【概況】
12月1日の米中首脳会談により両国間の貿易戦争についてはひとまず休戦に入ることとなり、先行きの通商協議合意による拡大関税撤廃への期待も膨らんだことから12月3日は株高となり日経平均は223.7円高、NYダウも287.97ドル高と上昇した。ドル円は当初、株高との同調期待とリスクオン心理を反映してドル高円安で始まったが、午前に113.82円の高値をつけた後は全般的なドル安に圧されて失速した。4日早朝へやや戻しかけたものの4日は前日から一転して日経平均が538.71円安と急落、NYダウも799.36ドル安と大幅下落となり、ドル円もリスク回避による円買いで急落となった。
【米中首脳会談】
米中首脳会談の成果については当初は期待先行、楽観的な受け止め方で、株式市場が上昇した反面、ドル・ストレートではドル安となった。米中貿易戦争全面化の中で米国有利な展開としてその間をドル高としてきたことの反動と、リスクオン心理による投機通貨買い、人民元高等を反映したものと思われる。また11月序盤から米国債が上昇、長期債利回り低下傾向が続いてきたことも反映されていた。
しかし、4日に米中合意への期待感が後退、株安が進む中でドル・ストレートはドル高が再燃、株安不安の増長によりクロス円は円高、ドル円はドル安円高という構図での展開となった。
EU離脱問題を巡る英国議会の混乱や政局不安等からポンドが下落、ユーロも下げたことでドル高感が助長されたが、株安を背景に米国債はさらに買われたため長期債利回りは10年債で3%割れまで低下した。米長期債利回り低下はドル安要因となり株安不安から円高ドル安をさらに助長させたようだ。
トランプ大統領は12月1日の米中首脳会談の成果を強調していたが、4日には「延長されない限り米国が長きにわたり好ましくないと考えてきた経済政策を巡る中国との交渉は90日で終了する」、「交渉決裂となれば中国製品に対する輸入関税を喜んで維持する」、「私はタリフマン(関税の男)だ 」等とツイートした。また大統領が前日に「中国が米国製自動車に対する関税の引き下げ、撤廃で合意した」と述べた事については政府高官が「最終的な合意ではない」と訂正している。前日の楽観ムードが一変した印象だ。
米中の合意形成へ向けたポジティブな報道がでてくれば市場全般の楽観ムードは回復するかもしれないが、ネガティブな報道が続くと株安がさらに進行しやすくなる。日経平均もNYダウも10月末安値を割り込まずに戻したが、週末へ続落基調で進む場合は再び底割れの懸念が強まり、為替市場でもリスク回避的な動きが強まると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
11月20日から28日深夜へドル円は二段上げとなり、最初は0.85円、23日からの二段目では1.37円の上昇幅だった。29日への下落は0.84円、3日朝へ戻してから5日未明への下げ幅が1.25円と、流れは真逆であり、揺れ返し的な下落=ドル安円高となっている。現状では11月20日安値を割り込んでいないが、仮に割り込む場合は揺れ返しのレベルを超えた円高の加速となり、また日足レベルでは10月4日以降のレンジ縮小型三角持合いから下放れし始める事にもなるので、当面は11月20日安値112.29円割れを回避するのかどうかが重要となってくる。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月29日夜安値を前回のサイクルボトムとし、底割れ回避中は12月3日夜から6日未明までの間への上昇余地ありとしたが、底割れからは新たな弱気サイクル入りとしてきた。4日の下落で29日夜安値を割り込んだため底割れによる弱気サイクル入りとする。今回のボトム形成期は29日夜安値を基準として12月4日夜から6日深夜にかけての間と想定されるので、早ければ5日にもボトムをつけての反騰に入る可能性もあるが、113円台回復、維持へと戻せない内は5日夜、6日への一段安が警戒される。
60分足の一目均衡表では4日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。新たな安値更新を回避して横這いないしは反発に入れば遅行スパンは好転してくるが、安値更新へ進むようだと好転の機会が先送りされる。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、好転の場合は先行スパン下限試しとその後の反落注意とする。強気回復は両スパン揃って好転するところからとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月5日未明安値112.57円を支持線、113円を抵抗線とみておく。
(2)1113円台回復、維持へ進めない内は一段安余地ありとし、112.75円以下での推移中は下向きとし、112.57円割れからは112円前後試しへ向かうとみる。112円以下は反発注意とするが、112.75円以下で終了なら6日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)113円台回復、維持からは強気転換注意、113.20円超えからは一旦強気サイクル入りと仮定して113.50円手前を試す上昇を想定するが、戻りは短命の可能性もあり、戻しに入っても7日の米雇用統計前後から下落再開となる可能性にも注意する。
【当面の主な予定】
12/6(木)
OPEC総会(ウィーン)
09:30 (豪) 10月 貿易収支 (9月 30.17億豪ドル、予想 30.00億豪ドル)
09:30 (豪) 10月 小売売上高・前月比 (9月 0.2%、予想 0.3%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注・前月比 (9月 0.3%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注・前年同月比 (9月 -2.2%、予想 -3.1%)
22:15 (米) 11月 ADP民間雇用者数・前月比 (10月 22.7万人、予想 19.5万人)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -540億ドル、予想 -550億ドル)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.4万件、予想 22.5万件)22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性改定値・前期比 (速報 2.2%、予想 2.3%)
24:00 (米) 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 60.3、予想 59.0)
24:00 (米) 10月 製造業新規受注・前月比 (9月 0.7%、予想 -2.0%)
26:15 ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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