米雇用統計後の乱高下レンジで揉み合い、戻り高値は切り下がり
〇昨日のドル円、143円を挟んで若干右肩下がりの持ち合い続く
〇9/5深夜高値から徐々に戻り高値切り下げ、円高バイアスがかかった状況示す
〇今夜の米CPI、インフレ鈍化顕著なら、9月FOMC大幅利下げ期待で円買いドル売り再加速か
〇米長期債利回りは総じて低下、米国株はまちまち
〇143円以下での推移中は一段安警戒とし、9/6深夜安値割れからは141円前後への下落を想定
〇143円超えから続伸の場合は9/9夜高値143.79から144円手前を試すとみる
【概況】
ドル円は9月6日夜の米雇用統計をきっかけとして乱高下となり、発表直後の141.99円から143.89円へ反騰したものの深夜に141.76円へ一段安となり8月15日高値149.38円以降の安値を更新したが、その後は6日の高安レンジ内に留まっている。
9月5日深夜高値144.21円から6日夜高値143.89円、9日夜高値143.79円、10日夕高値143.70円と徐々に戻り高値は切り下がっており、安値更新には至らずにいるが143円を挟んで若干右肩下がりの持ち合いが続いている。
ユーロドルは10日に1.1014ドルへ下落して8月26日高値1.1201ドル以降の安値を更新し、豪ドルも8月29日以降の安値を更新するなど、ドルストレートでは米雇用統計を通過して過度のドル安感が後退する中でドル高優勢の流れで推移しているものの、ドル円がドル高へ進み切れずに戻り高値を切り下げていることはそれだけ円高バイアスがかかった状況であることを示していると思われる。
日経平均が9月3日から10日まで6営業日続落しており、7月31日の日銀利上げと8月2日の米7月雇用統計悪化をきっかけとした8月5日にかけての世界連鎖株安と急激な円高による暴落幅をほぼ解消したものの4万円台回復には力不足となり失速しているが、ドル円の一段安へ警戒感が日経平均を圧迫している側面もある。
昨夜は主要な米経済指標発表がなかったが、今夜は米8月CPIの発表がある。コア指数の前年同月比は前月と同じ3.2%と見込まれているものの、全体では7月の2.9%から2.6%へ鈍化すると見込まれており、インフレ鈍化が従前より顕著となる場合には9月17/18日開催のFOMCにおける利下げ幅が通常の0.25%ではなく0.50%の大幅利下げとなる期待度も増して円買いドル売りが再加速する可能性があると注意したい。
【米長期債利回りは総じて低下、米国株はまちまち】
9月10日の米長期債利回りは11日夜の米CPI発表を控えて債券買い・利回り低下傾向での推移となった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%低下の3.64%となった。前日からの続落で2023年10月のピークである5.02%以降の最低を更新した。
30年債利回りは前日比0.04%低下の3.96%となり終値ベースで今年4月末以降の最低とした。
2年債利回りは前日比0.07%低下の3.60%となり昨年10月19日に付けた5.26%以降の最低を更新した。
一方で米国主要株価指数はまちまちの動きでNYダウが金融セクターの下落を嫌って前日比92.63ドル安と下げたが、ナスダック総合指数は141.28ポイント高と上昇した。純金利収入の見通しや債券部門の収益悪化見通しで米金融大手JPモルガン・チェースが5.2%安、ゴールドマン・サックスが4.4%安と下げが目立った。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は9月6日の乱高下レンジ内での推移が続いているが、5日深夜高値144.21円から6日夜高値143.89円、9日夜高値143.79円と戻り高値切り下がり基調だったために10日午前時点では142.50円割れからは下落再開とした。
9月11日未明に142円台序盤へ下落した後も142円台前半にとどまっているので9日夜高値を起点に下落期入りしていると仮定して11日夜から12日夜にかけての間への下落を想定するが、6日の高安レンジ内での持ち合い続く可能性もあるので143円超えからは143円台後半試しとする。
60分足の一目均衡表では9月11日未明への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は9月10日夕への上昇で60ポイントを超えたものの9日夜から指数のピークは切り下がり11日未明には30ポイント台前半へ低下しているため持ち合い下放れへ進みやすい状況と思われる。50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント台前半への低下余地ありとし、50ポイント超えから続伸の場合は反騰継続とみて60ポイント台前半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月6日深夜安値141.76円を下値支持線、143.00円を上値抵抗線とする。
(2)143円以下での推移中は一段安警戒とし、6日深夜安値割れからは141円前後への下落を想定する。141円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、米CPI等をきっかけに急落商状の場合は140.0円台後半へ下値目途を引き下げる。
(3)143円超えから続伸の場合は9日夜高値143.79円から144円手前を試すとみる。144円手前は売られやすいと注意するが、米CPIから急伸する場合は144円台序盤へ上値目途を引き上げる。
【当面の予定】
9/11(水)
10:30 (日) 中川日銀審議委員、秋田で講演、14時から会見
15:00 (英) 7月 月次GDP 前月比 (6月 0.0%、予想 0.2%)
15:00 (英) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 0.8%、予想 0.3%)
15:00 (英) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 -1.4%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 7月 貿易収支・商品 (6月 -188.94億ポンド、予想 -181.00億ポンド)
15:00 (英) 7月 貿易収支 (6月 -53.24億ポンド、予想 -51.00億ポンド)
21:30 (米) 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 2.9%、予想 2.6%)
21:30 (米) 8月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (7月 3.2%、予想 3.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
9/12(木)
08:50 (日) 7-9月期 大企業全産業BSI (4‐6月 0.4)
08:50 (日) 7-9月期 大企業製造業BSI (4‐6月 -1.0)
08:50 (日) 8月 国内企業物価指数 前月比 (7月 0.3%、予想 0.0%)
08:50 (日) 8月 国内企業物価指数 前年同月比 (7月 3.0%、予想 2.8%)
10:00 (日) 田村日銀審議委員、岡山で講演、14時半から会見
21:15 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 4.25%、予想 3.65%)
21:30 (米) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 2.2%、予想 1.8%)
21:30 (米) 8月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前月比 (7月 0.0%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (7月 2.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 183.8万人)
21:45 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、記者会見
27:00 (米) 8月 月次財政収支 (7月 -2437億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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