連日で米雇用指標が波乱要因、本日も要注意
〇本日のドル円は143円台後半を中心とした値動き、一時143.05レベルまで下落
〇日銀高田委員が今後も段階的に利上げを進める必要を示し、ドル売り・円買いの一助に
〇テクニカルには、形成していたレンジを底割れしてきた感も、ドル続落に要警戒
〇本日は米8月ADP雇用統計、ISM非製造業総合指数等の発表に注目
〇ドル高・円安方向、東京で超えられなかった144円レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、東京安値143.05レベルをめぐる攻防にまずは注目
〇ドル円予想レンジ:142.80-144.30
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが続落。とくに終盤にかけて下げ幅を拡大させ、1ヵ月ぶりの143円割れが視界内に捉えられていた。
ドル/円は143.70-75円で寄り付いたのち、しばらくは底堅い値動き。143円台後半を中心とした動意が観測されている。しかし、夕方に掛けて下げ足が加速。底割れすると日中安値の143.05円レベルまで一時値を下げた。16時現在では、やや持ち直した143.20-25円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米経済情勢」と「高田発言」について。
前者は、週明けに発表された米経済指標、8月のISM製造業景況指数に含まれる同雇用指数が回復傾向を示し、ドルの支援要因となったが、昨日はそれとまったく逆の動きに。発表された7月のJOLT雇用動態調査が予想を大きく下回る内容で失望を誘うと、ドル売りが加速している。先の弱い米雇用データを受け、一部で報じられていたように「9月に0.5%の利下げ実施」などといった弱気の声が復活していたようだ。なお、そんな米雇用データは本日も発表される見込みだ。引き続き注意を払いたい。
後者は、日銀利上げに関し植田総裁のタカ派発言が目に付くなか、本日東京時間に高田日銀審議委員が金沢市で講演などを行い、それが思惑を呼んでいた。「当面は株式・為替動向を注視し見極めが必要」と金融市場への配慮を見せつつも、「価格転嫁の継続など前向きな企業行動の持続性が確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と述べ、今後も段階的に利上げを進める必要があるとの考えを示していた。先で指摘した、ドル/円が143円割れをうかがうようなドル売り・円買いの一助にも。
<< 欧米市場の見通し >>
明確な方向性がいまひとつ定まらなかったドル/円だが、やはりリスクはドル安方向に高かったようだ。移動平均の21日線を再び「しっかり」と割り込んできたことに続き、本日東京時間には8月26日安値の143.45円も下回ってきた。ちなみに、8月5日安値141.68円を起点としたフィボナッチでは、上げ幅の76.4%戻しが先の143.45円にほぼ合致。それを下回ってきたことで、やや時間はかかるにせよ全戻しも否定できなくなった。ドルの続落には要注意だ。
日米の金融政策が引き続き注視されるなか、目先の本日欧米時間も基本的には発表される米国の雇用関連指標に一喜一憂する展開か。本日も8月のADP雇用統計などが発表されるだけに内容如何では予断を許さない。また、それとは別にイスラエルが「交渉妥結はハマスが拒否」などと非難の応酬が続く中東情勢、不安定さを醸している米大統領選を中心とした日米政治の行方も波乱要因として注意が必要だろう。
テクニカルに見た場合、ドル/円は形成していたレンジを底割れしてきた感がある。実際、本日東京時間には8月26日安値の143.45円を下回り、一時143.05円レベルを示現する局面も。材料的には、週末に注目の米雇用統計発表を控えていることもあり、予断は禁物ながらドルの続落リスクを警戒しておいて損はなさそうだ。ただ、本日東京安値を下回った場合には141.68円まで目立ったサポートがなく、予想以上に速いスピードでドル安が進行する可能性もある。
本日は米経済指標として、8月のADP雇用統計や週間ベースの新規失業保険申請件数、8月のISM非製造業総合指数などが発表される見込み。先で指摘したように、連日発表される米雇用データが相場の波乱要因となっていることから、本日も大いに注意しておきたいところだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは142.80-144.30円。ドル高・円安方向は、東京で超えられなかった144円レベルが最初の抵抗。抜けるとチャート的には145円近くまで戻っても不思議がない。
対するドル安・円高方向は、東京安値の143.05円レベルをめぐる攻防にまずは注目。下回ると目立ったサポートがしばらくないなか、下げ足再加速もあり得る。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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