ドル円見通し 戻り続かず再び143円台、8月16日早朝高値から右肩下がりの展開続く(24/8/28)

ドル円は、27日夕に145.17円まで高値を伸ばしたが、145円到達後の戻り売りから下落に転じて28日早朝には144円を割り込んだ。

ドル円見通し 戻り続かず再び143円台、8月16日早朝高値から右肩下がりの展開続く(24/8/28)

戻り続かず再び143円台、8月16日早朝高値から右肩下がりの展開続く

〇ドル円、8/27夕に145.17まで高値伸ばすも、8/28早朝144円割り込む
〇今週末の米PCE統計次第では、8/5安値141.69割れを試す可能性も
〇米長期債利回りはまちまちの動き、ダウは史上最高値更新
〇利下げ開始見通しによる株高継続感変わらず、世界連鎖株安をV字反騰で先高期待増している印象
〇144.30から144.75にかけては戻り売りに捕まり易い、144.75超えからは8/27高値145.17試す上昇想定
〇8/27高値手前からの反落により、ダブルトップ形成として下落に転じやすい
〇144.50以下での推移中は下向き、143.45割れからは143.00、142.75順次試して行く下落想定

【概況】

ドル円は8月23日のジャクソンホール会合においてパウエルFRB議長が9月利下げ開始姿勢を明確に示したことにより8月23日夜高値146.47円から144円台序盤へ急落した、26日早朝に143.45円まで続落してからはいったん買い戻し優勢となり27日夕に145.17円まで高値を伸ばしたが、145円到達後の戻り売りから下落に転じて28日早朝には144円を割り込んだ。
7月31日の日銀利上げと8月1日早朝のFOMCで9月利下げが濃厚となり、8月2日の米7月雇用統計が予想以上に悪化したことで世界連鎖株安を招いたために8月5日安値141.69円へ下落して7月30日高値155.21円からは13.52円、7月3日の年初来高値161.94円からは20.25円の下落幅となり、8月16日早朝の15日付け高値149.38円まで7.69円のリバウンドが入ったもののすでに戻り幅の大半を解消している。
8月5日安値割れを回避してダメ押しとして反騰へ進むためには新たなドル高材料、円安材料が必要であり、円高ドル安継続で8月5日安値へ迫るようだと底割れからさらに一段安へ進みかねないと懸念される。

【米経済指標はまちまち】

8月27日の米経済指標は強弱まちまちで市場の反応は鈍かった。
米連邦住宅金融庁(FHFA)が発表した6月住宅価格指数は前月比0.1%低下したが前年同月比は5.1%上昇となり伸び率は2023年7月以来の低水準だった。またS&P/ケースシラー住宅価格指数は前月比0.6%上昇で5月の1.0%上昇から伸びが鈍化し、前年同月比も5月の6.9%上昇から6.5%上昇へ鈍化した。
米コンファレンス・ボード(CB)による8月の消費者信頼感指数は103.3となり7月の101.9及び市場予想の100.7を上回った。現況指数は7月の133.1から134.4へ上昇、期待指数も7月の81.1から82.5へ上昇した。

【米10年債利回り小幅上昇だが2年債利回りは低下、ダウは連日の史上最高値更新】

8月27日の米長期債利回りはまちまちの動き。欧州の長期債利回り上昇時に連れて上昇したが米経済指標への反応は鈍く終盤へ失速した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の3.83%となったが、一時3.87%まで上昇してから低下に転じて日足は長い上ヒゲとした。30年債利回りは前日比横ばいの4.11%となったが、一時4.16%へ上昇してから低下した。政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.04%低下の3.90%となり、2023年10月の5.26%以降の最低である8月2日の急低下時に付けた3.85%へ迫っている。
米経済指標としては今週末の米7月PCE(個人消費支出)デフレーターでインフレ鈍化傾向を顕著としてFRBの利下げ開始に寄与するのかが焦点であり、27日の米経済指標に対する市場反応は鈍かった。9月から連続利下げとなるのか、0.50%の大幅利下げがあり得るのか、緩やかな利下げペースに留まるのか見極めたいところだ。

一方でNYダウは前日比9.98ドル高とわずかな上昇だったが前日に続き終値ベースの史上最高値を更新し、ナスダック総合指数も29.05ポイント高と上昇した。28日に米半導体大手エヌビディアの決算発表を控えているため内容次第では急変動もあり得るとやや慎重だが、9月利下げ開始見通しによる株高継続感は変わらず、8月5日への世界連鎖株安による急落をV字反騰で解消したことで却って先高期待が増している印象だ。
米国株高は日経平均の上昇に寄与してドル円には下支えとなるものの、日銀の追加利上げ姿勢と米国の利下げ開始見通しの差による円高圧力が勝る状況と思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月26日午前安値143.45円から27日夕高値145.17円まで戻したものの28日早朝に144円割れへ失速しているため、戻り一巡から新たな下落期に入っていると思われる。目先の安値形成期は29日午前から9月2日午前にかけての間と想定し、今週末の米PCE統計次第では8月5日安値割れを試す可能性もあるとみる。

60分足の一目均衡表では8月27日夕高値からの下落再開により遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンが上値を抑えやすいと思われ、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。

60分足の相対力指数は8月27日夕に60ポイントを超えたもののその後の反落で30ポイント近辺へ低下しているため、40ポイント以下での推移が続く内は20ポイント前後への低下余地ありとみる。40ポイント台序盤へ上昇するところは戻り売りにつかまりやすく、強気転換には50ポイントを超える勢いのある反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月26日午前安値143.45円を下値支持線、144.75円を上値抵抗線とする。
(2)144.30円から144.75円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。144.75円超えからは27日高値145.17円を試す上昇を想定するが27日高値手前からの反落によりダブルトップ形成として下落に転じやすいとみる。
(3)144.50円以下での推移中は下向きとし、143.45円割れからは143.00円、142.75円を順次試して行く下落を想定する。142円台後半はいったん買われやすいとみるが、144円以下での推移が続く場合と直前安値から1円を大きく超える反騰がみられないうちは29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

8/28(水)
10:30 (豪) 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 3.8%、予想 3.4%)
10:30 (日) 氷見野日銀副総裁、懇談会出席、14時から会見
14:15 (米) ウォラーFRB理事、講演
23:30 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債入札

8/29(木)
07:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
10:00 (NZ) 8月 ANZ企業信頼感 (7月 27.1)
10:30 (豪) 4-6月期 民間設備投資 前期比 (1-3月 1.0%、予想 1.0%)
14:00 (日) 8月 消費者態度指数・一般世帯 (7月 36.7、予想 37.0)
18:00 (欧) 8月 消費者信頼感・確定値 (速報 -13.4)
18:00 (欧) 8月 経済信頼感 (7月 95.8、予想 95.8)
21:00 (独) 8月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (7月 0.3%、予想 0.0%)
21:00 (独) 8月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (7月 2.3%、予想 2.1%)

21:30 (米) 4-6月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 2.8%、予想 2.8%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 2.3%、予想 2.2%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCEデフレーター改定値 前期比年率 (速報 2.9%、予想 2.8%)
21:30 (米) 7月 卸売在庫 前月比 (6月 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.3万人、予想 187.0万人)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 4.8%、予想 0.4%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前年同月比 (6月 -7.8%)
28:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演



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