ドル円見通し 112円台序盤から持ち直す
【概況】
11月28日深夜高値114.03円からの下落が続き、12月6日深夜安値112.24円からはいったん戻したが、7日夜の米雇用統計がさえない内容だったことで113円には届かずに再び売られ、週明け10日朝には112.23円の安値を付けた。11月20日安値112.29円に対しては6日深夜安値時点でイッテコイとなる下げを実現していたが、6日深夜安値とほぼ同値となる10日朝安値の後は下げ渋った。10日は日経平均が459.18円安と大幅下落、上海株も5日続落、日中のCMEダウ先物も下落開始となり世界的な株安不安による円高圧力が継続していたが、11月20日安値とのダブル底水準及び12月6日深夜と10日朝安値による毛抜き底型の小ダブル底形成の可能性もあって112円台序盤では突っ込み警戒感が勝って底固さを見せる状況となった。
夜間では英ポンドが急落、ユーロも失速したためにドル高感が強まりドル円も113円台へ乗せる反騰となった。英国のメイ首相が英国議会でのEU離脱協定への同意採決が否決される見込みとなったことで採決そのものを中止したこと、合意なき離脱の準備を進める旨の発言を行ったことで先行き不安から英ポンドが急落、ユーロもつれ安となったためにこれらの比重が大きいドル指数が上昇、さらにNYダウも大幅下落していたところから反騰に転じて4日ぶりに前日比プラスで終了したこともあり株安不安での円買い圧力もやや後退したことが背景だった。
【英ポンド、1年8か月振り安値】
英ポンドは安値で1.2505ドルを付け、前日比では1.8%安、1年8か月ぶりの安値となり、今年4月17日の戻り天井から下落してきたが、8月底の後は下げ一服で中段持ち合いを形成していたが、8月底を割り込んで二段下げに入った。
英ポンドは2016年6月のEU離脱賛否国民投票での賛成ショックにより2016年10月に1.1450ドルまで暴落した後には状況一服とEUとの離脱交渉合意期待で戻していたが、今年4月からはその上昇も一巡して再び下落基調が強まってきていた。この日の一段安によりさらにポンド下落が続くようだとユーロもつれ安となり、ドル指数の押し上げによりドル円でもドル高円安に寄与する可能性がある。しかし英国離脱問題での混乱が深刻化するようなら欧州株安とリスク回避感からポンド円やユーロ円での円高が進むため、ドル円においても単純にドル高円安感が継続してゆくと考えるのは早計だろう。
【NYダウは一時24000ドル割れ】
10日のNYダウは前日比34.31ドル高と戻したが、安値では23881.37ドルを付けて10月暴落時の10月29日安値24122.23ドルを割り込んだ。日足は長い下ヒゲを付けているので24000ドル割れに対する突っ込み警戒感も見られるが、米中関係の悪化が継続しており、ダウ及び日経平均、上海株も先安感はぬぐえない状況と思われるため、株安の連鎖が再開すればドル円にも大きな重石となってくると思われる。
米10年債利回りは2.86%で先週末からほぼ横ばい。長短金利逆転が一部年限で発生していることは先行きのリセッション懸念を織り込む動きとして先行きの株安不安、金融市場混乱を警戒させる。また日米長期金利差縮小による円高圧力も継続していると思われる。
次回のFOMCは12月18−19日で20日未明には金融政策、メンバーの2019年、2020年等の利上げ。金利水準見通しが示される。この会合では今年4回目の利上げが決定されるであろうと予想されて市場も織り込み済だが、景気の先行き不安や利上げの終点を意識させる内容になると米長期金利下落による円高圧力が増す可能性があると注意したい。英国問題や株安等によるドル・ストレートでのドル高とクロス円の円高が競合する可能性も考えておく必要がある。
【三角持ち合い下放れは未決着、104日移動平均が支え】
12月6日深夜安値及び12月10日朝安値は日足の104日移動平均に支えられている。3月26日底以降の上昇波動における調整安の底は5月29日、8月21日、9月7日、10月26日、11月20日といずれも104日移動平均到達でつけている。今回もギリギリのところで同線が下値を支えている格好だが、さらに11月28日からの安値を更新してしまうと支持線決壊となって大きく崩れ始める可能性を抱えていると注意する。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月5日未明安値から3日目となる12月10日朝安値で底を付けてリバウンドに入ったと思われる。前回のサイクルトップである7日午前高値を基準として今回の高値形成期は11日朝から13日午前にかけての間と想定されるので、早ければ11日早朝高値でサイクルトップを付けてしまった可能性がある。113円を割り込んでも切り返し、株式市場が落ち着いているうちは11日夜へ戻り高値を試す可能性があるが113円割れから続落し、さらに112.75円を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りと仮定して13日朝から17日午前にかけての間への下落へ進む可能性を優先する。
60分足の一目均衡表では10日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜けているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは新たな弱気サイクル入りによる下落を想定してゆく。
以上を踏まえて週中のポイントを示す。
(1)当初、113.00円、次いで112.75円を支持線、12月11日早朝高値113.36円を抵抗線とみておく。
(2)113円台を維持するか、一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、11日早朝高値超えの場合は113.43円(28日深夜高値からの下落幅に対する3分の2戻し)、次いで113.75円前後試しを想定するが、113.50円以上は反落警戒とみる。
(3)112.75円割れからは弱気サイクル入りと仮定して112.50円から112.20円台への下落を想定する。112.75円以下での推移が続く場合は12日にかけて112円割れを試す可能性ありとみる。(了)<9:50執筆>
【当面の主な予定】
12/11(火)
18:30 (英) 10月 失業率 ILO方式 (9月 4.1%、予想 4.1%)
19:00 (独) 12月 ZEW景況感期待指数 (11月 -24.1、予想 -25.0)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.6%、予想 0.0%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 2.9%、予想 2.5%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前月比 (10月 0.5%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 2.6%、予想 2.5%)
12/12(水)
休 場 メキシコ
08:30 (豪) 12月 ウエストパック消費者信頼感指数 (11月 104.3)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前月比 (10月 0.3%、予想 -0.1%)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前年同月比 (10月 2.9%、予想 2.4%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前月比 (9月 -18.3%、予想 10.2%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前年同月比 (9月 -7.0%、予想 5.4%)
13:30 (日) 10月 第三次産業活動指数 前月比 (9月 -1.1%、予想 0.9
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 0.9%、予想 0.8%)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.0%)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 2.5%、予想 2.2%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 2.1%、予想 2.2%)
28:00 (米) 11月 月次財政収支 (10月 -1000億ドル、予想 -1650億ドル)
オーダー/ポジション状況
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