ドル円見通し 10月以降四度目の114円台回復(10/27)

ECB(欧州中銀)は26日の理事会で政策金利を現状維持とし、量的緩和としての資産購入額を現行の月600億ユーロ(約8兆円)から月300億ユーロに半減させたものの、

ドル円見通し 10月以降四度目の114円台回復(10/27)

<概況>

10月23日朝高値114.10円から24日朝へ下落、25日夕刻に114.24円まで上昇して10月6日以降の高値を更新したが反落して26日午後には113.34円の安値を付けた。三度、114円台定着に失敗して下げた状況にあったが、26日夜はECB金融政策、ドラギ総裁会見からユーロが急落、英ポンドも連鎖安、すでに下落基調に入っていたカナダドル、豪ドルが続落して資源通貨、新興国通貨安を助長したことでドル高感が強まり、27日未明には四度目の114円台回復となった。

【ユーロ一段安】

ECB(欧州中銀)は26日の理事会で政策金利を現状維持とし、量的緩和としての資産購入額を現行の月600億ユーロ(約8兆円)から月300億ユーロに半減させたものの、これを来年9月まで継続するとした。また経済情勢が悪化すれば期間の再延長や購入規模を再拡大する可能性があるとした。
市場はECBが量的緩和の終了、出口戦略へ舵を切ったとみて年初からユーロ高ドル安で進んできた。9月8日には1.2092ドルの高値を付けたが、その後は8か月に及ぶ上昇に対する高値警戒感と、欧州経済指標、インフレ進捗率等を踏まえて調整安に入って下落してきた。10月6日安値からはいったん戻していたが、10月26日の急落で底割れとなり、9月8日高値からの下落は二段目の下げにはいった。
前回のECB理事会およびドラギ総裁会見で10月には金融政策の見直しをするとされていたため、量的緩和政策の終了目途が示されるのではないかとの市場の思惑も今回の決定で崩れた。
ドラギ総裁は26日夜の理事会後の会見で「テーパリングではなく、単なる規模の縮小だ」「理事会内の大半が、終了時期を定めないままとすることを支持した」と発言している。

【米連銀議長人事と米予算下院通過】

米連銀FRBの次期議長人事をめぐり、25日時点ではイエレン議長よりもタカ派とされるテイラー教授、イエレン議長、イエレン議長に近いとされるパウエル理事の3名に候補が絞られたとされていたが、26日の米メディア報道ではイエレン現議長が候補から外れたとされた。このためテイラー教授が選ばれる可能性が高まったとしてドル高が助長された。

米下院は26日、2018会計年度(17年10月から18年9月)の予算決議案を賛成216、反対212で可決した。この予算決議では、2027年度までの10年間で最大1兆5000億ドル(約170兆円)の減税が可能となる。上院が19日に可決した決議案を下院が承認したため、上院での可決見通しとなった。
下院歳入委員会は法人税率を現行の35%から20%へ引き下げること等を盛り込んだ税制改革案を提示し、年内成立を目指す。
米予算成立見通しが立ったこともドル高株高要因となっている。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、25日夕刻高値からの下落で遅行スパンが悪化、26日の日中は先行スパンから転落していたが、26日夜の上昇で遅行スパンが再び好転、先行スパンも上抜き返した。114円台の高値は10月23日、24日、25日と三度売られて維持できずに終わっているため、今回も同様の下落となる可能性もあるが、四度目の今回の上昇で25日高値を上抜けば抵抗突破感から一段高へ走る可能性も考えられる。このため、先行スパンを上回るうちは高値試しを優先してゆく。

60分足の相対力指数は26日の日中に30ポイント台まで下げていたが夜の上昇で50ポイント台を回復、維持している。50ポイント以上で推移するうちは高値試しへ進みやすいとみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、23日朝高値を前回のサイクルトップ、24日未明安値を同サイクルボトムとして上昇していたが。25日夜の反落により24日未明安値からの上昇分の半値以上を削っているので、25日夕高値をやや短縮されたサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。今回の安値形成を27日朝から31日朝にかけての間としたが、前回のサイクルトップ、ボトムの形成が短縮されていたこともあるので、26日朝時点では今回もやや短めにボトムを付けて反騰入りとなる可能性があるとし、114円超えからは新たな強気サイクル入りとした。
114円台を回復してきたため、26日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定し、次のトップ形成期となる30日から11月2日への上昇を想定するが、113.65円割れから弱気転換注意として26日午後安値試しとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)113.75円を上回るうちは上昇継続余地ありとし、25日高値114.24円試しとみる。高値更新の場合は114.50円から114.75円にかけての上昇を想定する。またその場合は先行きで115円試しの可能性が高まるとみる。
(2)113.65円割れからは弱気転換注意として26日午後安値試しとみるが、底割れ回避のうちは上昇再開余地ありとし、113.75円超えから上昇再開とみる。
※ 10月23日、24日、25日、27日と四度目の114円台乗せとなっている。9月後半から10月序盤にかけては113円乗せを何度か売られ、10月6日安値まで出直しの下落となった経緯もあるので、今回も注意が必要だが、上値更新の場合は、高値圏持合いからの上放れとして上昇に弾みがつく可能性ありとみる。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

10月27日
21:30 (米) 7-9月期GDP・速報値 前期比年率 (前期 +3.1%、予想 +2.6%)
21:30 (米) 7-9月期個人消費・速報値 前期比年率 (前期 +3.3%、予想 +2.1%)
21:30 (米) 7-9月期GDPデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +1.0%、予想 +1.8%)
21:30 (米) 7-9月期コアPCEデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +0.9%、予想 +1.3%)
23:00 (米) 10月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値  (速報 101.1、予想 101.1) 

10月29日
英国、欧州市場は冬時間に

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