ドル円見通し 110円の壁が重く膠着状態(1/25)

24日の為替市場ではユーロの下落が目立った。24日はドラギECB総裁発言から1.130ドルまで続落して11月安値に対する余裕が乏しくなっている。

ドル円見通し 110円の壁が重く膠着状態(1/25)

【概況】

1月3日の暴落ショックが一巡してドル円は戻しに入ったが110円の壁が重いようだ。先週末の1月19日未明に109.88円、今週23日深夜に109.99円を付けたが110円に乗せられずにいる。23日未明安値109.13円の後は24日未明安値109.39円、24日深夜の下落場面でも109.41円にとどまって安値はやや切り上がっているが、現状は109円台中盤での膠着的な持ち合い状態となっている。
NYダウと日経平均が12月26日から反騰してきたことで株暴落不安後退によるリスクオン心理が下支えだが、1月3日の暴落ショックもまだ尾を引いている。当面はこの持ち合いを上放れして行けるのか、110円手前を戻りの限界として持ち合い下放れになるのかを見定めるところだ。来週は1月29日から30日に米連銀FOMC、31日未明にパウエル議長記者会見、30日から31日までは米中閣僚級通商協議、2月1日には米雇用統計と続く。一連のイベントで市場全般がリスクオンないしはドル全面高へ進むか、リスクオフでの円高が再燃するのか明暗が分かれると思われる。

NYダウは前日比23.38ドル安と小幅下落したが、ナスダック総合指数は47.69ポイント高と上昇して株式市場はまちまち。日経平均は21日高値で21000円に届かずに戻り一巡での足踏みが続いている。
米10年債利回りは前日比0.02%低下の2.72%。年初から上昇していたが21日からは低下傾向だ。株式市場も長期債利回りも上昇一服感があるところでドル円のリバウンド推進力もやや低下しているようだ。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数は前週比1万3000件減少して19万9000件となり約49年ぶりの低水準となった。市場予想の22万件も下回った。これはドル高円安要因だったが反応は限定的だった。

【ユーロ安】

24日の為替市場ではユーロの下落が目立った。ユーロドルは11月13日安値1.1215ドルから1月10日高値1.1569ドルまで上昇していたが、10日からの反落が続いており24日はドラギECB総裁発言から1.130ドルまで続落して11月安値に対する余裕が乏しくなっている。
欧州中央銀行(ECB)は24日の定例理事会で金融政策を現状維持としたが、その後の記者会見でドラギ総裁は「ユーロ圏の成長リスクについてはダウンサイドへの傾斜がみられる」とし、「保護主義の脅威等により不透明感が景気を圧迫している」等と発言したが、欧州景気の先行き不透明感を意識させたためにユーロ売りが進んだ。
ユーロ安ドル高の一方でユーロ円はユーロ安円高となるためにドル円への影響は限定的だった。EU離脱問題での混乱がある中でもポンドが上昇していることがクロス円の中では円安要因となっているが、ユーロ円及び豪ドル円の下落等での円高感もあり強弱感が交錯しているためドル円としても身動きが鈍くなっている印象がある。

【米政府機関閉鎖続く】

ロス米商務長官はCNBCテレビのインタビューにおいて、政府機関閉鎖問題で連邦職員が無給で働いていることに対して「ローンを借りればよい」と述べてひんしゅくを買った。
24日には米上院議会で政府機関閉鎖解除に向けて共和党・民主党がそれぞれ予算案を提出したが、いずれも予想通りに否決された。トランプ大統領も「壁がないと全然上手くいかない」とツイートして民主党との対立姿勢を継続させている。
株式市場は政府機関閉鎖問題を重大な悲観要因とはせずに年末から上昇を続けてきたが、このまま2月に入ると問題の深刻さが拡大し、実体経済への影響も出始めるために金融市場全般の混乱要因となりかねない。特にFOMCから米中協議、米雇用統計と続く重要イベント週を通過する中でリスクオフ的な円高が進む場合はこの米政府機関閉鎖問題も円高を加速させる要因となりかねないと思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは1月19日未明高値で直近のサイクルトップを付けて23日未明へ下落したが、23日深夜への上昇で19日未明高値を上抜いて新たな強気サイクルに入った。
23日深夜以降は新たな高値更新へ進めずにいるため、19日未明高値と23日深夜高値によるダブルトップ形成からの弱気サイクル入りが警戒されるが、23日未明からは安値がやや切り上がりとなっているので現状は三角持ち合い中とみて、高値更新からのサイクルトップ形成継続へ進む可能性がある。
このため23日未明安値割れ回避のうちは25日の日中から26日未明、さらに28日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、24日深夜安値割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して23日未明安値試しとし、23日未明安値割れの場合は26日未明から30日朝にかけての間への下落が想定される。

60分足の一目均衡表では23日深夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。しかしその後は110円手前での持ち合いとなっているため両スパンともに実線と交錯を繰り返して方向感が乏しい。24日高値109.79円超えからは両スパンそろっての好転となるため遅行スパン好転中の高値試し優先とし、24日深夜安値割れからは両スパンそろっての悪化となるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)1月24日深夜安値109.41円を下値支持線とし、24日夜高値109.79円を上値抵抗線とみておく。
(2)109.41円以上での推移中は上昇余地ありとし、109.79円超えからは110円乗せへの挑戦とする。110円超えからは110円台中盤への上昇を想定するが110円を再び割り込むところからは下げ再開注意とする。
(3)109.41円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して23日未明安値109.13円試しとし、底割れからは108円台後半への下落を想定する。109円割れではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、109円割れから続落の場合は週明けへの下落で108.75円から108.50円のゾーンを試すとみる。

【当面の主な予定】

1/25(金)
16:00 (日) 内閣府「日本経済2018-2019」公表
18:00 (独) 1月 IFO企業景況指数 (12月 101.0、予想 100.6)

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