【概況】
米連銀のFOMCで今年三度目の利上げが決定され、2018年の利上げ回数予想の中央値が三回とされたことを材料消化としてドル安円高となったのが先週後半。材料的にはドル円の下落一巡となったところでトランプ政権による大規模減税を柱とする税制改革法案が年内成立見通しとなったことでFOMC後には下落していた米長期金利が上昇に転じ、日米長期金利差の拡大を根拠としてドル円は先週末夜から上昇し始め、今週も連日戻り高値を切り上げてきた。
21日夕刻には113.63円まで上昇し、12月12日深夜高値113.75円に接近したが、22時半の米経済指標を控えてやや下落、米経済指標では特に米GDP7-9月期確報値が改定値から下方修正されたことでドル安反応となり、113.20円台まで押してきた。
21日は日銀金融政策の発表があったが、12時前に早々と現状維持が発表された。特に議論もなくこの1年間は新たな手も打てずに現状維持が続いた。ETFを通じた株買い支えは継続するが、手詰まり感もより一層強まった感じだが、想定内として市場の反応は限定的だった。
【米GDP確報値の下方修正】
22時半には米経済指標の発表が集中した。
米7-9月期GDP確報値は前期比年率で+3.2%となり改定値の+3.3%から若干下方修正され、市場予想の+3.3%を下回った。個人消費も改定値の+2.3%から+2.2%へ下方修正された。GDPコア・デフレーターの前期比年率は+1.3%で改定値の+1.4%から下方修正だった。
週間の米失業保険申請件数は24.5万件となり、市場予想の23.3万件、前週の22.5万件を上回った。
フィラデルフィア連銀の12月製造業景況指数は26.2となり市場予想の21.0、11月の22.7を上回ったが、GDPの下方修正、失業保険統計の悪化によりこれらの発表後はドル安反応となった。
米税制改革法案成立により、30年ぶりの大型減税が実現する運びとなった。米国の債務増加懸念、リスクオン心理の拡大による米長期債売りによりここ数日は米10年債、30年債利回りが上昇、特に10年債利回りは20日に9か月振りとなる高水準まで上昇したが、この日はひとまず上昇一巡により低下したため、日米金利差からのドル買い円売り圧力が後退、ドル円の上昇を抑えた印象がある。
クリスマス休暇により市場の参加者も減り、休暇前の手仕舞いにより、ここ数日上昇してきたものが上昇一服となっている印象もある。
米大規模減税の成立については、米大手通信事業企業が臨時ボーナスの支給を表明するなど、法人減税が企業業績や雇用改善、賃金上昇へつながるのではないかという楽観的な期待もある。株式市場は年内成立期待で上昇し、ほぼ成立するとみられたところからは手仕舞いにより下落していた。クリスマス休暇明けに減税効果への前向き評価が強まって株高、リスクオン心理が再拡大すればトランプ大統領のサプライズ当選から始まったトランプ・ラリー相場がややバブル的ではあるものの年末、年明けへと継続する可能性が出てくるかもしれない。しかし一方では「期待で買って事実で売る」という相場の基本に従えば、新たな強気材料や、これまでの上昇要因をより強めるような強気材料への再評価ができなければ、材料出尽くし感が強まって株式市場が下落に転じる可能性も指摘されている。ひとまず、クリスマス休暇入り。休暇明けの流れにより、年末へドル高円安がもう一段進むか、修正的な下落に入るのかが見えてくるのではないか。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では21日夕刻の高値から下落したため、遅行スパンは悪化しかけている。また先行スパンの上部に迫っている。26本基準線は割り込んできているので、21日夕高値を目先のピークとして下落しやすい状況にあると思われる。20日午前安値113.19円を割り込む場合は遅行スパン悪化、先行スパンへ潜り込むことになるため、先行スパン下限のある113.00円前後試しへ向かいやすくなる。さらに113円割れの場合は先行スパンからの転落となるため、下落が加速しやすくなるとみる。ただし、先行スパンから転落しないうちは26本基準線超えから上昇再開の可能性に注意、21日夕高値超えの場合は12日深夜高値113.75円試し、高値更新なら114円試しまで上値が切り上がってゆく可能性が優先されると思う。
60分足の相対力指数は19日深夜への上昇時と21日夕刻の高値形成時との間では指数のピークが切り下がる弱気逆行となっているため、いったん先週末からの上昇に対する修正安へ進みやすい姿と思われる。60ポイント超えへ切り返し、その後も50ポイント以上で推移してくれば上昇再開の可能性ありだが、そこまで戻せないうちは40ポイント割れへの下落警戒とみる。
概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、18日朝高値を上抜いたために高値更新による強気サイクル入りとして21日朝から25日朝にかけての間への上昇を想定してきた。既に前回サイクルトップから4日目に入っているので21日夕高値でピークをつけ、下落期に入っている可能性がある。21日午前安値割れからは弱気サイクル入りと仮定する。その場合は安値形成期が22日朝から26日朝にかけての間と想定されるので、113.50円を超えられないうちは安値形成への下落余地ありとする。その際の下値目途は当初113円から112.90円、さらに続落なら112.50円台まで引き下げる。
113.50円台回復からは新たな強気サイクル入りの可能性ありとし、21日夕高値更新からは次の高値形成期となる26日から28日への上昇と114円台序盤試しを想定する。(了)<9:30執筆>
【当面の主な予定】
12月22日
18:30 (英) 7-9月期GDP・確報値 前期比 (速報 +0.4%、予想 +0.4%)
18:30 (英) 7-9月期GDP・確報値 前年比 (速報 +1.5%、予想 +1.5%)
22:30 (米) 11月個人所得 前月比 (10月 +0.4%、予想 +0.4%)
22:30 (米) 11月個人消費 前月比 (10月 +0.3%、予想 +0.4%)
22:30 (米) 11月コアPCEデフレーター 前月比 (10月 +0.2%、予想 +0.1%)
22:30 (米) 11月コアPCEデフレーター 前年比 (10月 +1.4%、予想 +1.5%)
22:30 (米) 11月耐久財受注 前月比 (10月 -0.8%、予想 +2.0%)
22:30 (米) 11月耐久財受注 除輸送用機器 前月比 (10月 +0.9%、予想 +0.5%)
24:00 (米) 11月新築住宅販売件数 (10月 68.5万件、予想 65.0万件)
24:00 (米) 12月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 96.8、予想 97.2)
オーダー/ポジション状況
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