ドル円 年初暴落後の高値を2日続けて更新(1/18)

株高債券安により米10年債利回りは一時2.761%まで上昇して3週間ぶりの高水準となった。

ドル円 年初暴落後の高値を2日続けて更新(1/18)

【概況】

1月3日の大暴落一服で108円台へ戻した後、1月8日高値109.08円、10日安値107.74円からはレンジブレイクできずに横ばいが続いていたが、17日未明に109.19円まで上昇して1月8日高値をわずかに超えた。17日夕刻には108.68円まで下げたが18日未明の上昇で109.39円を付けて2日連続の戻り高値切り上げとなった。このため1月3日の暴落後は1月8日までを一段目の上昇とし、1月10日安値から現状は二段目の上昇となっている。1月3日午前に大暴落する直前の高値は109.46円、1月2日時点は110円手前の水準で年末は110円台前半だった。わずか数時間での大暴落を11日間かけて取り返しつつある状況だ。

NYダウと日経平均が12月26日安値からの反騰を継続しており、NYダウは17日も続伸した。株式市場の反騰と比較すればドル円の上昇は緩い。株高が続き米債券が売られて米10年債利回りが上昇、日米金利差からもドル円が上昇しやすい状況にある。しかし米政府一部機関の長期閉鎖、英国のEU離脱問題での混乱、米中貿易戦争問題の行方等のリスク要因も抱えたままであることが上昇を鈍らせているともいえる。

NYダウは162.94ドル高で3日続伸した。米政府が中国に対する関税撤廃などを検討しているとのWSJ紙報道が好感されたようだ。株高債券安により米10年債利回りは一時2.761%まで上昇して3週間ぶりの高水準となった。この動きに合わせてドル円も戻り高値を切り上げた。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで21万3000件となり前週比3000件減少、市場予想の22万件を下回った。失業保険受給者総数は173万7000人で前週比1万8000人増。市場予想の173万5000人を上回った。
米フィラデルフィア連銀の1月製造業景況指数は17.0となり前月の9.1から上昇、市場予想の10.0を上回った。これら指標に対する反応は限定的だった。

【米中問題】

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル紙は17日に「ムニューシン米財務長官が中国の輸入品に課されている関税の一部または全部を撤廃することを協議している」と報道した。この報道でリスクオン的な動きが株式債券為替市場で見られたが、財務省報道官は「中国との交渉は継続中で完了には程遠い」と述べて報道を否定した。WSJ紙はムニューシン財務長官が関税撤廃を提案したが、対中強硬派のライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が反対したとも報じている。
米中交渉の期限は3月1日。米中は1月30日・31日にワシントンで閣僚級協議を開催する予定。昨年6月は劉副首相出席の閣僚級協議が決裂したために米中貿易戦争全面化として人民元が暴落し為替市場では全般的にドル高となった経緯がある。米中関係打開へ向けて米国側の妥協点を探る動きもあるのだろうが根強い強硬派もいて対立していることが報道で露呈したのかもしれない。

中国の裁判所がカナダ人に死刑判決を下したことについてもカナダ、米国が中国を批判していることや中国系IT企業への圧力の高まりもあり、米中関係改善は程遠いのではないかとも思われる。

【ブレクジット】

英国では15日にEU離脱合意案が下院で否決されたが、メイ首相は代案を21日に示し、29日に議会審議にかけるとの方針を示した。英議会は離脱派、残留派に分断されており、離脱派の中でも「合意ある離脱」と「合意無き離脱」を主張するグループに分かれて混沌としている。英ポンドは16日未明へ急落したものの下院否決後にはV字反騰して18日未明には急落前の15日水準を上抜けているので、為替市場を見る限りは合意無き離脱になっても英国経済は安泰との楽観論が優勢という印象もある。
欧州連合条約第50条に基づき英国のEU離脱は2019年3月30日に発効する。離脱協定が合意すれば計画通りに離脱が始まる。離脱協定が批准されずに合意不成立(ノーディール)となっても離脱自体は発効する=「合意無き離脱」。その場合に備えて欧州委員会は緊急対応計画を策定しているが大混乱を伴うと思われる。

離脱協定が発効せず、再交渉のために交渉期限が延長される可能性もあるがEU側は延期の可能性を否定しているので可能性は低いと思う。また英国による離脱撤回には国民投票のやり直しが不可欠であり可能性は低いと思われる。

2016年6月国民投票によるブレクジット賛成ショックでのポンド暴落は2016年10月まで続いた。状況が落ち着いて2018年4月まで戻したが再び混乱は必死となりその後は長期下落基調を再開している印象だ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日暴落後の1月8日戻り高値を前回のサイクルトップとし、10日安値をボトムとして強気サイクル入りしてきた。17日未明への上昇で8日の高値を超えたが既に8日高値から7日目に入ったために17日朝時点では1月14日夜安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクルと仮定した。
17日夜へいったん下げてから高値を更新しているので、10日安値から5日目及び14日夕から3日目となる17日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。17日夕安値を割り込まないことを条件として22日から24日にかけての間への上昇余地ありとし、17日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして22日から24日への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパン好転と先行スパンを上抜いた状況が維持されている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は15日から17日未明、18日未明への高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が連続している。指数からは下落示唆だがそれを超えて上昇しているためいつ反落開始となっても不思議ない状況と注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、17日夕安値108.68円を下値支持線、18日未明高値109.39円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.68円を上回る内は109.39円超えから109円台中後半を目指すとみるが、109.50円以上は反落警戒とする。
(3)109円割れからは弱気転換注意として17日夕安値108.68円試しとし、108.68円割れからは弱気サイクル入りとして108円台序盤への下落を想定する。108円台序盤ではいったん押し目買いも入りやすいとみるが、株安再発やリスク回避的材料で急落商状の場合は週明けに向けて107円台後半まで下値目処を引き下げる。

【当面の主な予定】

1/18(金)
13:30 (日) 11月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -1.1%)
13:30 (日) 11月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 1.4%)
18:00 (欧) 11月 経常収支 季調済 (10月 230億ユーロ)
18:00 (欧) 11月 経常収支 季調前 (10月 266億ユーロ)
18:30 (英) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.4%、予想 -0.8%)
18:30 (英) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 3.6%、予想 3.5%)
23:15 (米) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 0.6%、予想 0.2%)
23:15 (米) 12月 設備稼働率 (11月 78.5%、予想 78.5%)
23:05 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報 (12月 98.3、予想 96.4)
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

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