【概況】
3月27日まではドル安基調でユーロ高、ポンド高、円高であったが、27日夜からはそれらが調整に入ってドルが反発、さらに28日夜の米GDP確報値が予想以上の上方修正となったことでドル高に弾みがついてドル円は29日未明に107.00円まで上昇した。しかしその後の107円台を維持できずに106円台前半まで失速している。
29日は米経済指標の発表も相次いだが強弱まちまちで市場の反応は限定的だった。
30日は欧米市場がグッドフライデーで為替を除いて休場となるため、29日からは既に休暇先取りにより動きも鈍っている。30日は為替のみの動きになるが、参加者も限られるため欧米市場時間では動意薄い展開になりそうだ。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで21万5000件となり、1973年1月以来の低水準となった。前週比は1万2000件減で市場予想の23万件を下回った。
米MNIインディケーターズが発表した3月のシカゴPMIは57.4となり前月の61.9から低下、市場予想の62.0を下回った。1年ぶりの低水準。
米ミシガン大の3月消費者信頼感指数確報値は101.4で速報値の102.0から下方修正され、市場予想の102.0を下回った。前月は99.7。
米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は29日のNY講演で「今年あと2回の利上げが適切」とし、「米経済のダイナミズムが失われており、成長につながる生産性や技術革新の創出に影響が出る恐れがある」と述べて将来的な景気減速への懸念を示した。
【米国株の不安定さ】
NYダウは254.69ドル高と反発。米トランプ政権の保護主義的関税拡大による貿易戦争懸念から3月22日に724.42ドル安、23日に424.69ドル安と大幅下落して23509.06ドルの安値をつけたが2月9日への世界連鎖株安時につけた23360.29ドル割れをひとまず回避している。米国の対中国関税拡大、中国の対抗措置による米中摩擦等が最大の懸念材料だが、米中がこの問題で協議に入っていることで妥協への期待、全面的な貿易戦争拡大への悲観論がやや落ち着いたところだが、鉄鋼・アルミ関税の適用除外とされた韓国との協議でも米朝会談までは緩和を留保するとし、日本に対しては適用除外しない等、米国の姿勢はあくまでも米国第一主義であり強硬なため、簡単には解決できないのではないかと思う。NYダウが安値更新へ進めばトランプラリー相場の終焉、バブル修正による本格的な下げ相場入りも懸念されるので、株安再燃なら円高も再開すると警戒するところだ。
【2月21日からの高値切り下げライン】
2月中盤以降、ドル円は2円強の戻りを入れながらも戻り高値を切り下げてその後も安値を更新するパターンを繰り返してきた。3月23日と26日の104円台でのダブル底から戻している現状も、29日未明高値107.00円では3月13日高値107.29円に届いておらず、2月21日以降の戻り高値を結ぶ抵抗線にちょうどぶつかってやや失速している状況にある。
今回の戻り幅は今のところ2.38円幅であり、2月16日から21日への2.35円幅、3月2日から13日への2.04円幅とさほど変わらないレベルにある。ただしこれまで上抜けずにきた日足の26日移動平均を超えたことは注目すべきであり、昨年11月天井、12月戻り高値からの下落をひとまず一巡させて中勢レベルのリバウンドに入る可能性を示している。それが実現する条件の第一は13日高値を上抜くことであり、抜けきれないうちはこれまでと同様の下げ再開となる可能性が残っていると言えるだろう。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成のサイクルでは23日安値と26日朝安値をダブル底として戻し、20日夜高値から5日目となる27日高値105.90円でサイクルトップをつけて反落していたが、28日夜の上昇で27日夜高値を上抜いたためにダブル底の23日安値から3日目となる28日朝安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったと思われる。ただし、急騰に対する反動安も警戒され、また急騰故にサイクルトップ形成が短縮される可能性もある。
今のところは106.50円割れを切り返しつつ持ち合いとなっているので、106.75円超えから上昇再開、高値更新へ進めば4月2日夜から5日朝にかけての間へ上昇を継続してゆく可能性があるが、106.25円割れからは弱気転換注意、105.90円割れから続落ならサイクルトップを短縮しての弱気サイクル入りの可能性を優先して4月2日から4日にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では29日未明高値からの失速により30日午前時点では遅行スパンが悪化している。先行スパン上限が支持線となっているが、遅行スパン悪化中は先行スパンへ潜り込む可能性を警戒し、先行スパン転落からは下落再開の可能性を優先して遅行スパン悪化中の安値試しを想定してゆく。遅行スパンが再び好転するところからは上昇再開として高値更新を試して行くとみる。
60分足の相対力指数は29日未明に80ポイントを超えるところまで急伸したが、その後は50ポイント割れまで下げ、30日午前は50ポイントを挟んだ持ち合いとなっている。55ポイント以上へ上昇、さらに60ポイント超えなら上昇再開とするが、45ポイント割れからは続落注意として30ポイント割れを試しにかかるとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.25円、次いで105.90円を支持線、106.75円、次いで29日未明高値107.00円を抵抗線とみておく。
(2)106.25円を上回る内は106.75円超えから上昇再開として29日未明高値107.00円試しとし、高値更新なら3月13日高値107.29円超えへ挑戦するとみる。3月13日高値を超えられずに高値から0.50円以上の下落となる場合は下げ再開を警戒する。13日高値超えなら107.50円前後への上昇を想定する。
(3)106.25円割れからは下げ再開の可能性を優先し、105.90円割れからは下落の加速に注意して30日夜にかけては105.50円前後への下落を想定する。その場合は週明けに105円台前半試しへ向かう可能性ありとみる。(了)<10:00執筆>
【当面の主な予定】
3/30(金)
グッドフライデー 豪、NZ、シンガポール、香港、英、仏、独、瑞、南ア、カナダ休場
グッドフライデー 米 株式・債券市場 休場
3/31(土)
10:00 (中) 中国3月製造業PMI (2月 50.7、予想 50.3)
10:00 (中) 中国3月非製造業PMI (2月 54.4)
4/1(日)
米韓合同軍事演習開始
オーダー/ポジション状況
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