急ピッチな上昇の反動で大幅下落。トランプ・ラリーはひとまず終焉
〇ドル円、米国時間に152円台後半に反落
〇急ピッチな上昇への反動、「トランプトレード」一服、FRBの0.25%利下げ実施等が背景
〇ユーロドル、米金利低下、欧州株堅調等に1.08台を回復
〇米大統領選でのトランプ氏勝利に端を発したトランプ・ラリーはひとまず終焉
〇一方でテクニカルの地合いは維持されており、昨日の下落は一時的なポジション調整の可能性も
〇ファンダメンタルズも円キャリートレード、トランプトレードの再開期待がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:152.25ー153.75
海外時間のレビュー
7日(木)のドル円相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値154.72(7/30以来の高値圏)まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(2)三村財務官による「為替相場について行きすぎた動きに対しては適切な対応をとる」「投機的な動向含め極めて高い緊張感を持って注視する」との円安牽制発言、(3)トランプ・トレードの巻き戻し(米金利低下・米ドル売り)、(4)米FOMCでの25bpの利下げ実施(パウエルFRB議長は会合後の記者会見で「FRBはより中立的な姿勢への道を歩んでいる」「12月の会合ではデータと見通しを注視する」「大統領選の結果は金融政策に何ら影響しない」と発言)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値152.70まで下落しました(この間に発表された米新規失業保険申請件数、米7ー9月期単位労働コスト速報値、米9月卸売売上高はいずれも良好な結果となりましたが、ドル買いでの反応は限定的)。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/8午前6時30分現在)では、152.90前後で推移しております。
7日(木)のユーロドル相場は大幅上昇。(1)ドイツの連立政権崩壊に端を発した政局不透明感の高まり(ドイツのショルツ首相が自由民主党のリントナー財務相を解任→3党による連立政権崩壊)が重石となる中、アジア時間朝方にかけて、安値1.0713まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)急ピッチな下落に対する反動買いや、(3)トランプ・トレードの巻き戻し(米金利低下・米ドル売り)、(4)ユーロ圏9月小売売上高(結果+2.9%、予想+1.3%)の市場予想を上回る結果、(5)欧州株の堅調推移が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値1.0825まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/8午前6時30分現在)では、1.0800前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円はアジア時間朝方に記録した高値154.72(7/30以来の高値圏)をトップに反落に転じると、米国時間午後にかけて、一時152.70まで急落しました(米大統領選でのトランプ氏勝利に端を発したトランプ・ラリーがひとまず終焉)。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「21日線と90日線のゴールデンクロス」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること、数日以内に「21日線と200日線のゴールデンクロス」成立が見込まれていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(昨日の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの継続期待(米FRBによる過度な利下げ期待の後退と、日銀による過度な利上げ期待の後退の組み合わせ)や、トランプ・トレードの再開期待(財政出動+規制緩和+大幅減税の組み合わせでインフレ再燃→米株高・米金利上昇・米ドル買い)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。政府・日銀による介入警戒感が都度上値を抑えるリスクがあるものの、足元の状況下で単独介入に踏み切ることは容易では無いと考えられることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続(売り一巡後の持ち直し)をメインシナリオとして予想いたします。
尚、本日は米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値やボウマンFRB理事講演が予定されているものの、今週は米大統領選や米FOMCなど重要イベント続きで市場参加者が疲弊していることから(イベント疲れで休息モードに入りつつあることから)、1日を通して静かな動きとなりそうです。
本日の予想レンジ:152.25ー153.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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