米雇用統計後の乱高下レンジで揉み合い続くが戻り高値は切り下がり
〇昨日のドル円、日銀中川委員の利上げ支持姿勢、米長期債利回り低下等により140.71へ急落
〇米CPIを受け142.52へ上昇、141.24までいったん下げるも142円台前半へ持ち直す
〇米8月CPI、全体は顕著に鈍化するもコア指数は横ばい
〇9月FOMCは0.50%の大幅利下げにはならないとして、市場はドル高優勢の反応
〇米長期債利回りは低下後に反騰、NYダウは大幅下落後にプラス圏へ戻す
〇141.50を上回るうちは上昇余地ありとし、142.52超えからは143円前後への上昇を想定
〇141.50割れからは9/11午後安値140.71試しとする
【概況】
ドル円は9月11日午前に中川日銀審議委員の追加利上げ支持姿勢をきっかけとした円買いドル売りの流れに加え、米長期債利回りが時間外取引で低下したことや、日経平均株価が一時900円安を超えて前日比539.39円安と大幅下落したことによる株安円高の連鎖によりストップロス売りを誘って14時台に140.71円へ急落して8月5日安値141.69円を割り込み7月3日高値161.94円以降の安値を更新した。
その後は141円割れに対する突っ込み警戒感から戻しに入り、11日夜の米8月CPI発表後に乱高下となり142.52円へ上昇してから深夜安値141.24円までいったん下げたものの141円割れを回避して12日早朝に142円台前半へ持ち直した。
中川審議委員は金融経済懇談会において「見通しが実現していけば緩和度合いを調整していく」「国内経済は緩やかに回復していると評価」などと述べたが、追加利上げに前向き姿勢と受け止められた。
【米8月CPI、全体は顕著に鈍化するもコア指数は横ばい】
米労働省が発表した8月消費者物価指数(CPI)上昇率は全体の前月比が7月及び市場予想と同じ0.2%だったが、前年同月比は2.5%となり7月の2.9%から大幅に低下して市場予想の2.6%も下回った。一方でコア指数は前月比で0.3%となり7月の0.2%及び市場予想の0.2%を上回り、前年同月比は3.2%で7月と変わらず予想と一致した。
全体の前年同月比は5カ月連続の低下となり2021年2月以来3年半ぶりの低水準となったため、9月17/18日の米FOMCにおける利下げ開始は確実とみられるものの、コア指数の下げ渋りにより0.50%の大幅利下げにはならないとして為替市場はドル高優勢の反応となりユーロドルが8月26日以降の最安値を更新し、ポンドドルが8月27日以降の最安値を更新した。
【米長期債利回りは低下後に反騰、NYダウは大幅下落後にプラス圏へ戻す】
9月11日の米長期債利回りはCPI発表前に低下し、発表後に乱高下したものの総じて上昇に終わった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の3.66%となった。一時は3.60%まで低下して2023年10月のピークである5.02%以降の最低を更新したが、米CPI発表後に一時3.65%まで戻してから再び低下する乱高下となり終値では若干の上昇とした。
30年債利回りは前日比0.01%上昇の3.97%となった。一時3.93%へ低下して昨年12月の3.94%を割り込み昨年10月のピークである5.18%以降の最低としてから乱高下してプラス圏に戻した。
2年債利回りは前日比0.05%上昇の3.65%となった。一時3.55%をつけて昨年10月19日に付けた5.26%以降の最低を更新してから持ち直したが、前日の低下幅解消には至らなかった。
一方でNYダウは大幅利下げ期待が後退したとして一時740ドル安を超える大幅下落で1か月振りに4万ドルを割り込んだが、利下げ開始は変わらないとして買い戻され前日比124.75ドル高とプラス圏へ戻した。ナスダック総合指数は前日比369.65ポイント高と大幅上昇し、S&P500指数も58.61ポイント高と上昇した。
米国株高が継続して日経平均を押し上げ、米長期債利回り低下が一服すればドル円も戻しやすくなるものの、日米金融政策姿勢の差と米長期債利回りの低下基調を踏まえれば円高圧力がかかりやすい状況が続くと思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は9月11日午後に8月5日安値を割り込んで7月3日以降の最安値としたところから2円近くを戻したため、11日午後安値を目先の底として戻りを試す局面と思われる。目先の高値形成期は11日夜高値を含めて13日夜ないし16日夜にかけての間と想定されるが、141.50円割れからは下落再開を疑い、11日午後安値割れからは新たな下落期入りとして16日の日中から18日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9月11日午後からの反騰で遅行スパンが好転しつつあるが先行スパンを上抜けずにいる。遅行スパン好転からは高値試し優先とし、先行スパン突破からは上昇が勢い付く可能性があるとみるが、先行スパンからの転落状況が続く内は反落開始を警戒し、遅行スパンが好転した後に再び悪化するところからは下落再開とみる。
60分足の相対力指数は9月11日午後に20ポイント台へ低下してから50ポイント台へ戻したため、45ポイントを上回るうちは上昇余地ありとして60ポイント台を試すとみるが、45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.50円を下値支持線、9月11日夜高値142.52円を上値抵抗線とする。
(2)141.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、142.52円超えからは143円前後への上昇を想定する。143円以上は反落注意とするが、141.50円を上回っての推移なら13日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)141.50円割れからは11日午後安値140.71円試しとし、底割れからは140円割れを目指す下落を想定する。140円前後は買われやすいとみるが下げ足が速まる場合は139円台中盤へ下値目途を引き下げる。
【当面の予定】
9/12(木)
10:00 (日) 田村日銀審議委員、岡山で講演、14時半から会見
21:15 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 4.25%、予想 3.65%)
21:30 (米) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 0.1%、予想 0.1%)
21:30 (米) 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 2.2%、予想 1.8%)
21:30 (米) 8月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前月比 (7月 0.0%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (7月 2.4%、予想 2.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 183.8万人、予想 185.0万人)
21:45 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、記者会見
27:00 (米) 8月 月次財政収支 (7月 -2437億ドル、予想 3173億ドル)
9/13(金)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 2.8%)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 2.7%)
13:30 (日) 7月 設備稼働率 前月比 (6月 -3.1%)
18:00 (欧) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -0.1%、予想 -0.4%)
18:00 (欧) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 -3.9%、予想 -2.7%)
21:30 (米) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 0.1%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 8月 輸出物価指数 前月比 (7月 0.7%、予想 -0.2%)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (8月 67.9、予想 68.0)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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