ドル円見通し 上昇続かず、北朝鮮情勢で下落(9/26)

北朝鮮の李容浩外相は25日、ニューヨークの記者会見で、最近のトランプ米大統領発言を「(トランプ大統領は)宣戦布告をした」、

ドル円見通し 上昇続かず、北朝鮮情勢で下落(9/26)

<概況・ポイント>

9月21日未明の米連銀FOMC声明において、12月利上げの確率が高まったためにドル円は111円台序盤から112円台後半まで上昇した。しかし、21日夜にトランプ大統領が北朝鮮への独自制裁を強化する大統領令に署名したこと等から北朝鮮有事リスクが再認識されて22日午前には112円割れとなり、FOMCからのドル高円安にブレーキがかかった状況で先週を終えていた。

週明けの25日、週末に新たな北朝鮮側からの軍事的行動はなく、Jアラートが鳴る事態にならず、安倍政権が解散総選挙に踏み切ることによる株高期待感を背景にドル円は上昇気配で開始、112.55円まで戻したが、21日高値112.71円を超える勢いはなく、112円台序盤を中心とした持ち合いで推移した。

北朝鮮の李容浩外相は25日、ニューヨークの記者会見で、最近のトランプ米大統領発言を「(トランプ大統領は)宣戦布告をした」、「北朝鮮には、領空外であっても米戦略爆撃機を撃墜することを含むあらゆる自衛的な対応を取る権利がある」と述べた。この発言により北朝鮮有事リスク感が強まり、リスク回避からドル円は26日未明に111.47円まで下落して22日の安値を割り込んだ。その後も112円台回復には至っていない。
トランプ政権は報道官を通じて「宣戦布告はしていない」と反論しているが、トランプ政権による、北朝鮮を経済制裁と軍事的な威圧で追い詰めて交渉のテーブルにつかせようという強硬姿勢が、北朝鮮側からの反抗姿勢をエスカレートさせるという展開が継続している。緊張感のピークには至っていないために、新たな緊張感を生みかねない状況が発生すればドル円も含め、金融市場全般が反応するという状況にある。

ドル円は9月8日に107.32円まで下落して年初来安値を更新した。その背景は北朝鮮の有事リスクと米連銀の金融政策をハト派的としたドル安感であった。この流れが一服して揺れ返しの上昇に入り、9月15日の北朝鮮による弾道ミサイル発射にはさほど反応せず、21日未明のFOMCから一段高となって上昇基調を継続させる動きとなっていた。
しかし、トランプ大統領による制裁強化の大統領令、北朝鮮の金委員長自身による米国批判声明、北朝鮮外相による「太平洋での水爆実験」示唆、米朝双方からの口撃エスカレート、米爆撃機の北朝鮮領海寸前までの飛行、25日の北朝鮮外相による「宣戦布告」の受け止めという流れは、新たな北朝鮮側の軍事挑発と情勢悪化を意識せざるを得なくしている。

日本は安部政権が解散総選挙へ走り、株式市場は解散効果期待で上昇するなど、楽観的な週明けのスタートであったが、25日夜の米国市場はそのような楽観的な心理を冷やすものとなった印象だ。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、25日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。先行スパンは112円台序盤にあるため、112円台回復から先行スパン突破へと上昇できないうちは一段安余地が残る。26日未明安値を割り込む場合は111円試し、あるいは110円台後半への下落も警戒される。

60分足の相対力指数は25日深夜の急落で30ポイントを一時的に割り込んだ。指数自身は22日の安値を割り込んでおり、強気逆行型にはなっていないので、40ポイント台を抵抗としてまだ一段安の可能性が残るという印象だ。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、21日高値を当面のピークとして安値を形成する時間帯と思われる。今回の安値形成期は21日未明安値を基準として26日朝から28日朝にかけての間と想定されるので、25日午前高値超えからは強気サイクル入りの可能性が高まるが、そこまで戻せないうちは26日夜、27日朝にかけての一段安余地が残る状況と思われる。

以上を踏まえて、26日の日中から27日へのポイントを示す。
(1)112.25円を上回れないうちは反落警戒とし、26日未明安値111.47円割れからは111.00円試し、さらに110.70円台への下落余地ありとみる。また111.50円以下での推移が続くうちは21日高値で戻り一巡となり、北朝鮮情勢次第では再び下落基調に転じる可能性も警戒しておく。
(2)112.25円超えの場合は9月25日午前高値112.52円試しとし、高値更新の場合は上昇再開の可能性を優先し、22日高値112.71円超えからは113円台序盤への上昇を想定する。113円乗せへは北朝鮮情勢に対する市場の楽観ムード回復が必要と思われる。(了)<9:20執筆>

【当面の主な予定】

9月26日
21:00 (欧) プラートECB理事講演
22:00 (米) 7月S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比 (6月 +5.7%、予想 +5.7%) 
22:30 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁講演
23:00 (米) 8月新築住宅販売件数 (7月 57.1万件、予想 59.0万件)
23:00 (米) 9月消費者信頼感指数
23:00 (米) 9月リッチモンド連銀製造業指数 (8月 14、予想 13)
23:30 (米) ブレイナードFRB理事講演

9月27日
01:30 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁講演
01:45 (米) イエレンFRB議長講演
21:30 (米) 8月耐久財受注 前月比 (7月 -6.8%、予想 +1.0%) 
23:00 (米) 8月中古住宅販売保留件数指数 前月比 (7月 -0.8%、予想 -0.5%)

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