<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は、ドルが小安い。これまで底堅さのうかがえた108円レベルを下回って推移する時間帯も観測されるなど、総じて冴えなかった。
ドル/円は108.10-15円で寄り付いたのち、わずかに上昇し日中高値の108.25円レベルを示現。しかし、ドル買いの流れは続かず、反落に転じると107.80-85円まで一時値を下げている。米株先物が100ドルを超える下げ幅を記録したほか、日経平均株価も4日ぶりの反落、263円安となったことなどが嫌気されていたという。
日中安値を示現後は、低位揉み合いとなり、107.80-00円といったレンジ取引をたどるなか、16時時点では107.85円前後で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米政府機関の閉鎖」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、メキシコ大統領から「国境の壁は米国の政治問題で関与せず」と突き放したような発言が聞かれるなか、サンダース米報道官は「国境の壁めぐる非常事態宣言はなお選択肢」とコメント、また米紙WSJは「トランプ氏、政府機関閉鎖でダボス会議欠席も」と報じるなど、影響の拡大懸念が指摘されている。
対して後者は、朝鮮中央通信「中国主席、北委員長の招待受け入れ訪朝計画を通知」、韓国東亜日報「米国務長官と北統一戦線部長が近く会談へ」といった報道のほか、韓国大統領から「開城工業団地など北との事業再開を歓迎する」旨の発言、分析サイト・38ノースによる「北核施設の動きは限定的」との発表などが思惑を呼んでいた。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末4日の欧米時間に上抜けて以降、ドルの下値を支え続けてきた108円レベルを再び下回ってきた。一時109円台を示現したこともあり、鳴りを潜めた感のあったドルの下値リスクが再燃しつつあるようだ。だからといって、一気に3日安値である104円台まで下げるような展開は見込みにくいものの、日米株価が依然として不安定、荒っぽい変動をたどっていることもあり、状況次第でドルは続落しても不思議はないだろう。
3週目に入っている「米政府機関の閉鎖問題」だが、その長期化故に、前記したWSJ報道のように、国際情勢への影響も懸念される事態となってきた。9日まで延長して実施された「米中貿易協議」が一定の進展を見たとはいえ、やはりドルを積極的に買っていくのは難しいかもしれない。なお、本日は米要人発言を相場の変動要因として注視しておきたい。
テクニカルに見た場合、3日に104円台まで下落したあとのドル戻り歩調はすでに一服。足もとは再びドル安基調に転じるか否か、微妙な情勢にある。個人的には、以前にレポートした106.50-109.00円、あるいは107.00-109.00円といったレンジ取引に移行していくと予想するが、いずれにしてもドルの続落には一応要注意。仮に、106円半ばを下回るようなことになれば、3日に記録したドル安値104円台が再び視界内に捉えられかねない。
一方、材料的に見た場合、11月の卸売売上高など幾つかの米経済指標が発表されるほか、米財務省による30年債の入札が実施される見込みとなっている。また本日は、バーキン・リッチモンド連銀総やパウエルFRB議長など、FRB関係者による講演が相次ぐ予定で、その内容には注意を払いたい。先行きの利上げ停止など弱気コメントが聞かれた場合、ドル売り材料として意識される可能性もある。
なお、来週15日の議会採決をにらみ、英国情勢への関心が再び集め始めているようだ。ロイターが「野党労働党党首、メイ首相の離脱案否決なら総選挙要請」−−と報じるなどキナ臭い動きも観測されるなど予断は許さない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.30-108.50円。ドル高・円安方向は、これまでドルのサポートとして寄与してきた108円レベルの攻防にまずは注視。抜ければ108.40-50円、そして直近高値109.09円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、東京安値である107.75-80円が最初のサポートで、下回れば107円レベル、106円半ばなどが意識されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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