ドル円109円台を維持できず持ち合い、FOMC待ち(1/31)

先週末安値の後は下げ渋っているが、背景は米長期債利回り上昇とトランプ大統領一般教書演説、FOMCを控えたポジション調整と思われる。

ドル円109円台を維持できず持ち合い、FOMC待ち(1/31)

【概況】

1月8日高値113.38円からの下落基調が続いている。1月16日から23日までの間は110円割れを踏みとどまっていたが24日に割り込んで下落基調が加速、ダボス会議における米財務長官のドル安容認発言から109円割れ、26日未明には108.49円を付けたがトランプ大統領のドル安容認姿勢否定発言で109.77円まで反騰。しかし戻りは続かず、同じくダボス会議の黒田日銀総裁発言も絡んで27日未明には108.28円の安値を付けた。
週明けは米長期債利回り上昇による円安ドル買い圧力もあってやや戻す場面もあるのだが、109円台に乗せたところは売られており、30日夜も108.41円まで下げ、31日朝も108円台後半に止まっている。

【FOMC前の米長期金利上昇】

先週末安値の後は下げ渋っているが、背景は米長期債利回り上昇とトランプ大統領一般教書演説、FOMCを控えたポジション調整と思われる。
欧州長期金利上昇に同調したことやFOMC(2月1日未明に声明文発表)を控えて米長期金利上昇リスクが意識されている。先週までは欧米の長期金利上昇よりもユーロ高等によるドル安感が勝ったためにドル円も下落基調を続け、日米長期金利差に対する反応から乖離していた。大きな流れとしてのドル安基調は継続しているものの、FOMC前ということもあり、円高を抑制しているといえるだろう。昨晩はNYダウが一時400ドルを超える大幅下落となり、日経平均も大幅下落するなど株安を意識すればドル円ももう一段安へと下落しても不思議なかったが、米長期金利上昇感がそれを抑えたようだ。

米10年債利回りは一時2.733%を付けて2014年4月以来4年ぶり高水準となった。
米短期金利先物市場から逆算される市場の利上げ確率予想は、3月利上げが90%、6月に二度目の追加利上げがされる確率が60%強となっているようだ。2016年12月のFOMCでメンバーの利上げ回数予想中央値として2017年3回の利上げ姿勢が示され、実際にその通りに3月、6月、12月に利上げが決定された。9月にバランスシート縮小も決定されている。
2017年12月FOMCでもメンバーの利上げ回数予想中央値は3回であり、これまでの経済指標、金融市場動向を踏まえれば、計画通りに実施されてゆく可能性が高いと思われる。
1月30-31日のFOMCでは3月利上げを見込んで現状維持と予想されているが、声明文等で景気判断の上方修正等あれば、利上げペースの加速も意識されるかもしれない。今後のFOMCメンバーの入れ替わり等によってもタカ派色が強まる可能性も考えられる。タカ派色が強まらないならドル安のきっかけにもなるだろう。

日本時間31日午前11時、トランプ大統領の一般教書演説がある。1兆ドルを超える巨額インフラ投資計画の概要がどこまで示されるか不明だが、詳細は2月に入ってからとされている。メキシコの壁問題等、与野党対決職が強まったり、為替や貿易問題への言及度合いによってはドル円も大きく反応する可能性があるので注意する。
ただし、あくまでもFOMCからの反応で2月以降、ドル安円高がさらに続くのかどうかが決まってくるのだろうと思われるので、ドル高反応でも上昇は限定的と思われる。逆に円高ドル安反応の場合はFOMCに先行して一段安を開始する可能性もあるだろう。

【米財務長官のドル安容認発言訂正】

30日夜、上院銀行委員会においてムニュー心米財務長官が証言したが、同長官は「はっきりさせておきたい。私は強いドルが長期的に米国にとって最大の利益になることを断然支持する。われわれは介入のない自由な為替市場を持ち、世界で最も流動性の高い市場に信頼を置くことを強く支持する」「従って短期的なことは懸念していない」と述べた。また「ドル安は貿易と機会に関連するため、もちろん我々にとって良いことだ」というダボス会議での発言を何度も繰り返し報じられたことについて、「ドルを口先で押し下げる意図はとにかく絶対になかった」と強調した。
市場はこの証言にはさほど反応していない。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、30日昼への反発で先行スパンを上抜きかけたが失速したため、現状では先行スパンを下回った状況にある。相場が下げ渋り持合いに入っているため遅行スパンが実線と交錯しており、方向性に乏しい。
30日昼高値109.20円超えから続伸し、その後も109円台を維持し始めれば先行スパン突破感が強まり上昇を継続しやすくなると思われるが、一時的に超えても再び転落する場合は持合いの継続、あるいは一段安警戒圏と考える。

60分足の相対力指数は相場が下げ渋り持合いのため、指数自身のボトムはやや切り上がりだが、ピークも切り下がり気味で方向感に欠ける。50ポイント以上での推移中はやや上向き、40ポイント割れからさらに低下する場合は下向きとみる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、23日午前安値から4日目となる26日未明安値でいったんサイクルボトムを付けたが、26日午前高値からの下落で底割れしたことにより新たな弱気サイクル入りしていると思われる。
26日午前高値を超えられないうちは一段安警戒とし、27日未明安値更新の場合は31日朝から2月2日朝にかけての間への安値試しを優先する。
ただし、26日午前高値を上抜く場合は27日未明安値と30日深夜安値によるダブル底型形成による強気転換として110円台前半試しへ向かう可能性が出てくる点に注意する。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)目先、108.40円前後を支持線、109.20円前後を抵抗線とみておく。
(2)109.20円を一時的に超えても109円割れする場合、および108.40円を割り込んでも切り返すうちは持合いの継続としてFOMC待ちに入るとみる。
(3)109.20円超えから続伸する場合は109.50円前後試しと見るが、109.50円から26日高値109.77円にかけてのゾーンを抵抗帯とし、その後の反落注意とし、109円割れからは下げ再開とみる。
(4)108.40円割れから続落なら27日未明安値108.28円試しとするが、底割れ回避なら持合いの継続とみる。ただし底割れからは一段安開始として107.50円以下を試すとみる。その際は昨年9月8日安値107.32円割れを回避するか、底割れするのかにより、中勢レベルの展開にも大きな影響が出ると注目する。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

1/31(水)
10:00 (中) 1月国家統計局製造業PMI (12月 51.6、予想 51.5)
10:00 (中) 1月国家統計局非製造業PMI (12月 55.0、予想 55.0)
10:30 (日)岩田日銀副総裁、講演
11:00 (米)トランプ大統領一般教書演説
19:00 (欧) 12月失業率 (11月 8.7% 、予想 8.7%)
19:00 (欧) 1月消費者物価指数(HICP)速報 前年比 (12月 +1.4%、予想 +1.3%)
22:15 (米) 1月ADP全国雇用者数 (12月 +25.0万人、予想 +17.0万人)
23:45 (米) 1月シカゴ購買部協会景気指数 (12月 67.6、予想 63.5)
24:00 (米) 12月中古住宅販売保留件数指数 前月比 (11月 +0.2%、予想 +0.5%)
28:00 (米) FOMC政策金利発表 (現状 1.25-1.50%、予想 現状維持)

オーダー/ポジション状況

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