ドル円、一時155円台後半まで上昇するなど堅調な値動き。ウクライナ問題は有事のドル買いで反応(11/21朝)

20日(水)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、一時155円台後半まで上昇するなど堅調な値動き。ウクライナ問題は有事のドル買いで反応(11/21朝)

一時155円台後半まで上昇、堅調な値動き。ウクライナ問題は有事のドル買いで反応

〇ドル円、日銀年内追加利上げ観測の後退、米金利上昇等に米国時間にかけ155.88まで上昇
〇その後、英国製巡航ミサイルのロシア本土への発射報道、米金利低下等に155円台前半に反落
〇ユーロドル、独10月PPIの不冴えや、ウクライナ情勢緊迫化等に一時1.0507まで急落
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、強い買いシグナルも継続、地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも円キャリー活発化期待、トランプトレード本格化期待等がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日、植田総裁講演、米重要指標発表、FRB関係者発言予定され、終日ボラタイルな展開か
〇本日の予想レンジ:154.00ー156.00

海外時間のレビュー

20日(水)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値154.53まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)5・10日要因のドル買い・円売りや、(2)日銀による年内追加利上げ観測の後退、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(4)上記2、3を背景とした円キャリートレードの活発化期待が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値155.88まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(5)一部メディアによる「ウクライナがロシア領内に向けて英国製巡航ミサイル・ストームシャドウを発射した」との観測報道や、(6)上記5を背景とした地政学的リスク、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/21午前2時30分現在)では、155.20前後で推移しております。尚、昨日はクックFRB理事より「インフレ進行が鈍化し雇用市場が堅調な場合は利下げ一時停止のシナリオが考えられる」との発言が見られた他、ボウマンFRB理事からも「さらなる利下げには慎重な姿勢を要請」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。

20日(水)のユーロドル相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0610まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ドイツ10月生産者物価指数(結果▲1.1%、予想▲1.0%)の市場予想を下回る結果や、(2)ユーロ圏9月建設支出(結果▲1.6%、前回▲2.5%)の冴えない結果、(3)一部メディアによる「ウクライナがロシア領内に向けて英国製巡航ミサイル・ストームシャドウを発射した」との観測報道、(4)上記3を背景とした地政学的リスクが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0507まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/21午前2時30分現在)では、1.0528前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏第3四半期妥結賃金(結果+5.42%、前回+3.54%)は前期比で伸び率が加速する結果となりましたが、ユーロ買いでの反応は限られました。

本日の見通し

ドル円は一時155.88まで上昇するなど、力強い動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側に位置していることや、強い買いシグナルを示唆する「短期線と中長期線のゴールデンクロス」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの活発化期待(年内追加利上げ観測が後退しつつある日本と、年内利下げ見送り観測が強まりつつある米国)や、共和党のトリプルレッド成立に伴うトランプ・トレードの本格化期待(インフレリスク再燃→米金利上昇・米ドル買い)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクが警戒されるものの、足元の環境下では、リスク回避の円買い以上に、有事のドル買いが強まる可能性が高いため、ドル円の下値余地は乏しいと考えられます。また、政府・日銀による為替介入についても、7/3に記録した直近高値161.99を超えてくるまでは実弾介入に踏み切る可能性は低いと見られることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

尚、本日は植田日銀総裁発言(※基本的には今週初同様、無風通過が見込まれているものの、一部では円安牽制を目的に踏み込んだ発言を行うのではとの警戒感も出てきているため、念のため留意が必要)に加えて、米主要経済指標(米11月フィラデルフィア連銀景況指数、米新規失業保険申請件数、米10月景気先行指数、米10月中古住宅販売件数、米11月カンザスシティ連銀製造業活動指数)の発表や、米当局者発言(クリーブランド連銀ハマック総裁、シカゴ連銀グールズビー総裁)も予定されているため、1日を通して、ボラタイルな相場展開に警戒が必要でしょう。

本日の予想レンジ:154.00ー156.00

一時155円台後半まで上昇、堅調な値動き。ウクライナ問題は有事のドル買いで反応

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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