ドル円見通し 6/12安値を更新、売り余地続く(8/10)

朝鮮半島有事問題について、仮に米国が軍事攻撃に踏み切れば北朝鮮の反撃により甚大な被害が出ると予想されるため、非現実的であると考えられている。

ドル円見通し 6/12安値を更新、売り余地続く(8/10)

ドル円見通し 6/12安値を更新、売り余地続く

8月4日の米雇用統計が予想を超える良好さだったことで米連銀のハト派的=利上げを急がない姿勢がややタカ派へ変化するのではないかと市場が受け止めたために4日夜に急反発した。いったんは目先の材料消化で上げ渋り、ポジション整理的に8日夜へ下げたが、8日夜の米求人統計が統計開始以来の最高記録を更新したために再び反騰して4日深夜高値へ迫った。
ところが8日深夜のワシントンポスト紙報道=北朝鮮はICBMへの小型核弾頭搭載が可能と米軍が分析から朝鮮半島有事リスクが急浮上、さらにトランプ大統領が「北朝鮮は脅しを続けるならば火と怒りに見舞われることになる」と述べたことが火に油を注ぐ結果となり、金融市場全般がリスク回避型の行動へと走った。
9日も北朝鮮が「グァム周辺へのミサイル攻撃を検討」と発したことで緊張感はさらに高まり、ドル円は9日21時台に109.559円まで安値を更新した。

【有事の現実性よりも市場テーマとしてのリスクオフ】

朝鮮半島有事問題について、仮に米国が軍事攻撃に踏み切れば北朝鮮の反撃により甚大な被害が出ると予想されるため、非現実的であると考えられている。米空母カールビンソン等が日本海へ展開した時にも緊張が高まったが、その緊張感は長続きしなかった。
しかし、相次ぐ北朝鮮のICBM発射実験成功により、北朝鮮による米国本土への攻撃能力が現実化してきたこと、トランプ大統領が中国の対北朝鮮外交努力を失望として批判、さらに8日の発言、9日には米国の核攻撃能力について言及するなど、空母出動時よりもリスク度合いは高まっているといえる。
それでも現実に軍事衝突となる可能性は低いだろう。しかし、市場はリスクを感じれば投機ポジションを手仕舞い、現金化、あるいは相対的に安全資産とされるものへポジションをシフトする。混乱回避のために株も手放す、という行動へ走る。ないしは走りやすいことを思惑して売りが仕掛けられる。
仮に、朝鮮半島での軍事衝突や惨劇の可能性が現実的であるならば、日本の資産家は円を売ってドルを買い、国内資産を売却して海外へと逃避するだろう。少なくとも家族を非難させるだろう。そうなれば日本株の大暴落となるだろう。

現実はそこまで進んでいない。あくまでも「有事リスクをテーマ」とした相場展開への思惑が主である。しかし、この問題が金融市場にとっての重要テーマとして反応が続くうちはリスクオフ=円高という反応も継続しやすいと思われる。
ティラーソン米国務長官が緊張を和らげる発言をしたことで多少、落ち着きも見られるが、今回の緊張をさらに緩和させる動きが米朝トップから出てこないと市場の喧騒も継続しやすいだろう。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、8月8日昼への下落から先行スパンから転落、いったん戻したが9日への下落で再び転落し、その後も転落状態が継続している。9日夜安値の後は新たな安値更新を回避して横ばいとなっているため、遅行スパンはこのまま110円を超えた状況へジリ高なら好転してくるが、先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒とみる。また有事問題がテーマのため、新たな動きが報道されれば先行スパンとの位置関係も左右されるので、先行スパンを上抜き返した状況を維持し始める場合、緊張がやや緩む場合はひとまず戻りを試しにかかるか、下げ渋り的な持ち合い状況を継続する可能性がある。

60分足の14本相対力指数は9日昼への下落と、8日夜への一段安の間では指数の谷が切り上がっているため小規模の強気逆行となっている可能性がある。40ポイント台を維持するうちは60ポイント前後へと戻す可能性がある。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでみれば、4日午前安値を前回のサイクルボトム、4日深夜高値をサイクルトップとして下落期に入った。今回の安値形成期は9日午前から11日にかけての間であり、4日深夜高値からも3日を経過しているので、9日夜安値でこのサイクルのボトムを付けた可能性がある。110円台を維持してジリ高の場合はその可能性を優先し、10日の日中から11日夜への上昇余地ありとするが、8日深夜安値を割り込む場合は新たな下落期入りとして14日から16日にかけて一段安してゆく可能性が考えられる。

以上を踏まえ、10日の日中から11日朝へのポイントを示す。
(1)8月9日夜安値109.559円割れを回避するうちは戻りを試す可能性ありとし、110円台に定着してジリ高なら110.20円から110.40円台への上昇を想定する。
(2)有事問題が主テーマとなりつつあるので、緊張緩和報道なら110円台後半まで戻してくる可能性があるが、その場合は週末の米消費者物価の動向及び米連銀当局者発言等を意識した展開へ進むとみる。
(3)9日夜安値割れからは新たな下落期入りの可能性を踏まえ、109円から108.50円にかけてのゾーンを試しやすいとみる。109円前後ではいったん買い戻しも入りやすいと思われるが、特に緊張感が拡大する報道から下落の場合は108円台への突込みを想定する。(了)<9:10執筆>

【当面の主な予定】

8月10日
13:30 (日) 6月第3次産業活動指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 +0.2%)
21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 (前週 24.0万件、予想 24.5万件)
21:30 (米) 米7月生産者物価指数 前年比 (6月 +2.0%、予想 +2.3%)
21:30 (米) 米7月生産者物価指数・コア 前年比 (6月 +1.9%、予想 +2.1%)
23:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁記者会見

8月11日
東京市場休場(山の日)
08:30 (豪) ロウRBA総裁、議会証言
21:30 (米) 米7月消費者物価指数 前年比 (6月 +1.6%、予想 +1.8%)
21:30 (米) 米7月消費者物価コア指数・前年比 (6月 +1.7%、予想 +1.7%)
22:40 (米) カプラン米ダラス連銀総裁講演


00:30 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁講演

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