【概況】
3月23日安値104.63円からの上昇が継続して4月13日高値107.77円まで3.14円幅となった。しかし週明けからは日米首脳会談を控えての警戒感やユーロ高、ポンド高等を背景に下落、17日午後には106.88円まで下げた。米経済指標が強かったこと等から深夜に107.208円まで戻したが長続きせずに107円を挟んだ揉み合いに終わった。18日午前は米国株高に続く日経平均上昇、日米首脳会談での円高圧力等に報道が見られないことからやや上昇しつつあるところだ。
17日の米経済指標は強めの数字が続いたためドル高に寄与した。米商務省が発表した3月の住宅着工件数は131.9万戸で前月比1.9%増、市場予想の126.2万戸を上回った。また先行指標である住宅着工許可件数は135.4万戸となり市場予想の132.3万戸を上回った。
米連銀が発表した3月の鉱工業生産指数は前月比0.5%上昇となり、2カ月連続のプラスで市場予想の0.4%を上回った。また設備稼働率は78.0%となり前月比0.3ポイント上昇、2015年3月以来3年ぶりの高水準だった。
最近の米経済指標は概ね良好であり、米連銀当局者の講演等での発言も従来からの「緩やかな利上げ支持」や、3回から4回の利上げの可能性(NY連銀総裁)支持等、12月、1月、3月と徐々に利上げ継続への自信、あるいは利上げペースが加速する可能性を持ち始めている印象が強まってきている印象だ。
【米中、米日貿易摩擦問題】
4月13日、米財務省は為替報告書で中国、日本など6カ国を「監視国」に指定。16日夜にトランプ米大統領は「米国が利上げを続ける中で、ロシアと中国は通貨切り下げゲームをしている、受け入れられない」とつぶやき、特に中国に対する人民元安誘導を牽制する姿勢を示した。しかしこれに対して17日夜にはムニューシン財務長官が「大統領の16日のツイートはドルの押し下げを意図したものではなく、中国とロシアに対する警告射撃」と述べ、ドル安誘導を示したものではないとしたためにドル安にやや歯止めがかかった。
一方で中国は2022年までに自動車合弁の外資出資制限を撤廃すると発表し、米トランプ政権による経済障壁排除への要求にこたえる姿勢を示した。これで17日の米国株式市場では自動車株が買われ、米中協議による貿易戦争全面化回避への期待感がやや強まった。
また日米首脳会談中のトランプ大統領発言として、中国の習近平国家主席について「非常に厳しい貿易交渉を行っているが、北朝鮮問題で引き続き協力してくれていることに感謝する」と述べている。
日米首脳会談では日本の貿易黒字解消への圧力がどの程度かかるのか、円高誘導的な要求があるのか注目されているが、今のところは大きな圧力がかかっているという報道はない。帯同している西村官房副長官は「日米首脳による会談で経済に関するやりとりがあった」と述べたとの報道もあるが、詳細言及を避けたとも報じられている。市場としては続報待ちとなっている。
【60分足 一目均衡表、サイクル分析】
4月16日から17日午後への下落により、3月23日安値と4月3日未明安値、4月11日深夜安値を結ぶ上昇トレンドの支持線から転落したが、4月10日及び11日の安値割れには至っていないので、高値更新後の調整安による安値を切り上げる強気パターンは維持されている。このため、17日安値からの反発を継続するうちは13日夜高値107.77円試し、さらに高値を切り上げる可能性も継続する。しかし今回の戻りで13日高値を上抜けずに失速して17日安値、さらに10日安値106.61を割り込む場合は高値切り下げ・その後に安値も切り下げる弱気パターンに入るため、3月26日からの上昇基調が一巡、円高ドル安が再開する可能性が高まると思われる。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月12日夜への上昇で10日深夜高値を上抜いて強気サイクル入りしたが、16日深夜の下落で60分足の先行スパンから転落したため、17日午前時点では13日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また今回の安値形成期を16日深夜から18日深夜にかけての間とし、早ければ17日に反騰入りとなる可能性があるとした。17日午後安値を18日未明への反落で試したが新たな安値更新を回避して戻していること、前回ボトムから4日を経過したことを踏まえ、17日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定する。新たな高値形成期は18日の日中から20日夜にかけての間と想定する。17日安値割れ回避の内は上昇余地ありとし、107.40円超えからは13日高値試しあるいは高値更新へ進む可能性ありとする。ただし、17日安値を割り込む場合は底割れによる弱気サイクル入りと仮定して次の安値形成期となる20日から24日にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、16日の下落で遅行スパンが悪化、16日深夜の下落で先行スパンから転落したが、18日午前の上昇で遅行スパンが好転しつつある。このため遅行スパン好転からは高値試し優先とし、先行スパン突破からは13日高値を試す上昇入りを想定する。ただし、先行スパンを突破できないか、わずかに超えても失速して再び転落する場合は下げ再開と考える。
60分足の相対力指数は17日午後の下落で30ポイント台序盤へ下げ、18日未明の反落時では指数のボトムを切り上げて50ポイント台を回復している。40ポイントを超える内は上昇余地ありとして70ポイント前後試しへ向かいやすいとみる。50ポイント台を維持できなくなる場合は下げ再開注意、40ポイント割れからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、17日安値106.88円を支持線、107.40円を抵抗線とみておく。
(2)107円台を維持する内は107.40円超え試しとし、107.40円超えから続伸なら13日高値107.77円を試すとみるが、その前後はいったん戻り売りにつかまりやすいとみる。仮に13日高値超えへ進む場合は108円台序盤まで上値目処を引き上げる。
(3)107円割れを弱気転換注意、106.88円割れからは新たな弱気サイクル入りとして106.50円前後試しを想定する。4月10日安値106.61円を割り込む場合は安値切り上げ型が崩れての下落期入りとして円高が本格化する可能性にも注意する。(了)<9:55執筆>
【当面の主な予定】
4/18(水)
17:30 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.4%、予想 0.3%)
17:30 (英) 3月 消費者物価指数 前年比 (2月 2.7%、予想 2.7%)
17:30 (英) 3月 生産者物価コア指数 前年比 (2月 2.4%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前月比 (1月 -2.2%、)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前年比 (1月 3.7% )
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数 HICP、改定値 前年比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
23:00 (加) カナダ銀行(BOC) 政策金利 (現行 1.25%、予想 据え置き)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
4/19(木)
05:15 (米) クオールズFRB副議長、講演
07:45 (NZ) 1-3月期 四半期消費者物価 前期比 (前期 0.1%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 1.75万人、予想 2.0万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 5.6%、予想 5.5%)
17:00 (欧) 2月 経常収支 (1月 376億ユーロ )
17:30 (英) 3月 小売売上高指数 前月比 (2月 0.8%、予想 -0.6%)
21:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 22.3、予想 21.0)
22:30 (米) クオールズFRB副議長、講演
23:00 (米) 3月 景気先行指数 前月比 (2月 0.6%、予想 0.3%)
オーダー/ポジション状況
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