡していたためにドル円は持ち合いだったが、その均衡がドル高優勢へと崩れたためにドル円も一段高に走ったということだろう。ドル円としては引き続きリスク回避感を抱えつつのため一段高へ進むには慎重なところもあるが、直前の抵抗となる高値を更新してくればチャートの強気感やストップロスの買い戻しにより上昇を継続しやすくなる。
【上値目途と弱気転換目安】
(1)2月4日の110円乗せ、さらに2月11日の一段高により1月3日からの上昇は二段上げへ発展した。二段目が一段目並に発展する保証はないが、二段上げに入った以上は一段目上昇後の安値である1月31日の108.50円を割り込まない内は底上げにより高値更新へ進む可能性が維持されると思う。
高値更新が続く場合の上値目途としては、2月4日深夜高値から2月6日への下げ幅倍返しなら110.77円。1月31日から2月4日深夜への上昇幅を6日安値に加算すれば111.18円。また、1月23日深夜高値から1月31日への下げ幅の倍返し111.48円と計測されるが、それらを順次試す可能性がある。
(2)中勢レベルでは1月31日安値を割り込まないうちは上昇基調の継続性があると考えられるのだが、より短期で見れば1月31日からの2月6日安値へと底上げした流れを維持できるかどうかがポイントになると思われる。このため110円台を維持するか一時的に割り込んでも切り返すうちは一段高余地ありとし、110円割れから続落の場合は2月6日安値109.53円試しとし、109.53円割れからは弱気転換の可能性を警戒して1月31日安値試しへ向かうイメージで考える。
(3)概ね3か月前後の底打ちサイクルにおいて、1月3日安値を底として戻している。既に10月4日高値から4か月、11月高値からも3か月目に入っているのでいつ戻り一巡しても不思議ない時間帯に入っていると思われる。仮に弱気転換の場合は次の底形成期を3月序盤から4月序盤にかけての間とした下落期に入る可能性を念頭に入れておきたい。
【当面の主な予定】
2/12(火)
未 定 (欧) EU財務相理事会
09:30 (豪) 1月 NAB企業景況感指数 (12月 2)
13:30 (日) 12月 第三次産業活動指数 前月比 (11月 -0.3%、予想 -0.1%)
2/13(水)
08:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権有)講演
08:30 (豪) 2月 ウエストパック消費者信頼感指数 (1月 99.6)
08:50 (日) 1月 国内企業物価指数 前月比 (12月 -0.6%、予想 -0.2%)
08:50 (日) 1月 国内企業物価指数 前年同月比 (12月 1.5%、予想 1.0%)
10:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
18:30 (英) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.2%、予想 -0.7%)
18:30 (英) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 2.1%、予想 2.0%)
18:30 (英) 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 1.9%、予想 1.9%)
18:30 (英) 1月 小売物価指数 前月比 (12月 0.4%、予想 -0.8%)
18:30 (英) 1月 小売物価指数 前年同月比 (12月 2.7%、予想 2.6%)
18:30 (英) 1月 生産者物価コア指数 前年同月比 (12月 2.5%、予想 2.3%)
19:00 (欧) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.7%、予想 -0.4%)
19:00 (欧) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -3.3%、予想 -3.3%)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 1.9%、予想 1.5%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 2.2%、予想 2.1%)
22:50 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
22:50 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
26:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
28:00 (米) 12月 月次財政収支 (11月 -2050億ドル、予想 -110億ドル)
2/14(木)
未 定 (中) 1月 貿易収支・米ドル (12月 570.6億ドル、予想 320.0億ドル)
未 定 (中) 1月 貿易収支・人民元 (12月 3949.9億元、予想 2359.5億元)
08:50 (日) 10-12月期GDP速報値 前期比 (前期 -0.6%、予想 0.4%)
08:50 (日) 10-12月期GDP速報値 年率換算 (前期 -2.5%、予想 1.4%)
16:00 (独) 10-12月期GDP速報値 前期比 (前期 -0.2%、予想 0.1%)
16:00 (独) 10-12月期GDP速報値 前年同期比 (前期 1.1%、予想 0.8%)
16:00 (独) 10-12月期GDP速報値 季調前 前年同期比 (前期 1.1%、予想 0.8%)
19:00 (欧) 10-12月期GDP改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10-12月期GDP改定値 前年同期比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.4万件、予想 22.5)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 -0.2%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 2.5%、予想 2.1%)
22:30 (米) 1月 生産者物価コア指数 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 生産者物価コア指数 前年同月比 (12月 2.7%、予想 2.5%)
22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.2%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 0.2%、予想 0.0%)
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 0.6%、予想 0.3%)
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
2/15(金)
米国、3週間のつなぎ予算期限
10:30 (中) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 0.9%)
10:30 (中) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 1.9%)
13:30 (日) 12月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -0.1%)
13:30 (日) 12月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -1.9%)
18:30 (英) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -0.9%、予想 0.2%)
18:30 (英) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 3.0%、予想 3.4%)
18:30 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 -1.3%、予想 0.2%)
18:30 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (12月 2.6%、予想 3.1%)
19:00 (欧) 12月 貿易収支・季調済 (11月 151億ユーロ、予想 163億ユーロ)
19:00 (欧) 12月 貿易収支・季調前 (11月 190億ユーロ)
22:30 (米) 2月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (1月 3.9、予想 7.5)
22:30 (米) 1月 輸入物価指数 前月比 (12月 -1.0%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 1月 輸出物価指数 前月比 (12月 -0.6%、予想 -0.1%)
23:15 (米) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 0.3%、予想 0.1%)
23:15 (米) 1月 設備稼働率 (12月 78.7%、予想 78.8%)
23:55 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (1月 91.2、予想 94.0)
オーダー/ポジション状況
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