ドル円111円台回復、維持できるかの攻防期(7/27)

ECB理事会とドラギ総裁会見からのユーロ安ドル高によりドル円も戻したが、戻りのレベルは23日朝から24日未明へ戻した時よりもやや鈍い。

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ドル円111円台回復、維持できるかの攻防期(7/27)

【概況】

7月20日のトランプ大統領による米連銀利上げ批判、ドル高牽制、ユーロ安や人民元安批判の連投ツイートをきっかけにドル円は急落に入り、23日朝には110.75円まで下落、7月19日高値113.17円からの下げ幅は2.42円幅となった。急落一服で24日未明へ111.54円まで戻すも勢いは続かず、25日夜の下落で23日からの三角持合いから転落して23日安値を割り込んだ。さらに26日午後も110.59円まで続落したがその後はユーロ安ドル高もあって111円台序盤まで戻している。23日安値割れから大崩れへと進むにはECB理事会から重要イベント続きに入るために突っ込み警戒感が勝って戻し、ECB理事会とドラギ総裁会見からのユーロ安ドル高によりドル円も戻したが、戻りのレベルは23日朝から24日未明へ戻した時よりもやや鈍い。

7月26日夜のECB金融政策では、マイナス金利の据え置き。量的緩和の縮小計画(10月から資産購入を半減させて12月末で終了)方針を維持した。ドラギ総裁会見では「保護貿易主義の脅威に関する不透明感は依然顕著」と警戒感が示されたものの「ユーロ圏景気は強固で幅広い成長を維持している」と景気見通しへの強気姿勢を示したが、市場にとっては特段のサプライズはなく、6月時点からさらに金融政策正常化への姿勢が前傾するような印象がなかったとしてユーロは売られた。ユーロ安に連れてポンドも下げ、ドル高感が強まったことでドル円も戻したというところだ。

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで21万7000件となり前週から9000件増加し、市場予想の21万5000件を上回った。
米商務省の発表した6月の米耐久財受注は前月比1.0%となり前月の-0.3%(速報の-0.6%から改定)から改善したが市場予想の3.0%には届かなかった。輸送用機器を除くコアでも前月比0.4%で前月の0.3%(速報の-0.3%から改定)から改善したが市場予想の0.5%には届かなかった。いずれも予想よりは悪かったが全般的な米景気好調感は維持されているとして市場の反応は限定的だった。

7月27日夜は米GDP速報があるが、今のところは市場予想が前期比年率4.1%と高く、前期の2.0%を大きく上回る見込みのためドル高反応になりやすいかもしれない。ただ、来週は31日昼に日銀金融政策決定会合の結果発表、2日未明にはFOMC金融政策発表、3日夜には米雇用統計と重要イベントが続くため、来週の展開を意識すると過剰な反応は手控えられるかもしれない。

【52日移動平均まで下げるも、日足は下ヒゲで踏みとどまる】

7月19日高値から7月26日安値までの下げ幅は2.56円幅へと拡大した。5月21日高値から5月29日安値へ3.27円幅した時以来の下落規模である。5月29日安値は当日を含めて3日間が日中に下げても終盤に戻して日足は3日間連続の下ヒゲとなって52日移動平均までで下げ止まった。6月25日の小反落でも下ヒゲを2日続けて同線で止まった。今回も7月23日、25日、26日と下げているもののいずれも52日移動平均を支持線として下ヒゲで踏みとどまっている。下ヒゲで踏みとどまる内は111.50円以上への回復で3月26日からの上昇トレンド支持線に復帰もできるが、下ヒゲを潰して安値更新となる場合には重要支持線である52日移動平均割れ、3月26日と5月29日安値を結ぶ支持線も割り込んでの下落期入りという印象がかなり強まると思われる。

【サイクル分析】

【サイクル分析】

(ドル円1時間足)

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月23日午前安値を前回のサイクルボトムとして戻したが、24日未明高値でサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしていた。安値形成期は26日の日中から30日午前にかけての間と想定していたが、26日午後安値からの反発で111円台序盤まで戻したため、26日午後安値を直近のサイクルボトムと仮定する。今回の高値形成期は24日未明高値を基準として27日未明から31日朝にかけての間と想定されるので、戻りが短命なら27日午前までの高値でサイクルトップをつけて新たな下落期に入る可能性も考えられるが、111円を割り込んでも110.80円台までで切り返して111円台を回復するか、111円台に止まって27日未明高値111.24円を超える場合は上昇の継続として27日夜、週明けへ高値を試す可能性ありとみる。110.80円以下へ崩れる場合は新たな弱気サイクル入りの可能性ありとして26日午後安値試しとし、底割れからは次の安値形成期となる31日午後から8月2日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では27日未明への反発で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いている。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパン悪化からは弱気転換注意として安値試し優先へ切り替える。さらに先行スパンから転落の場合は下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は27日未明への上昇で60ポイント台へ戻している。23日安値時と26日安値時とでは指数のボトムが切り上がっているので強気逆行を形成して上昇期に入る可能性も考えられるが、40ポイント割れへ崩れる場合は指数自身の支持線割れとなるために逆行崩れとして下げ再開感が強まるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、111.00円、次いで110.80円を支持線、27日未明高値111.24円を抵抗線とみておく。
(2)111円台維持か、一時的に割り込んでも回復する内は27日未明高値超えからの一段高余地ありとし、高値更新なら111.50円前後試しを想定する。111.50円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、27日夜の米GDP発表等から勢い付く場合は111.75円前後まで上値目処を引き上げる。また111円台を維持して週を終える場合は週明けも高値を試す可能性ありとみる。
(3)111円割れを切り返せずに110.80円割れへ続落の場合は下げ再開注意として26日午後安値110.59円試しへの下落を想定する。27日夜間に安値を割り込むような下げとなる場合は新たな弱気サイクル入りとして28日未明から週明けにかけての下値目処を110.25円前後まで引き下げる。また110.80円以下で終了の場合は週明けも続落しやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/27(金)
朝鮮戦争休戦協定調印 65年周年
10:30 (豪) 4-6月期 四半期生産者物価指数 前期比 (前期 0.5%)
10:30 (豪) 4-6月期 四半期生産者物価指数 前年比 (前期 1.7%)
21:30 (米) 4-6月期 四半期GDP、速報値 前期比年率 (前期 2.0%、予想 4.2%)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者態度指数・確報 (速報値 97.1、予想 、97.1)

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