<概況・ポイント>
1日深夜安値109.92円からの反発が2日の昼過ぎへ継続、1日夜高値110.58円を超えたため111円試しへの流れとなった。2日昼過ぎ、110.91円、夜21時台には米ADP民間雇用報告発表直後のドル高により110.98円まで上値を伸ばしたが111円には届かず、2日深夜には110.28円まで下げた。その後はもう一度戻しているが、2日夜高値には届かずにいる。
8月1日の110円割れへと一段安する前は、7月24日と27日の安値で111円割れしたところで切り返し、ダブル底型を形成しかけていた。24日安値110.61円から111.00円にかけてのゾーンが一つ手前の支持帯であり、今度の抵抗帯となっている印象だ。
週末の米雇用統計で強い数字なら、これまでのドル安が崩れてドル高へぶり返す可能性がある。しかし予想の範囲、予想より悪い場合は一段とドル安が加速する可能性がある。それを見極める前段階では、先走った円安ドル高へも進み難いと思われるので、110円台後半から111円にかけては抵抗感も大きいと思われる。
【ADPは良好、地区連銀総裁発言はハト派寄り】
8月2日夜に米ADP民間雇用報告があった。7月の民間部門雇用者数は17万8000人増で市場予想の19万人増を下回った。前月は19万1000人増となり、速報値の15万8000人増から上方修正された。予想を下回りはしたが水準的には良好な数字として、発表後はいったんドル高反応を見せたが、長続きはしなかった。最近はADPと労働省統計とのズレも多々ある。
8月4日の米雇用統計本番では、失業率が前月の4.4%から4.3%へ改善、非農業部門就業者吸うは前月の+22.2万人から+18.0万人へとやや減速すると予想されている。平均時給は前月の+0.2%から+0.3%へと若干の改善が見込まれている。
週末の米雇用統計が予想通りか予想をわずかに上回る場合、2日夜のADP反応のようにいったんはドル高反応を見せる可能性があるが、FOMCのハト派スタンスを変える程のサプライズ的な強さがなければ、2日夜と同様に一時的なドル高反応を消化してドル安を再開するのではないかと思われる。予想よりも悪ければ、12月の利上げ確率は下がると踏んでドル安が加速する可能性がある。
セントルイス連銀ブラード総裁は2日夜のインタビューに答え、「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない。インフレ見通しは2017年に悪化した」と述べた。この発言後にドル売りがみられた。またクリーブランド連銀メスター総裁は「インフレの弱さが続いていることを受けて、インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」との姿勢を示し、これもドル売り要因となった。いずれもハト派的な内容であり、利上げを急ぐ姿勢ではないという受け止め方であった。
2日夜はユーロドルが一段高、1.190ドル台へ乗せた。これは2015年1月6日以来である。2015年3月以降、1.10ドルを中心とした往来相場で推移してきたが、その間の高値である2015年8月の1.1713ドルを突破したことで持ち合い的な底練りレンジから上抜けてきている。
状況的には2000年から2002年1月にかけて1.0ドル以下で持ち合いしつつ底練りし、2002年1月安値からの連騰で持ち合い上放れ、大上昇した時に序盤に近い印象があるが、その時は2004年12月高値まで丸3年間の上昇へ発展した。一方でドル指数は昨年5月底に接近しており、3月からは月足が5本連続陰線で下落、8月も続落なら6か月連続陰線となる勢いだ。
こうしたドル全面安基調の中での雇用統計のため、ドルが年初からの下げ過ぎに対する反騰入りとなるきっかけになる可能性にも注意が要るが、ドル安を加速させるなら、この流れがさらに発展してゆくきっかけになるかもしれない。2015年12月からのドル安は2016年5月まで5か月間で止まったが、その前にさかのぼれば2010年6月7日高値から2011年5月4日底まで11カ月のドル安、2009年3月高値から同年11月安値までは8か月の下落である。またユーロドルが2002年1月から大上昇した時、ドル指数も2002年1月から2005年1月底まで丸3年の長期下落へ向かった。今のドル安はそうしたレベルへと発展する可能性も抱えていると思われる。
【60分足 一目均衡表分析】
7月11日深夜高値と27日未明の戻り高値を結ぶ抵抗線は現在111.00円前後にある。昨晩の高値ではこれを上抜けずにいる。転換線が位置する節目であり、一定の抵抗レベルとなっている。
60分足の一目均衡表では、8月2日昼への上昇で先行スパンから上抜け、2日深夜の反落でいったん転落しかけたが踏み止まり、3日午前は上抜けた状況を維持している。遅行スパンも実線を上回っている。両スパンが好転している内は戻りを試す可能性も継続するが、110.50円割れへ下げれば遅行スパンは悪化し始め、110.40円割れからは先行スパンからの転落となるため、戻り一巡、下げ再開へ向かいやすくなると思われる。
60分足の14本相対力指数は8月2日の昼高値から夜高値への上昇に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行型を示している。このため、50ポイント以上を維持する内は上昇継続余地ありとするが、50ポイント割れを弱気転換注意、40ポイント割れからは下げ再開へ向かいやすくなるとみる。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月24日と27日の安値をダブル底とし、底割れによる弱気サイクル入りとなってきたが、1日深夜安値で底をつけて戻しに入ったと思われる。前回のサイクルトップが27日深夜高値のため、今回の戻り高値形成期は8月1日夜から3日夜にかけての間と想定されるので、3日夜にかけてはまだ上昇余地が残るが、既に2日夜高値で戻り一巡している可能性がある。2日深夜安値110.29円割れ回避の内は上昇余地ありとしつつ、2日深夜安値割れからは新たな下落期入りとして次の底形成期となる4日夜から8日夜にかけての下落へ向かう可能性が考えられる。
以上を踏まえて、2日午後から3日朝にかけてのポイントを示す。
(1)2日深夜安値110.28円割れ回避の内は上昇余地ありとし、2日夜高値110.98円超えの場合は111.20円前後への上昇を想定するが、その後の反落注意とし、111円を超えても維持できずに反落する場合は110.50円割れから弱気転換注意とみる。
(2)110.50円割れを弱気転換注意、2日深夜安値110.29円割れからは新たな下落期入りとし、まず週末の米雇用統計にかけての下落を想定する。当初の下値目処を1日深夜安値109.92円前後とし、底割れなら109.50円前後への下落を想定するが、109.50円以下は突っ込み警戒、反発注意とみる。(了)<10:00執筆>
【当面の主な予定】
8月3日
17:00 (欧) ECB経済報告
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (予想 0.25%に据え置き)
20:00 (英) 英中銀 資産購入枠 (予想 4350億ポンドに据え置き)
21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 (前週 24.4万件)
23:00 (米) 米7月ISM非製造業景況指数 (6月 57.4、予想 56.8)
23:00 (米) 米6月製造業受注指数
8月4日
21:30 (米) 米7月非農業部門雇用者数 (6月 +22.2万人、予想 +18.3万人)
21:30 (米) 米7月失業率 (6月 4.4%、予想 4.3%)
21:30 (米) 米7月平均時給 前月比 (6月 +0.2%、予想 +0.3%)
21:30 (米) 米6月貿易収支 (5月 -465億ドル、予想 -455億ドル)
オーダー/ポジション状況
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