【概況】
8月13日安値110.10円からの反発は8月15日高値111.42円で一巡、その後は戻り高値を切り下げつつ13日安値に迫っていた。しかし20日深夜のトランプ大統領による米連銀批判からドル安となり、21日午前への下落で109.77円をつけて8月13日安値を割り込んだ。
その後はロス商務長官が8月末までにまとめる予定だった、2,000億ドル規模の対中制裁の影響に関する報告書が遅れることや株高等によるリスク選好感から戻して21日深夜には110.54円をつけたが、20日の戻り高値110.67円を超えずに失速している。
米バージニア州連邦地裁の陪審団が脱税容疑の元トランプ選対本部議長ポール・マナフォート被告に対して有罪評決を下したとの報道もドル売りのきっかけとなったようだ。
【8月15日から高値切り下がりの下降チャンネル】
8月15日高値111.42円以降は17日高値111.12円、20日高値110.68円、21日深夜高値110.54円と切り下がっており、ほぼ1直線で抵抗線を形成している。15日深夜安値110.43円の後も17日夜安値110.31円、21日午前安値109.77円と安値を切り下げている。15日深夜安値と21日午前安値を結ぶラインは上記の抵抗線とほぼ平行であり、下降チャンネルを形成している印象だ。
8月13日に7月26日安値を割り込んだことにより、7月19日高値からの下落は二段目の下げ波動に入った。さらに21日へ安値を更新したことにより7月19日高値を当面の天井とした下落基調の長期化が懸念される状況に入っている印象であり、この流れを覆るには8月15日高値を上抜き返す上昇が必要であり、その前段階として8月15日からの戻り高値切り下がりパターンを破る必要がある。できない内は一段安への懸念が継続しやすいと思われる
【米中貿易協議】
8月23日と24日に米中の次官級協議が行われる。中国による知的財産権侵害への制裁を根拠として米国は総額500億ドル規模の中国製品へ制裁関税を課すことを決定し、そのうち340億ドル分をすでに実施、残り160億ドル分を8月23日から発動予定としている。
さらにこれらとは別に2000億ドル規模の中国製品への制裁関税拡大を計画しており、USTRは8月20日からその影響についての公聴会を開催している。
中国は6月の閣僚級協議で成果を得られずにトランプ大統領が強硬姿勢を貫いたことでその後は協議に応じずに対抗措置をとってきた。しかし今回は米国側の呼びかけにより協議へ復帰、次官級で再開することになった。
現状の力関係、貿易規模では中国に不利であり、中国側が妥協する可能性もあるが、トランプ政権はこれまでも強硬姿勢をぎりぎりまで貫くことを基本的な行動パターンとしているので、果たして今回の次官級協議で先行きの楽観見通しを描けるようになるのかは難しいところだ。
【23日未明のFOMC議事録、24日の議長講演】
8月23日未明3時、前回のFOMC議事録要旨が公表される。そして翌日の24日にはパウエル議長がジャクソンホールシンポジウムで講演を行う。
20日深夜にトランプ大統領が米連銀の利上げ姿勢を批判したと報じられたことがドル安のきっかけとなっており、独立性の高い米連銀は独自判断を確り継続すると思われるが、大統領の意向への忖度も出てくるのではないかと市場もやや警戒している。
まずはFOMC議事録で9月及び12月会合での利上げ確率がどの程度かを見定めることになる。現時点の市場予想では、9月の利上げ確率が9割超でほぼ確実視しており、12月の利上げ確率も6割以上とかなり高いとみている。
24日のジャクソンホール講演で議長が利上げへの積極性をしっかり示せるかどうかにもよるが、12月の利上げ確率を上昇させるものになればドル高へ、変わらずか低下させるものになればドル安へ進みやすくなると思われる。残り1回か2回の利上げ見込みが高い状況でも米長期金利はさほど上昇していない現実もある。
【60分足 一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月15日夜の急落後に戻したため、15日深夜安値を前回のサイクルボトムとしたが、17日への下落底割れしたために新たな弱気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定していた。21日午前へ一段安してから深夜へ戻したため、15日深夜安値から3日半となる21日午前安値を直近のサイクルボトムと仮定する。
今回のトップ形成期は22日から24日にかけての間と想定されるが、21日深夜からの反落で戻り幅の半値以上を削っているのでやや短めに21日深夜高値でサイクルトップをつけた可能性がある。110円台を維持するか、わずかに割り込んでも切り返す内は上昇再開余地ありとし、21日深夜高値超えの場合は22日夜から23日への上昇再開とするが、110円割れからは弱気転換注意として21日午前安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる24日から28日にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では17日の下落で先行スパンから転落し、20日及び21日の反発では先行スパン突破へ進めずにいる。
このため先行スパンを上抜き返せない内は一段安警戒とし、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開と仮定して安値試し優先とする。先行スパン突破からは上昇再開と仮定し、26本基準線を超える内は高値試し優先とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を110.00円、次いで21日安値109.77円、上値抵抗線を110.30円、次いで21日深夜高値110.54円とみておく。
(2)110円台を維持するか、わずかに割り込んでも早々に切り返す内は110.30円超えから上昇再開と仮定して21日深夜高値試しとし、高値更新の場合は110.70円台から111円手前への上昇を想定する。110.70円以上は反落警戒とするが、110.50円を上回って終了の場合は23日の日中も高値を試しやすいとみる。
(3)110円割れを下げ再開注意として21日安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとなるため24日、さらに週明けへの下落継続と仮定する。22日夜にかけては109.50円から109.20円台までを下値目処とするが、110円以下での推移中は23日への続落で109円割れへ向かう可能性ありとみる。
【当面の主な予定】
8/22(水)
トルコ 休場、シンガポール休場
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 年率換算件数 (6月 538万件、予想 541万件)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 -0.6%、予想 0.6%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
8/23(木)
トルコ休場
米国の対中国制裁関税第2弾(160億ドル相当)発動、中国の同規模報復措置実施
米中商務次官級通商協議
14:00 (日) 6月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 105.2)
16:30 (独) 8月 製造業PMI、速報値 (7月 56.9、予想 56.5)
16:30 (独) 8月 サービス業PMI、速報値 (7月 54.1、予想 54.3)
17:00 (欧) 8月 製造業PMI、速報値 (7月 55.1、予想 55.2)
17:00 (欧) 8月 サービス業PMI、速報値 (7月 54.2、予想 54.4)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.2万件、予想 21.5)
22:00 (米) 6月 住宅価格指数 前月比 (5月 0.2%、予想 0.3%)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (6月 63.1万件、予想 64.8万件)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数 前月比 (6月 -5.3%、予想 2.7%)
23:00 (欧) 8月 消費者信頼感 速報値 (7月 -0.6、予想 -0.7)
オーダー/ポジション状況
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