140円割れから反発しているが、右肩下がりの下落基調続く
〇昨日のドル円、一時139.57へ下落後、未明に140.90まで切り返し、9/17午前は141円を超える
〇9/16夜のNY連銀製造業景況指数大幅改善が材料に
〇7/3からの下落は二段目入りで長期化も懸念
〇米長期債利回りは昨年10月以降の最低を更新、NYダウは史上最高値更新
〇FOMC、日銀会合における追加利上げ姿勢の程度を見定め、年末にかけての方向性探る週となるか
〇140.40を上回るうちは上昇余地ありとし、141.25超えからは141円台中盤への上昇余地あり
〇140.40割れからは下落再開を疑い、139.57割れからは139円、138.70円台を順次試す下落を想定
【概況】
ドル円は9月6日の米8月雇用統計後の乱高下で143.89円へ上昇してから141.76円へ下落する乱高下となり、11日未明にかけては6日の高安レンジ内に留まり143円を挟んだ持ち合いで推移していたが、日銀の中川審議委員が追加利上げ姿勢を示したことで11日午後安値140.71円へ一段安し、11日夜の米CPI発表を通過して12日夕に143.03円まで持ち直したものの、12日夜の米8月PPIの低下や新規失業保険申請件数の3週ぶり悪化等によるドル安感から下落を再開し、米WSJ紙や英FT紙がFOMCで0.50%利下げがあり得ると報じてダドリー元NY連銀総裁も0.50%利下げの強い根拠があると述べたことをきっかけに13日深夜安値140.27円へ一段安した。
9月16日は日本市場休場の中で一時139.57円へ下落し、140円割れに対する突っ込み警戒感から買い戻されて16日夜の9月NY連銀製造業景況指数が前月のマイナス4.7からプラス11.5(市場予想はマイナス4.0)へ大幅に改善したことで17日未明に140.90円まで切り返し、17日午前には141円を超えた。
9月19日早朝FOMC政策金利発表前で目先は9月3日以降の大幅下落に対する修正で戻す可能性もあるが、大幅利下げ期待を先取りして一段安へ進む可能性も警戒される。FOMCと週末の日銀金融政策決定会合における追加利上げ姿勢がどの程度かを見定めて年末にかけての方向性を探る週となりそうだ。
【7月3日からの下落は二段目入りで長期化も懸念】
ドル円は9月11日安値140.71円で8月5日安値141.69円を割り込み7月3日高値161.94円以降の安値を更新して13日安値140.27円へ続落したため、7月3日からの下落は8月5日までを一段目とし、8月15日の戻り高値を起点として二段目に入った。
7月11日と12日の政府・日銀による市場介入、米6月CPIの大幅鈍化に加え、7月31日に日銀が追加利上げを決定して8月2日の米7月雇用統計悪化をきっかけに世界連鎖株安が発生したことで8月5日にかけて急落商状に陥り、8月15日高値149.38円まで上昇幅7.69円の戻りを入れたものの、8月21日の米労働省による雇用統計年次修正で就業者増加数が大幅下方修正されたことで下落再開となり、8月26日安値143.45円から9月3日高値147.20円まで小反発後に一段安したため、8月15日からの下落も三段下げ型の二段目に入っている。
7月3日を起点とした中期的な下落の二段目であり、その二段目の下落パターンも三段下げ型に発展しつつある状況であり、8月15日高値から9月3日高値へ戻り高値を切り下げてから一段安しているため、仮にFOMC後にいったん戻しても9月3日高値を超えなければ右肩下がり基調の継続となり戻り一巡後の下落で8月15日を起点とした下落は三段目に入ることとなる。
FOMC後に急落商状に陥る場合はいったん目先のドル売りイベント通過で一段安してから買い戻されても、週末の日銀金融政策決定会合がタカ派的ならば円高再開によりさらに一段安へ進むケースもありえるため、当面は直前安値から2円ないし3円規模の反発が入ったところで戻り売りにつかまり戻した幅の倍返しで次の安値へ向かうというイメージなるのではないかと考える。
【米長期債利回りは昨年10月以降の最低を更新、NYダウは史上最高値更新】
9月16日の米長期債利回りは大幅利下げ期待を背景に総じて低下した。米国の9月0.50%利下げに対する市場の期待度は先週に一時1割台まで低下していたものの16日時点では6割を超えてきている。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.04%低下の3.62%となり、11日につけた3.60%を割り込まなかったものの日足終値としては2023年10月につけた5.02%以降の最低を更新した。
30年債利回りは先週末比0.05%低下の3.93%となり、9月11日につけた3.92%を割り込まなかったものの10年債同様に日足終値ベースでは昨年10月につけた5.18%以降の最低を更新した。
2年債利回りは先週末比0.02%低下の3.56%となり13日の前日比0.06%低下から続落して一時3.53%をつけて昨年10月19日に付けた5.26%以降の最低を更新し、日足終値ベースでもこの間の最低とした。
一方で大幅利下げ期待を背景にNYダウは先週末比228.30ドル高と上昇して史上最高値を更新、4営業日続伸としたが、ナスダック総合指数はアップルの販売不振への懸念から先週末比91.85ポイント安と下落して6日ぶりの反落となり、S&P500指数は7.07ポイント高と小幅ながら9日から6連騰とした。FOMCの結果次第では主要株価指数の一段高も失望売りによる急落もあり得るところだ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は9月16日夕に139.57円まで安値を切り下げてから141円に迫る反騰を見せているため、目先は16日夕安値を起点として戻りを試す局面と思われる。目先の高値形成期は17日の日中から19日夕にかけての間と想定されるが、今夜の米経済指標等によっては早々に下落再開となる可能性もあるため、140.40円割れからは弱気転換注意として16日夕安値試しとし、16日夕安値を割り込む場合は19日午後から23日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9月16日夕安値からの反発で遅行スパンが好転して先行スパンに潜り込み始めているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れからは下落再開を警戒し、遅行スパン悪化からは下落継続とみて安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は9月13日夜から16日夕への一段安に際して指数のボトムがほぼフラットとなる強気逆行を見せて60ポイントまで戻しているため、50ポイントを上回るか一時的に割り込んでも回復する内は70ポイントを目指す上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落再開として30ポイント割れを試す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、140.40円を下値支持線、141.25円を上値抵抗線とする。
(2)140.40円を上回るうちは上昇余地ありとし、141.25円超えからは141円台中盤(141.35円から141.65円)への上昇余地ありとする。141.50円以上は反落警戒とするが140.70円を上回っての推移なら18日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)140.40円割れからは下落再開を疑い、16日夕安値139.57円割れからは139円、138.70円台を順次試す下落を想定する。139円以下は買われやすいとみるが、140円以下での推移なら18日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
9/17(火)
休場、中国、台湾、韓国、パキスタン、スリランカ
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
13:30 (日) 7月 第三次産業活動指数 前月比 (6月 -1.3%、予想 0.9%)
18:00 (独) 9月 ZEW景況感 (8月 19.2、予想 17.0)
18:00 (欧) 9月 ZEW景況感 (8月 17.9)
21:30 (米) 8月 小売売上高 前月比 (7月 1.0%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 0.4%、予想 0.2%)
22:15 (米) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.6%、予想 0.2%)
22:15 (米) 8月 設備稼働率 (7月 77.8%、予想 77.9%)
23:00 (米) 7月 企業在庫 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
23:00 (米) 9月 NAHB住宅市場指数 (8月 39、予想 40)
26:00 (米) 財務省20年債入札
9/18(水)
休場、香港、韓国
07:45 (NZ) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -43.59億NZドル、予想 -39.43億NZドル)
08:50 (日) 7月 機械受注 前月比 (6月 2.1%、予想 0.7%)
08:50 (日) 7月 機械受注 前年同月比 (6月 -1.7%、予想 2.5%)
08:50 (日) 8月 通関貿易収支・季調前 (7月 -6218億円、予想 -1兆4562億円)
08:50 (日) 8月 通関貿易収支・季調済 (7月 -7552億円、予想 -9760億円)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 -0.2%、予想 0.3%)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 2.2%、予想 2.2%)
15:00 (英) 8月 コアCPI・食品エネルギー除く 前年同月比 (7月 3.3%、予想 3.5%)
15:00 (英) 8月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (7月 3.6%、予想 3.4%)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前月比 (6月 1.7%)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前年同月比 (6月 1.0%)
18:00 (欧) 8月 HICP(調和消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 2.2%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 8月 コアHICP(食品エネルギー除く)改定値 前年同月比 (速報 2.8%、予想 2.8%)
21:30 (米) 8月 住宅着工件数・年率換算 (7月 123.8万件、予想 131.0万件)
21:30 (米) 8月 住宅着工件数 前月比 (7月 -6.8%、予想 5.8%)
21:30 (米) 8月 住宅着工許可件数・年率換算 (7月 139.6万件、予想 141.0万件)
21:30 (米) 8月 住宅着工許可件数 前月比 (7月 -4.0%、予想 1.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.00-5.25%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、会見
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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