東京市場のドルは141円台突入も、植田日銀総裁会見後は円全面安の展開に
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、15時30分から実施される植田和男日銀総裁の記者会見に対する警戒感が意識されて、じりじりとドル安円高が進行。141円台に入る場面も見られた。
昨晩の海外時間では、米先週分新規失業保険申請件数が前回から予想以上に減少し労働市場の減速懸念が後退。さらに、9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数も予想以上に上昇したため景気悪化への悲観的見方が後退し、金利上昇に伴うドル買いが優勢となった。その後、米8月中古住宅販売件数が予想以上に7月から減少したため、ドル買いが後退。142円台半ばで推移した。
東京時間では、日銀金融政策決定会合の結果は「金利据え置き」と市場予想通りだったものの、15時30分からの植田和男日銀総裁の記者会見への警戒感が先行したことでじりじりとドル安円高が進行した。日本市場で日経平均が引き続き強かったものの、影響は限定的。なお、朝方発表された8月消費者物価指数は前年比+3.0%と市場予想の同+3.1%を下回ったが前月の同+2.8%を上回った。コアは同+2.8%と市場予想と同じ結果となった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:142円66銭
高値:142円93銭
安値:141円97銭
終値:142円30銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:159円22銭
高値:159円50銭
安値:158円53銭
終値:158円85銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値: 97円16銭
高値: 97円32銭
安値: 96円72銭
終値: 96円97銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:189円44銭
高値:189円81銭
安値:188円73銭
終値:189円16銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:37714円07銭
高値:37974円72銭
安値:37654円11銭
終値:37723円91銭(前日比+568円58銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
24時00分、欧、ラガルドECB総裁がIMF専務理事と対談
27時00分、米、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁が講演
※予定は変更することがございます。
【今晩の海外時間の見通し】
本日の海外時間は、植田日銀総裁の記者会見を受けた円安推移を見極める展開となりそうだ。ドルインデックスは記者会見中、100.4水準と小幅な上昇に留まっており、円が主要通貨に対して下落しており全面安の地合いとなっている。
記者会見での植田日銀総裁の主だった発言は下記の通り。
「金融資本市場、引き続き不安定な状況にある」
「円安に伴う輸入物価の上振れリスクは相応に減少」
「物価目標実現には整合的に賃金の上昇が必要」
「内外の市場動向だけではなく、海外経済の状況を丁寧に確認」
「来年の春闘でもしっかりした賃上げが続くと期待」
「追加利上げ、特定のタイムラインやスケジュール感など予断持っていない」
「米国はじめとした海外経済の不透明感が市場変動の背景にある」
「国内経済は、我々の見通し通り足元動いている」
「米経済動向が我々の見通しに対する影響も確認していく」
「データがオントラックであれば利上げということに変わりない」
「7月利上げに際して、市場とのコミュニケーションに対する批判は認識している」
「8月の株安、消費・設備投資・金融システムへの影響は小さい」
「足元の消費者物価、少し前にみていたよりも強めとみている」
「サービス価格、引き続き賃金上昇を転嫁する動きみられる」
「消費の今後の姿に強い関心」
「為替変動の物価への影響、10月展望レポートでまずはまとめる」
「今後のコミュニケーションに関して、必要であればボードメンバー含め丁寧な発信を行う」
記者会見スタート時、141円70銭台までドルは下落したが、会見終了時点では143円50銭台とドル高円安に振れた。慎重なモノ言いは変わらないが、7月会見と比べると、記者の質問に対して紋切り型の回答ではなく、説明を含めて丁寧に回答を行った印象だ。前回話題となった「0.5%の壁」に関する突っ込んだ質問が記者から無かったこともあり、75分ほどの記者会見は終始落ち着いた会見となった。年内の利上げに関する明言はなく、「データ次第だが米国経済など不透明要因が多い」という説明を繰り返し行っていた。
今晩の海外時間は、植田日銀総裁の記者会見後の円全面安の流れが続くか注目となろう。19日の143円95銭を上回ると買戻し等も増える可能性がある。上値メドは144円50銭、下値メドは142円50銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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