<概況>
11日夜のトランプ大統領ツイートにより朝鮮半島有事リスクが高まったとして金融市場全般がリスク回避行動をとり、ドル円は3月後半から何度か回避してきた110円割れに至り、12日午前には109.30円台まで続落した。その後は急落一服となり、109.50円を挟んだ持合いで推移していたが、13日早朝、ウォールストリートジャーナル紙によるトランプ大統領インタビューにおけるドル高けん制発言を受けて急落、109円を割り込んできた。また英ポンド、ユーロも対ドルで上昇、ドルは全面安となっている。13日東京市場入り、ドル円は108.80円へ一段安した。
【トランプ大統領のドル高けん制】
トランプ米大統領は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューに答え、(1)「ドルは強くなりすぎている」「ドル高により米国の経済成長を害し、通貨安誘導をしている国などとの競争が困難になる」と述べた。
(2)北朝鮮情勢および最近の動向を踏まえ、中国の為替操作国認定は見送る方針とした。
(3)米FRBの低金利政策については「好ましい」とし、イエレン議長については「尊敬している」と述べたが、議長の再選については「決めていない」とした。※イエレン議長の任期は2018年2月まで。
(4)同席したムニューシン米財務長官は(トランプ大統領が)空席の米FRB副議長席および理事を「きわめて近いうちに指名する」と述べた。
トランプ大統領は選挙期間中から米国の貿易赤字問題に絡んでドル高をけん制する発言を行ってきた。特に中国に対しては人民元安を誘導していると批判してきた。イエレン議長に対しても批判的な姿勢を示してきた。
今回のインタビュー発言は従来のドル高けん制姿勢を改めて表明したものであるが、イエレン議長に対する評価が肯定的なものに変わり、低金利政策の現状を支持する姿勢を示したため、市場は新たなドル安材料として反応した。
ドル円については、貿易不均衡解消問題に対するトランプ大統領の強い姿勢が再認識されたためにより一層のドル安円高要因と受け止められ、109円割れを招いた。
北朝鮮問題の緊張感も継続している。米空母カールビンソンが朝鮮半島へ向けて北上中であり、近日中に日本の海上自衛隊と共同訓練(軍事演習)を行うとみられている。新たな緊張拡大となる報道は見られないものの、北朝鮮の出方、中国の対応姿勢、韓国および日本の軍事的な対応等によっては緊張感がさらに増すか、持続的となる可能性がある。
13日未明のインタビュー発言で為替が大きく動いたように、ツイートを含むトランプ発言に金融市場全体が過敏に反応している現状もあるため、今晩も市場は緊張感を継続することとなりそうだ。
【テクニカル分析 60分足 一目均衡表】
3月27日、28日、4月4日、6日、7日と110円割れを回避して来た。しかし11日夜のトランプ大統領ツイートをきっかけとした下落で110円割れ=支持線割れからの一段安となった。このため、12月15日以降の円高ドル安基調が新たな段階に入っている。また朝鮮半島有事リスク、トランプ政権によるドル安誘導姿勢という材料も付いてきている。
60分足の一目均衡表では11日の下落で遅行スパンが悪化(実線を割り込む)、先行スパンから転落した状況が継続している。13日未明に一段安開始となる直前には26本基準線を一時的に上回ったもののすぐに割り込んでいる。このため、109円台序盤にある26本基準線を目先の抵抗とし、遅行スパン悪化中の安値試しが継続する印象だ。
12日午前安値からいったん下げ止まってから一段安しているが、概ね3日から5日周期の短期的な安値形成リズムを踏まえると、週末から週明けにかけて継続しやすい状況と思われる。
3月10日の戻り高値から3月27日までの下落は数えで12日間、凡そ5円の下落であった。今回は31日からの下落であり、現在は数えで10日目に入っている。112円台序盤からの下落の為、3月10日からの下落と同レベルの下落となる場合は週末から週明け早々の安値形成、107円台への下落も警戒される。
26本基準線超え、遅行スパンが好転(実線を上抜く)してくる場合は先行スパン帯を試す上昇を想定するが、109円台前半から110円にかけてが先行スパン帯となるので、大きな抵抗感を伴うと思われる。(了)<9:40執筆>
【今日から明日への主要イベント】
4月13日 (中) 中国3月貿易収支
4月13日 (日) 8:50 3月マネーストックM3
4月13日 (米)21:30 米新規失業保険申請件数
4月13日 (米)21:30 米3月生産者物価指数
4月13日 (米)23:00 4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値
4月14日 (米) 米株式・債券市場休場(グッドフライデー)
4月14日 (米) 21:30 米3月小売売上高、3月消費者物価指数
オーダー/ポジション状況
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