ドル円見通し 31日安値及び26日移動平均割れ(11/16)

米経済指標はまちまちで市場反応は限定的だった。

ドル円見通し 31日安値及び26日移動平均割れ(11/16)

【概況】

11月6日午前高値114.734円からの下落は10日未明安値113.09円で一服、14日夕刻高値113.91円まで戻していたが、日米欧株安と米長期金利低下を背景に下落再開となり、15日夜には112.475円まで続落、10月31日安値112.95円を割り込んだ。深夜にいったん113円台序盤まで戻したが反落し、113円割れの状況で終了した。
米長期金利が上昇していたことが14日へ戻した背景であったが、株安から債券へ投機マネーがシフトし、債券高=米長期金利低下=日米金利差縮小による円高圧力+株安継続懸念からのリスクオフ=円高という図式になっている。

米経済指標はまちまちで市場反応は限定的だった。
10月の米消費者物価指数前年比は前月の+2.2%から低下、市場予想の+2.0%と一致した。コア指数前年比は前月の+1.7%、市場予想の+1.7%を上回る+1.8%となった。
11月のNY連銀製造業景況指数は前月の30.20、市場予想の25.10を下回る19.40と低下した。
10月の米小売売上高 前月比は前月の+1.6%(+1.9%へ上方修正)から低下したが、市場予想の0.0%を上回る+0.2%となった。

【株安=債券高・長期金利低下=日米金利差縮小の円高+リスクオフ円高】

日経平均は11月9日に23362円まで上昇、アベノミクス開始以降の最高値を更新したが、当日に860円安の乱高下となり、翌日からの続落で15日時点では高値から6%安と崩れている。
NYダウは11月7日に23602ドルの史上最高値をつけてから反落、日経平均が高値から安値まで取引時間中に860円も下げた当夜には一時253ドル安の急落となり、いったんは下ヒゲをつけて戻したもののその後の下落で下ヒゲを潰し、さらに安値を更新して15日は終値ベースで26日移動平均を割り込んでいる。
トランプラリーの継続、米減税法案の可決期待、総選挙での勝利による日銀金融緩和と株買い支えの継続という流れでやや過剰な楽観主義で大上昇してきた日米株だが、さすがに買われ過ぎ警戒感から崩れ始めている。

1日、2日の急落なら高値を掴んだ買い方の一時的狼狽売りに止まり、積極的な突っ込み買いから戻して高値更新へ進むというケースもあるが、続落基調に入ると買い方の投げ売りも連鎖反応を起こしてくるため、大きな調整安へと発展しかねない。そうした懸念が米長期債上昇・長期金利低下、リスク回避での円高という流れを作ってきている。
裏返せばここ数日の下落による不安心理を解消するような株高材料の出現で切り返せばドル円も反発に転じやすいわけだが、株安継続ならドル円も大きな調整安へ入る可能性が懸念されるという事だろう。

【26日移動平均割れ】

11月15日の下落で重要支持線の26日移動平均を割り込んだ。10月16日への下落では同線をザラバで割り込んだが翌日から切り返して一段高へ進んだ。しかし今回は同線を割り込んでいる。7月11日高値114.49円から9月8日安値107.32円まで2か月の下落、それを2か月の反発で11月6日高値114.734円まで戻してイッテコイを実現した。左右対称的な揺れ返し実現からの反落で26日移動平均を割り込んでいる。

5月11日高値から6月14日へ1か月下落し、7月11日へ1か月戻してわずかに戻り高値を切り上げたが、イッテコイ実現から下落し、26日移動平均割れから一段安へ進んだ経緯がある。
今回も同様のケースになる可能性があるので、26日移動平均を上抜き返すなら上昇再開、高値更新へ向かう可能性ありとするが、同線割れからさらに52日移動平均割れへと進むなら下落基調が継続してゆく可能性が高まると思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、14日夕からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。15日深夜にやや戻したが、両スパン悪化状態が続いている。新たな安値更新を回避して推移なら遅行スパンは一時的に好転する可能性があるが、先行スパンを上抜き返せない内は一段安懸念が継続すると思われる。16日未明高値113.19円を超えた状況を維持し始める場合は先行スパン好転へ進みやすくなるが、戻り高値を更新できない内は一段安警戒とみる。

60分足の相対力指数は15日夜時点で20.23ポイントまで低下したが、その後は反発している。50ポイント以上を維持し始めればひとまず戻しに入る可能性が高まるが、まだ強気逆行型が形成されていないので、もう一度安値試しへ向かう可能性が残る。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、10日未明安値を前回のサイクルボトム、14日夕高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる15日未明から17日朝にかけての間への下落を想定してきた。既に前回ボトムから4日を経過しているので15日夜安値でボトムをつけた可能性があるが、16日未明高値を上抜けない内は一段安余地が残る。16日夜へ安値を更新する場合は夜間から17日未明にかけてサイクルボトムをつけて反騰入りしやすいとみる。15日未明安値割れ回避から16日未明の戻り高値を上抜く場合は強気サイクル入りとして次のトップ形成期となる17日の日中から21日への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)16日未明高値113.19円を上抜けない内は一段安注意とし、15日夜安値割れの場合は112.00円前後への下落を想定する。112円割れはいったん買い戻しも入りやすいと注意する。特に深夜帯の安値形成はその後に反騰入りとなる可能性がある。
(2)113.19円超えからは強気サイクル入りの可能性を優先し、113.50円前後への上昇を想定するが、113.50円以上は戻り売りにつかまりやすいと注意する。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

11月16日
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件
22:30 (米) 11月フィラデルフィア連銀製造業指数 (10月 27.9、予想 24.1)
23:00 (英) カーニーBOE総裁、ブロードベントBOE副総裁、カンリフBOE副総裁、ホールデン英MPC委員、講演
23:10 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
23:15 (米) 10月鉱工業生産 前月比 (9月 +0.3%、予想 +0.5%)
23:15 (米) 10月設備稼働率 (9月 76.0%、予想 76.3%)
24:00 (米) 11月NAHB住宅市場指数 (10月 68、予想 67)

11月17日
03:10 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
05:00 (欧) コンスタンシオECB副総裁、講演
05:45 (米) ブレイナードFRB理事、講演
06:45 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
17:30 (欧) ドラギECB総裁、講演
22:00 (独) ワイトマン独連銀総裁、講演
22:30 (米) 10月住宅着工件数 (9月 112.7万件、予想 118.3万件)
22:30 (米) 10月建設許可件数 (9月 121.5万件、予想 124.2万件)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る