ドル円見通し 米雇用統計前水準へ、上昇一服(6/21)

5月19日のNY連銀総裁講演からFRB当局者の講演、発言が続いているが、今のところはFOMCからのドル高基調を崩すような内容はなく、

ドル円見通し 米雇用統計前水準へ、上昇一服(6/21)

<概況・ポイント>

6月15日未明のFOMCをきっかけとしたドル高基調が継続し、週明けも続伸、20日は111.78円まで高値を更新した。6月2日の米雇用統計が予想より悪かったとして下落する前の高値が111.71円であり、この水準まで戻したが、更に112円超えへと一段高するには時期尚早、連騰に対する高値警戒感も出やすい状況となり、20日夜からは111.50円割れへと調整的に下げている印象だ。
この調整を短期に終了して112円超えへと一段高する場合、上昇のスケールアップとなり、今年3月10日高値115.50円と5月11日高値114.36円を結ぶ抵抗線が来る112円台後半から113.50円にかけてのゾーンまで上値目処が切り上がってくる可能性がある。しかし、前回雇用統計水準まで戻したところの現状で戻り一杯となる場合、5月17日に1日で2円以上の急落となった日足大陰線による下落分を解消しているわけではないため、110.50円割れから下げ再開、6月15日未明安値へと揺れ返しの下落となる可能性も残っている。

【ドル高感というよりもポンド安、ユーロ安、資源通貨安への懸念】

5月19日のNY連銀総裁講演からFRB当局者の講演、発言が続いているが、今のところはFOMCからのドル高基調を崩すような内容はなく、全般的なドル高感は継続している。
20日には英中銀総裁がブレクジットの影響を踏まえて金融緩和政策を継続する姿勢を示したことで英ポンドが急落、6月9日安値を割り込んで一段安となっている。5月18日高値からの下落基調が一段と進む可能性を示しており、ポンド安ドル高が継続しやすくなっている。

またNY原油が急落しており、6月20日には安値で42ドル台まで下げている。今年1月3日には55.24ドルまで上昇していたが、2016年1月底からの凡そ1年間の上昇トレンドから転落し、3月、5月、6月と安値が切り下がってきているため、原油安の継続感が強まってきているが、このことは資源通貨への下落圧力を強めるため、これもドル高要因となってくる。

年初からの上昇してきたユーロも6月14日高値から下落、FOMCから続落しており、下落再開感が強まり始めている。これもドル高要因だ。
総じて、英ポンド、ユーロ、資源通貨におけるドル高感はドル円相場にとっては下支え要因でもあるが、クロス円での下落感が勝り始めると円高感が拡大してリスク回避的な円高へと進む可能性もあるため、単純にドル円上昇要因とは言えない点に注意が要る。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、6月20日午後高値からの下落で遅行スパンが悪化してきた(実線を割り込む)。先行スパンの上限まで下げており、このまま進むと先行スパンに潜りこむ、あるいは111.19円割れから先行スパン転落へと進みやすい状況にある。遅行スパン悪化中は安値試しを優先、遅行スパンが再び好転するところからは上昇再開の可能性を考える。先行スパンから転落ならその後に先行スパンを上抜き返すまでは安値試しが継続する可能性に注意する。

60分足の14本相対力指数は16日高値形成時と20日高値形成時との間では指数の弱気逆行(相場が高値を更新したのに指数が高値を切り下げる)が見られる。21日午前では50ポイントラインを割り込んでおり、下方への意識が出ている。

概ね3日から5日周期での高値・安値形成サイクルでは、15日未明安値を直近の底として上昇してきたが、上昇も4日を経過しているため、20日午後高値でサイクルの高値をつけ、調整期に入っていると思われる。今回の安値形成期は21日の日中から22日未明にかけての間と想定されるが、15日未明安値からの反騰においてはFOMCというイベントによりサイクルの短縮が発生しているので、今回の安値形成期が16日夜安値を基準として21日夜から23日夜にかけての間まで延長される可能性も考えられる。

以上を踏まえると、
(1)111.50円を上抜き返せないか、一時的に上抜いても維持できずに失速する場合は、111.19円割れから先行スパン転落となるため、111.00円から110.64円(16日安値)にかけてのゾーンを試す下落へ進みやすいとみる。またその場合111.20円以下の推移中は22日にかけて続落する可能性ありと注意する。
(2)111.50円を超え、維持し始める場合は上昇再開の可能性を踏まえて20日午後高値試しとし、高値更新できない内は反落注意とするが、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして112円台前半を目指す上昇局面入りを想定する。その場合の高値形成期は23日から27日にかけての間と想定する。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

6月21日
(日) 15:36 黒田日銀総裁、全国信用金庫大会であいさつ
(米) 23:00 米5月中古住宅販売件数

6月22日
(NZ) 6:00 RBNZオフィシャル・キャッシュレート発表
(欧) EU首脳会議(於;ブリュッセル、-23日)
(日) 10:30 岩田日銀副総裁、講演
(米) 21:30 米新規失業保険申請件数
(米) 23:00 パウエルFRB理事、上院銀行委員会公聴会で証言

(米) 23:00 米5月景気先行指数

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