【概況】
1月3日午前に1月2日安値108.70円を割り込んだところから売り連鎖の暴落となり104.82円まで急落して昨年3月26日安値104.63円に迫った。FX取引業者レートでは105円丁度の安値の他、104.20円台の安値を提示したものもあった。当日の高安レンジは4.30円で、翌朝終値へ戻したために日足の下ヒゲは2.69円幅となり、高安レンジの半分強を下ヒゲとした。いわゆる「たくり足」であり、下ヒゲ部分が早々に潰されれば悲観的な下げを再開することが多いが、下ヒゲを潰さずに翌日以降をしっかりすれば当面の底打ちとなる可能性が期待される姿となった。1月3日付け日足終値が107.51円のため、概ね107.50円を上回る内は下ヒゲが活きるが、107.50円を割り込むと下ヒゲが潰され始め下げ再開感が強まる。
現状は3日夜、4日、7日とジリ高で推移しており、下ヒゲ部分が活きた状況にある。ただし今のところの戻りは勢いに欠けており、ポンド円や豪ドル円、ユーロ円が3日の暴落前水準へ挽回しているのに対してドル円はまだ挽回しきれていない。
【米連銀の利上げ姿勢緩和観測でのドル安】
1月4日夜の米雇用統計がかなり強い数字だったことは労働市場の底堅さを示したとして株高要因になったが、発表直後の為替市場の反応が小幅なものに止まった。それよりも4日深夜のパウエル米連銀議長の討論会発言が従来までの利上げ姿勢を緩めるものと市場が受け止めてドル安反応が見られ、ドル・ストレートではドル安が顕著となった。
1月7日もボスティック米アトランタ地区連銀総裁が「今年の利上げ回数は1回にとどまる可能性がある」旨の見方を示したことや米サプライ管理協会(ISM)が発表した12月の米非製造業景況指数が57.6となり前月の60.7から低下して市場予想の59.0も下回ったことがドル安材料となり、ドル指数は7日まで3日間の続落となっている。
このドル安がドル円においては上値を抑える要因になっているために他のクロス円よりもドル円の戻りが鈍いという状況が発生しているようだ。
【暴落一服だが懸念続く】
昨年3月底水準まで下げ、長大下ヒゲの「たくり足」となったことで10月4日高値からの三角持合い下放れによる急落は一服した。107.50円を上回る内は下ヒゲも活きるが、10月4日から1月3日への下げ幅の半値戻しが109.68円。昨年8月21日安値109.77円を割り込んだことにより年明けの下落が加速した面もあるので、8月21日安値も戻り抵抗となりやすいが、これら109円台中後半を目指す可能性も考えられる。
しかし年初の暴落は一服したとはいえ昨年3月から10月までの半年強の上昇を一挙に打ち消す下落であったこと、概ね1年周期の天井・底打ちサイクルにおいて10月4日を天井として下落したこと、さらにより長期的には2015年6月天井からの3年半に及ぶ大三角持ち合いから転落し始めたことを踏まえると、今回の戻り一巡後の下落により1月3日安値を割り込む下落局面が到来する可能性もあるのではないかと警戒しておく必要があると思う。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日暴落時の安値を直近のサイクルボトムとして上昇期に入った。年末年始を挟み、暴落商状発生後のためサイクルの展開も乱調となる可能性がある。1月3日午前への暴落が12月27日から丸4日間の下げだったため、揺れ返しの現在の上昇も3日午前から4日目となる9日午前まで続く可能性ありとみる。
107.85円を支持線とし、上回るうちはサイクルトップ形成への上昇余地ありとし、107.85円割れから続落に入る場合は弱気サイクル入りとして8日の日中から10日の日中にかけての間への下落を想定する。ただし、いったん弱気転換した後に3日以降の高値を更新するところからは新たな強気サイクル入りとなる点に注意する。
60分足の一目均衡表では4日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたがその後も概ね両スパン好転が続いている。先行スパンを上回る内は遅行スパン好転毎の高値試し優先とするが、107.85円割れで先行スパンからの転落となるために弱気サイクル入りと仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.25円、次いで107.85円を支持線とし、109円を抵抗線とみておく。
(2)108.25円を上回るか一時的に割り込んでも回復する内は上昇継続と仮定して109円試しを想定する。109円到達で戻り売りにつかまる可能性に注意するが、109円突破から続伸の場合は109円台中後半まで伸びる可能性ありとする。
(3)108.25円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、107.85円割れからは戻り一巡による下落入りと仮定して107円前後試し、さらにドル全面安が進む場合や株安再燃で円高が加速する場合には106円前後を目指す下落を想定する。
【当面の主な予定】
1/8(火)
14:00 (日) 12月 消費者態度指数・一般世帯 (11月 42.9、予想 42.8)
16:00 (独) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.5%、予想 0.3%)
16:00 (独) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 1.6%、予想 -0.8%)
19:00 (欧) 12月 消費者信頼感確定値 (速報 -6.2、予想 -6.2)
19:00 (欧) 12月 経済信頼感 (11月 109.5、予想 108.2)
22:30 (米) 11月 貿易収支 (10月 -555億ドル、予想 -540億ドル)
29:00 (米) 11月 消費者信用残高 前月比 (10月 254億ドル、予想 160億ドル)
1/9(水)
英議会、EU離脱案の審議再開
09:30 (豪) 11月 住宅建設許可件数 前月比 (10月 -1.5%、予想 -0.3%)
09:30 (豪) 11月 住宅建設許可件数 前年同月比 (10月 -13.4%、予想 -24.8%)
16:00 (独) 11月 貿易収支 (10月 183億ユーロ、予想 186億ユーロ)
16:00 (独) 11月 経常収支 (10月 159億ユーロ、予想 248億ユーロ)
19:00 (欧) 11月 失業率 (10月 8.1%、予想 8.1%)
22:20 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
23:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁講演
24:00 (加) カナダ銀行(BOC)政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
24:30 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、オンラインでの質疑応答
25:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁裁講演
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨12月18-19日開催分
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:橋本 光正
2019.01.08
5か国株価とドル円(1/8)
今年はこのダイバージェンスが継続されるのか、FRBが利上げを遅らせ、株価が反発していくのか注目されます。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。