ドル円見通し 5月天井突破からの上昇続く(7/13)

前日も書いたが、5月21日高値を突破したことにより、5月21日以降の三角持合いを上放れ、

ドル円見通し 5月天井突破からの上昇続く(7/13)

【概況】

米トランプ政権による中国への制裁関税2000億ドル規模の発動決定報道から11日午前に反落したが、この問題での初期的な売りを消化した後はドル全面高の流れに乗って急伸、11日夜には7月10日深夜高値、さらに5月21日高値111.39円も突破して12日未明には112円台へ乗せた。さらに12日もドル全面高と株高を背景に続伸して112.50円を超えてきている。
米国による中国への制裁関税発動の第一弾は7月6日から開始した。これについては既に織り込み済として市場は反応しなかった。第二弾の拡大関税発動決定が矢継ぎ早だったために11日は市場も混乱、いったんはリスク回避の円高が同じくリスク回避のドル高に勝ってドル円が失速したのだが、その後はドル高が勝り始めた。

【米中貿易戦争問題を意識しつつも楽観優勢で株高】

11日は上海株が急落、人民元も下落したが12日は人民元が下落開始後に反騰、上海株は2%を超える上昇となった。その間はNYダウ先物も上昇した。12日はNYダウが前日の219ドル安を解消する224ドル高と上昇、ハイテク株中心のナスダック総合指数は7825.67ポイントまで上昇して史上最高値を更新した。ドル指数は7月9日安値まで下落していたが9日当日から反騰、12日まで4連騰している。

米中貿易戦争が全面化し、市場はさらにこの問題が深刻化するのではないかとの懸念を抱いているが、株式市場やドル指数動向をみると、全面戦争化による泥沼化、金融市場全般のパニック化への懸念がさほどでもなく、米国は大規模減税や財政支出拡大、潜在成長力でこの問題を吸収して行くのではないかとの楽観論が背景にあるようだ。また中国側も7月6日の第一弾に対する反応では同額規模の関税導入を宣言したものの当初の報道でも強硬さを打ち出さず、第二弾についての反撃も具体的な内容については示されていない。中国は米国産大豆への輸入依存度が大きいが、大豆輸入関税を課したあとにはその分を輸入業者へ補てんするような施策も示す等、米国側からの攻撃的関税を耐えようとしている印象もある。このため全面戦争化というよりも通商摩擦の解消へと両国が歩み寄る可能性への期待が株式市場では優勢という事かもしれない。

ただ先行きの不透明感はぬぐえないため、ドル圏投資家による先行投資の手控え、投資ポジションのリスク回避的巻き戻しによりドルが買い戻されている。米国株がしっかりしてくれば米国長期債から株へ資金がシフトし、米長期債利回りは上昇、ドル高を助長しやすくなる。

7月11日深夜以降、ドル円の一段高を始め円安感も強まっている。ドル全面高による上昇という側面以上に「円安」感も強まってきているのではないかと思われる。リスクオン心理が優勢ということに加え、米中貿易戦争ないしは通商摩擦問題は米中への貿易依存度の高い日本経済にとっては打撃となる。株高円安のセット上昇という心理に加え、背景には円安へのリスク感が強まり始めているのかもしれないと注意したい。

【6月高値突破による二段上昇、昨年5月、7月、11月高値の並ぶ114円台を目指す?】

前日も書いたが、5月21日高値を突破したことにより、5月21日以降の三角持合いを上放れ、さらに3月26日以降の上昇波動は5月21日までを一段目とし、5月29日安値からは二段目の上昇として高値を更新してきている状況にある。このため、仮に5月29日への下落幅の倍返しの上昇とすれば上値計算値はV=114.65円、一段目の上昇幅6.75円幅と同レベルの上昇幅となる場合はN=114.86円が上値計算値となってくる。ドル全面高の流れが継続することが条件になるが、現状は昨年11月6日から今年月26日への4か月半の下落に対する揺れ返し上昇となり、上昇4か月目の7月末から4か月半となる8月前半にかけて、昨年11月6日高値114.72円、昨年7月11日高値114.49円、昨年5月11日高値114.36円等が並ぶ114円台を目指す可能性も出てきたのではないかと考える。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月4日午前安値から3日目となる7月9日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、次の高値形成期となる7月11日から13日にかけての間への上昇を想定してきたが、大幅連騰であり既に前回サイクルトップから4日を経過しているのでトップアウト警戒期にあると思われるが、サイクルトップ形成の延長入りにより13日夜から週明けへ高値更新が続く可能性が残る。112.40円割れを弱気転換注意とし、112.25円割れからはいったん弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる13日夜から16日の日中にかけての間への下落を想定するが、急激な円高要因が発生しない調整安レベルなら、そこはまた押し目買いから戻しに入りやすいかもしれない。

60分足の一目均衡表では遅行スパン好転、先行スパンを上回った状況が続いている。高値更新が続く内は遅行スパンも好転を維持するが、高値更新がストップして112.40円以下へ下落し始める場合は遅行スパンも悪化しやすくなる。遅行スパン悪化からはいったん調整安入りとして安値試し優先とする。その際は先行スパン上限で下げ止まる可能性と、潜り込んでその下限を試す可能性にも注意する。またいったん遅行スパンが悪化した後に再び好転するところからは次の上昇期にはいる可能性があるとみる。

60分足の相対力指数は10日夜高値以降、指数のピークが切り下がる弱気逆行状態が続いているが、逆行を超えて上昇が続いている。10日時点で80ポイントを超えているので既にかなりの買われ過ぎ警戒とし、70ポイント割れからは反落注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初の下値支持線を112.40円、次いで112.25円、上値抵抗線を113.00円と想定しておく。
(2)112.40円を上回る内は113円超を目指す可能性ありとする。113円到達では反落警戒とするが、112.40円を上回る内は13日夜か16日朝へ続伸する余地ありとみる。
(3)112.40円割れを弱気転換注意、112.25円割れからは弱気サイクル入りと仮定して112円から111.75円にかけてのゾーンを試す下落を想定する。112円以下は突っ込み警戒、反騰注意とするが、112.25円以下で終了の場合は16日の日中も安値を試しやすいとみる。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

7/13(金)
未 定 (中) 6月 貿易収支(米ドル)(5月 249.2億ドル、予想 272.2億ドル)
未 定 (中) 6月 貿易収支(人民元) (5月 1565.1億元、予想 1825.0億元)
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報 前月比 (速報 -0.2%
21:30 (米) 6月 輸入物価指数 前月比 (5月 0.6%、予想 0.1%)
20:00 (英) カンリフBOE副総裁、講演
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報 (6月 98.2、予想 98.0)


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